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    『嘆きのピエタ』(피에타 英題: Pieta)韓国映画界の異端が描く、歪んだ純愛の形【2013年4月16日たまむすび】

  1. スタジオ  赤江珠緒(フリーアナウンサー) 山里亮太(お笑い芸人、南海キャンディーズ)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    本日は「ラスベガスの」パリから韓国映画を・・・

    赤江 3時台はコラムコーナー「たいしたたま」。毎週火曜日はアメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんです。町山さん、今週は御自宅からではないみたいなんです。
    山里 あら、どちらから?
    赤江 え~、お呼びしてみましょう。もしもし~、町山さ~ん。
    山里 もしも~し!
    町山 はい、どうも、町山です。音、大丈夫ですか?
    赤江 大丈夫です。町山さん、今日はどちらから?
    町山 ちょっとねえ・・・エッフェル塔が見える所にいるんですよ。
    赤江・山里 エッフェル塔?!
    山里 ちゅうことは?
    赤江 ・・・おパリ?
    町山 あの・・・ラスベガスです、ハイ(笑)。
    赤江 ラスベガス?!へ~!
    町山 ラスベガスに、エッフェル塔のそっくりさんが建ってる「パリス」っていうホテルがあって、
    赤江 ええ。
    町山 そこに・・・います(笑)、ハイ。
    山里 うわ・・・オシャレな海外ジョークについていけない2人がいましたよ、ここに今・・・(笑)。
    赤江 (笑)・・・ホントですよ・・・。
    町山 イヤイヤ、イヤ(笑)・・・。
    山里 え~!スゴ~イ!お休みなんですか?町山さん・・・。
    町山 ハイ。もう、あの・・・家族旅行です、ハイ。
    山里 あら、ステキな・・・。
    町山 子供の春休みなんで、ハイ。
    赤江 あ、アメリカも春休みということで。そうですか。
    町山 ハイ。
    赤江 じゃあ、そんなね、旅先での、今日は映画のご紹介ということになりますけれども、
    町山 はい。
    赤江 町山さんからですね、その前に、リスナーの皆様に本のプレゼントも。
    山里 あら?!
    赤江 今週は、あるということで。町山さん、私の方からご紹介させて頂きましょうかね。
    町山 あ、ハイ!
    赤江 『雑食映画ガイド』双葉社から、明日の17日発売でございます。漫画アクションで連載していた映画コラムをまとめた単行本で、誰もが知っているメジャーの大作から、著者が発掘した、町山さんが発掘した知られざる作品まで、
    山里 うん。
    赤江 120数本を紹介している、という。・・・町山さんが120数本をバーンと紹介してくださってますからねえ。

    町山 え、1人でやってんじゃなくて3人で書いてます、ハイ。
    赤江 あ、3人?!・・・3人なんですね。
    町山 ハイ、あの、僕の映画関係の相棒の柳下毅一郎君と、
    赤江 ええ。
    町山 あと、弟子のギンティ小林君と3人で書いて、それで120本です。ハイ。
    赤江 あー、そうですか。
    山里 「超メジャー大作から、ポルノの一品!」(笑)・・・。
    町山 ハイ、柳下がポルノを書いてるんです、ハイ。
    山里 (笑)・・・スゲー・・・・。
    赤江 もう、今、読み込んでますけどね、山ちゃんがね。この新刊本を、今番組をお聴きの方5名様にプレゼントいたします。ご希望の方は・・・
    (プレゼント応募方法告知、略)
    赤江 ・・・ということで、町山さんからプレゼントもいただきましたけれども、今日はどんな映画をご紹介頂けるんでしょうか?
    町山 今日は何故か(笑)、ラスベガスのパリにいるんですが、韓国映画を紹介します。
    赤江 ・・・ですってねえ、韓国、ハイ。
    町山 もう・・わけわかんないですけど、自分のやってることが(笑)。
    山里 いろんな国が出て来ましたね(笑)。
    赤江 ワールドワイドで・・ハイ。
    町山 前、韓国から放送した時はアメリカのテレビ番組について放送したこともあるし(笑)・・・。
    赤江 (笑)。
    町山 自分でも何やってんだかよくわかんないですけれど(笑)、ハイ。
    赤江 ええ。
    町山 今回は韓国映画ですね、キム・ギドクっていう監督の新作映画で『嘆きのピエタ』(피에타 , 英題: Pieta)という映画についてお話します。
    山里 はい。
    町山 で、「ピエタ」っていうのはですね、ミケランジェロの彫刻で有名なんですけれども、
    赤江 あ、はいはい。
    町山 キリストが十字架に架けられて死んだ後に、お母さんの聖母マリアが死んだキリストを下ろしてですね、
    赤江 うん。
    町山 自分の胸に抱いて、抱いている、という姿を「ピエタ」と言うんですね。
    赤江 そうですね。よく、題材、モチーフとして描かれてますもんねえ。
    町山 そうですね、ま、「慈悲」っていうような意味があるらしいんですけども。
    山里 うん。
    町山 で、それがタイトルになってるのが『嘆きのピエタ』って映画なんですが。
    赤江 はい。
    町山 これは、映画祭で・・・ベネチアかな?ベネチア国際映画祭で、グランプリにあたる金獅子賞を獲ってるんですね。
    山里 ふん。
    町山 はい。ただ、このキム・ギドクって監督はですね、韓国映画界の嫌われ者なんですよ。

    ~Conflict~
    韓国映画界の異端は嫌われ者で独りよがりな厄介者

    赤江 え、金獅子賞まで獲られてるのに?
    町山 この人、賞をいっぱい獲ってるんです、外国で。
    山里 うん。
    町山 でも韓国映画界では嫌われてるんですよ。
    赤江 へ~。
    町山 異端なんですね、韓国映画界の。
    山里 へ~・・・。
    町山 韓国映画界ってのは今、日本映画とかともう、全然違う、国際市場を相手にしたですね、
    赤江 はい。
    町山 非常にハリウッド的な、全世界に通用するような映画を作ってる中でですね、
    山里 はい。
    町山 要するにビッグプロジェクトで、お金とか海外から集まってるんですね。今、日本の映画って殆ど外国からお金が入って来ないで、国内で出資を集めてるんですが、韓国映画は世界中からお金が集まってくるんですよ。
    山里 へ~。
    町山 それぐらい・・・国としての産業として映画をやってるんですが、
    山里 はい。
    町山 このキム・ギドク監督だけは、どうも、それと違う映画を撮ってる人なんですよ。
    山里 ふん。
    町山 で・・・一番問題になった映画っていうのは、『悪い男』(나쁜 남자)って映画でですね、
    赤江 ええ。
    町山 これ、ヤクザな男がですね、
    山里 はい。
    町山 どういう男か、って言うと、まあいわゆる、ポン引きみたいなことをしている男がいてですね、
    山里 はい。
    町山 ま、売春をしているソープランドみたいな所から女の人が抜け出そうとするのを、抜け出さないように見張っている仕事をしているヤクザの男がいて、
    山里 はい。
    町山 それが、ある日道端で突然、美しい女子大生に一目惚れするんですね。
    赤江 うん。
    町山 で、「あの女に一目惚れした!」って言って、何するかっていうと、その女の人を陥れてですね、
    山里 ふん。
    町山 闇金の借金を背負わせて、そのソープランドに落としちゃうんですよ。
    山里 お~・・・。スゲー・・・ウシジマ君みたい・・。
    町山 で、じゃあ自分の女にしたいのか?と。
    赤江 うん。
    町山 思うと、そうじゃなくて。その売春をしてる部屋の、マジック・ミラーの、壁の中に隠れて、自分が惚れた女の人が他のお客に抱かれるのをじ~っと見てるんですよ。
    山里 お、歪んでるな!・・・
    町山 物凄い、歪んでるんですよ!
    赤江 うん。
    町山 「アタシを抱きたいんだったら、抱きなさいよ!」って言われても抱かないんですよ。
    山里 え?
    町山 あと、喋らないんですね、一言も。その悪い男は。
    赤江 うん。
    町山 で、その女の子が脱出すると、無理矢理連れ戻してくるんですよ。
    山里 へ~!
    町山 (一体コレは何だろう?)、(なんて酷い男だろう!)と思うじゃないですか。
    赤江・山里 はい。
    町山 ところが、最後にその女の人は、その男のそれが、彼の純愛なんだ、と思って、
    山里 うん。
    町山 彼を愛して、彼のために身体を売るようになる、っていう話なんですよ。
    山里 え?!
    赤江 え~?!
    町山 (え??)って思うでしょ?
    赤江・山里 はい。
    町山 さすがに世界中の人も(え??)と思って(笑)、
    山里 はい。
    町山 「なんだコレは!」と。
    赤江 うん。
    町山 「男に都合のいいだけの女なのか?!」と。
    赤江 うん。
    山里 そうですよねえ・・・。
    町山 ということで、皆怒り狂ったりしたんで大問題になったりしたんですね。
    赤江 は~・・・。
    町山 で、あと、『弓』( 활 )っていう映画があるんですけど、
    赤江 ええ。
    町山 これは、人里離れた湖でですね、釣り船をやってるオヤジがいるんですよ、爺さんが。
    山里 はい。
    町山 その釣り船ジジイはですね、
    山里 「釣り船ジジイ」(笑)・・・。
    町山 6歳ぐらいの少女をさらってきて拉致して育ててるんですよ。
    赤江 はあ・・・
    町山 拉致誘拐して育ててて。ただ何故かですね、16歳になるまでは手を出さない、って決めてて。
    山里 はい。
    町山 16歳になったら、「ホントの男と女の繋がりが出来る」つって、それを待ち望んでるジジイなんですよ。
    山里 はえ~・・・。
    赤江 イヤちょっと、非道な・・・。
    町山 気持ち悪いでしょ~?!!
    山里 いや、かなり歪んでる・・考え方の・・・。
    赤江 うん・・・極悪非道な感じが・・・。
    町山 歪んでるでしょ?!
    赤江 うん。
    町山 ところがこのキム・ギドク監督は、そのジジイのやってることを純愛として描くんですよ。
    山里 え~・・・
    赤江 それも「純愛」って言ったら、スゴイ幅が広がりますねえ。
    町山 そうそう。それで、この少女も、そのジジイを愛するんですよ。
    山里 え~?!
    町山 ただ、「ふざけるな!」っていう話もあって。女性の観客からは特にそうなんですけれども。
    赤江 うん。
    町山 ま、非常にその・・・韓国映画の中でも非常に非難されてるんですね。あと、強烈なんですね、描写がね。
    赤江 うん・・・。
    町山 例えば、ま、韓国は犬を食べますけど、犬鍋とかで。
    山里 はい。
    町山 犬を処分するとことかを見せようとしたりですね。
    山里 はあ・・・。
    町山 そういう、非常に描写が強烈なんで、「ハッタリじゃないか!」とか言われたりとかですね、
    山里 はあ。
    町山 いろいろしてて。で・・・最近はですね、あんまり皆に叩かれるもんだからスネてですね、このキム・ギドク監督は、
    山里 はい。
    町山 山奥に1人で、1年以上こもっちゃったんですよ。
    赤江 え・・・ええ・・。
    山里 ほ・・・変わった人だ・・・(笑)・・・。
    町山 山奥のヘンな一軒家に1人で住んでですね、トイレも何も無いような所にね。
    赤江 ええ。
    町山 で、その生活を自分でビデオに撮って、
    山里 はい。
    町山 それで、ずっとカメラに向かって恨み辛みをずっと言ってる、っていう映画を撮ったりしてるんですよ(笑)・・・。
    山里 あ、それを映画にしたんですか?
    町山 映画にしてるんですよ、自分1人の生活を。恨み辛みをずっと言ってる生活を。
    山里 やっかいだ(笑)・・・。
    赤江 これこそ、厄介な・・男、って感じですねえ。
    町山 厄介なオヤジですねえ(笑)。
    赤江 うん・・・。
    町山 しかも自分が、自分の映画で、ま、自伝的な映画を撮りまして、
    山里 はい。
    町山 それで、自分自身が出演してる映画があるんですね。
    山里 ふんふん、ふん。
    町山 それを、ビデオで観ながら泣いたりしてるんですよ。
    赤江・山里 (笑)。
    町山 (大丈夫か?!このオッサン!!)と思うわけですけど(笑)。
    赤江 うん。
    町山 もう、一言で言うと、物凄い独りよがりな監督なんですね。
    山里 スゴイ・・・。
    町山 で、その・・女性っていうものの描き方が、物凄く・・・なんて言うか、とにかく出てくる女性が全て、男をとにかく愛するために生まれてきて、徹底的に男を愛するんですよ。
    赤江 「そんな都合良く行くかい!!」って言う、ねえ・・・。
    町山 そう。もうホント、身を捧げていく女性ばっかり登場するんですよ。そうじゃない人も出てきますけど、基本的に主役はそうなんですね。
    山里 は~・・・。
    町山 だからね、ちょうど僕、この人の映画を観てると思い出すのはねえ、
    山里 はい。
    町山 松山千春さんのねえ、「恋」っていう歌を思い出すんですよ。
    山里 え?あれ・・・そんな、歪んだ、歌でしたっけ?
    町山 松山千春さんの「恋」っていう歌はですね、凄く呑んだくれで、女の人をほったらかしにしてる男に惚れた、
    山里 あ~・・そっか・・・。
    町山 それに尽くしてる女の人の立場から、
    赤江 うん。
    町山 「もう私は出て行くわ」って言いながら出ていけない。「愛してるから」っていう歌なんですよ。
    山里 はあはあ、はあはあ。
    赤江 う~ん・・・。
    町山 でも、その歌を作詞してるのって、松山千春自身なわけですよ!
    山里 そっか・・・。
    町山 呑んだくれの。
    赤江 う~ん・・・。
    山里 (笑)・・自分を肯定してる・・・。
    町山 自分を肯定してるんですよ(笑)、女の立場を利用して!
    赤江 (笑)。
    町山 こんな勝手な野郎はいないわけでね、
    山里 (笑)。
    町山 「オマエ、オレに惚れてんだろ~?!」みたいな感じなわけですよ。
    山里 なるほど、なるほど(笑)。
    赤江 ふんふん。
    町山 だから、そういう映画なんですけども。
    山里 はい。
    町山 で、今回のですね、新しい映画、『嘆きのピエタ』っていうのは、
    山里 うん。
    町山 ちょっとそれと違うんですが・・・・このキム・ギドクっていう監督の本質的な所がちらっと見える、不思議な映画なんですけども。
    山里 はい。
    町山 紹介しますとですね、
    赤江 うん。
    町山 まず主人公はですね、高利貸の借金取りをやってるヤクザですね。
    山里 ほう。
    町山 で、どういう風にやってるかって言うと、韓国にですね、機械工場ばっかり集まってるですね、工場地があるんですよ、ソウルに。
    山里 はい。
    町山 機械工場っていうのは、日本もそうですけど下町にいっぱいありましたけども、
    山里 はい。
    町山 ま、国の勃興期というかですね、凄く経済が進んでいく中で、一番発展するんですよ。
    赤江 ふん。
    町山 手工業っていうのは。
    山里 はい。
    町山 日本も機械産業っていうのは、機械工場っていうのは60年代、70年代に物凄くなって、世界中の機械を受注するようになりましたけども、その後、韓国に取られたんですよ、日本の仕事ってね。
    山里 ふんふん、ふん。
    町山 安くなっちゃったから、人件費が。
    山里 あ、はい。
    町山 で、韓国はそれでぐっと伸びたんですけれども、70年代、80年代に。ところが今度は、もっと安い所に取られちゃって、どんどん落ち込んでるんですよ。韓国の機械工場は。工場はね。
    山里 へ~。
    町山 そこで、やっぱり皆、やって行けなくなってるわけですよ、借金抱えて。
    赤江 うん。
    町山 機械工場って凄く、設備投資がかかるからね。
    赤江 うん。
    町山 借金が返せなくなっていくわけですね。
    赤江 はい。
    町山 で、そこに行って、「借金返せないんだったら、お前の手をもらうぞ!」って言ってるんですよ、主人公は。
    赤江 う!手を?!
    町山 そう。要するにまあ、労災ですね。
    山里 あ~。
    町山 保険で、手が使えなくなったら保険金が支払われるから、「それでその機械を買ったお金を返せるだろ。」と。
    赤江 は~・・・。
    町山 そういうのをやってるんですけども。
    赤江 ええ。
    町山 まず機械工場っていうので、「手を潰したらお金が払える」っていう状況設定するだけで物凄く怖いわけですよ。
    山里 はい。
    町山 機械工場って行ったことあります?僕、飯田橋の出身なんで、よくあったんですけど。友達の家とか機械工場があったんですけども。
    山里 社会科見学で行ったことがあるぐらいですねえ。
    町山 旋盤とかあるじゃないですか、ボール盤とかいろんな機械が。
    山里 はい。
    町山 全て、手を潰すことが出来る機械ですよ!
    山里 おわ~・・・。
    赤江 あ、圧縮プレスみたいなのとかねえ、ローラーみたいなのとかありますもんねえ。
    山里 そうそう・・・。
    町山 プレス機とかローラーとかドリルとか。
    赤江 はい。
    町山 その中で、手を潰すぞ、潰さないぞ、って話をしてるだけで、メチャクチャ怖いですよ。
    赤江 うわ~・・・コワイ・・。
    町山 ねえ。で、何度もその主人公の借金取りがですね、相手の手を、その機械に押し付けるんですよ。
    山里 うわ~・・。
    町山 で、いつスイッチを入れるかわかんないわけですよ。
    赤江 うん。
    町山 それだけでもう、緊迫した状況になるんですけども。しかもその借金取りがですね、1人で暮らしている部屋で・・・まあ、一番最初の、映画の最初はね、オナニーしてるんですね。
    山里 へ?
    赤江 映画の最初が?
    町山 映画の最初はオナニーしてるんですよ。
    赤江 はあ。
    山里 どんなスタートなんすか、それ?
    町山 で、拭くところから始まるんですけど(笑)、
    山里 え?
    町山 なんかねえ・・・僕、昔、『台風クラブ』っていう相米慎二監督の映画で工藤夕貴ちゃんがオナニーしてるシーンが出てきてビックリしましたけども、
    赤江 え~?
    町山 ああいう爽やかなもんじゃ無いんですけども(笑)・・・。
    山里 それも爽やかだったんだね・・・。
    赤江 町山さん(笑)、それ、爽やかって参照していいものなんですか?
    町山 (笑)・・・工藤夕貴はその頃まだ高校生か中学生ぐらいですけど・・・。
    赤江 ・・・
    町山 それを30ぐらいのオッサンがですね、
    赤江 うん。
    町山 ちなみに、この主人公の借金取りはですね、北村一輝さんにちょっと似てます。
    赤江 (笑)・・・。
    町山 ハイ。口の「い」の字な感じが北村一輝さんに似てますけども。
    赤江 あ、なるほど、なるほど。イメージはわかりました。
    町山 ね?わかるでしょ。あの口の感じと、目の濃い感じ・・・ハイ。
    赤江 はいはい、はいはい、はい。
    山里 あ~。
    町山 で、オナニーしてるんですけども、
    赤江 うん。
    山里 何回言うんですか・・・。
    町山 結構、いいマンションに住んでてお金があるのに、なんでオナニーしてんのかな?と思うと、ナイフをですね、壁に「ストーン!」て投げて突き刺してるんですね。
    赤江 はい。
    町山 その、壁に突き刺されてるナイフの所には、裸の女の絵が描いてあるんですよ。
    赤江 うん。
    町山 物凄くわかり易い女性像表現ですけど(笑)。マンガのような。
    赤江 あ~!
    町山 要するに、彼は女の人を憎んでるから、セックスとか出来なくて恋愛も出来ない、っていう設定なんですよね。
    山里 あ~・・・。

    ~Resolution~
    「こじらせてる」監督の「こじれた」女性表現

    町山 これ、キム・キドク監督の映画っていうのは、主人公が殆ど喋らないんで、そうやってわかり易い、マンガみたいな表現をするわけですけど。
    山里 なるほど。
    町山 で、その借金取りに行って、町工場の奥さんとかが、「私を何してもいいのよ!」とか言って裸になっても、
    山里 はい。
    町山 「うるせえ、服着ろ・・・。」みたいな感じで何もしないんですよ。
    山里 ほうほう。
    町山 つまりまあ、女性を、性的対象として見れない男なんだな、ということがなんとなくわかるわけですね、それで。
    赤江 あ~・・・。
    町山 ところが、その血も涙も無い借金取りの家に、突然ヘンなねえ、
    赤江 うん。
    町山 45歳ぐらいの、まあ・・昔美人だった、明らかに美人だった、45歳ぐらいのオバサンがやって来るんですよ。
    赤江 うん。
    町山 で、いきなり来てですね、部屋に無理矢理入ってくるんですよ。
    山里 はい。
    町山 で、何すると思います?
    山里 え・・いきなり入ってきて?・・・?
    赤江 え?なんで・・・。
    町山 流しにたまってるお皿を洗うんですよ、いきなり。
    赤江・山里 え?
    町山 何だかわかんない(笑)・・・。勝手に洗って、勝手に掃除し始めるんですよ。
    山里 え?
    町山 「何するんだ、お前は?!」って、ま、言わないんですけど、主人公は喋んないから。
    赤江 うん。
    町山 「出てけよ!」みたいな感じで追い出すんですけど、
    山里 はい。
    町山 なんか、ストーカーみたいにしてねえ、追っかけ始めるんですよ。そのオバサンが借金取りを。
    赤江 ほう。
    町山 で、ある日、なんかドアの所に何かいる、と思ったら、
    山里 はい。
    町山 ドアをパッと開けたら、逃げるんですね。そのストーカーオバサンが。
    山里 はい。
    町山 ま、昔美人だったのは明らかなんですが(笑)・・・。
    赤江 (笑)。
    町山 すると、マンションの入り口の所に何故か、生きたウナギがのたうってるんですよ。「ピチャピチャ、ピチャピチャ・・」
    赤江 え?ウナギ?
    町山 ウナギ!
    赤江 (笑)・・・脈絡がちょっと・・・。
    町山 生きたウナギが「ビッタンビッタン、ビッタンビッタン」いってるんですよ、マンションで。
    赤江 へ?
    町山 で、「ウナギを食べて。」ってことなんですけども。
    赤江 あ~。
    町山 一番異様なのは、ウナギの頭の所にですね、
    山里 はい。
    町山 変なメモがパンチしてあるんですよ。釘で刺してあるんですね、ウナギの頭に。
    山里 ・・はい。
    町山 そこに、「電話して・・」つって電話番号が書いてあるんですよ。
    赤江 (笑)・・・。新しいプレゼント・・・え~?
    山里 え、する?普通・・・。
    町山 ウナギに「電話して♪」って(笑)・・・、メモを残してく女って、どんだけ美人でもイヤでしょ?(笑)。
    山里 これ・・・あの、町山さん、ブラックジョークの映画じゃ、ないですよね?ギャグ映画じゃないですよね?
    町山 イヤ、このキム・ギドク監督の映画ってのはねえ、昔からそうなんですけど、あまりにも描写が変だから笑っちゃうんですよ。
    山里 そうですよねえ、もう、ギャグですよねえ。こうなると。
    赤江 ねえ。
    町山 殆どギャグなんですけど(笑)・・・、ま、笑いましたけど(笑)。
    山里 (笑)・・・たしかに・・・。
    町山 でねえ、もう、あまりにも部屋に来るから、なんとなく入れちゃうわけですよ。結局。
    山里 え?・・・はあ。
    町山 結局入れて、「何しに来たんだ?」っていうことになると、突然その女の人は、「アナタは、私が30年前に捨てた赤ちゃんなの!」って言うんですよ。
    山里 ほう。
    町山 で、「ごめんなさい!」って言うんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 で、「すごく若い頃だったの。」と。
    赤江 うん。
    町山 「だから育てられなくて捨てたの。」って言うんですよ。
    山里 ふん。
    町山 で、泣くんですよ、シクシク。
    山里 はい。
    町山 で、「ちょっと、オマエさあ、」と。
    赤江 はい。
    町山 「証拠を出せよ。」と。「オマエがお母さんだ、って言うんだったら証拠を出せ!」って言うんですよ。
    赤江 うん、うん。
    町山 そうすると、「証拠とか・・・・」とか言って泣くだけなんですよ。シクシク、シクシク。
    赤江 うん。
    町山 で、(なんだかしょうがねーなあ)と思って。で、まあ、借金を取りに行くわけですね。
    山里 はい。
    赤江 仕事だから。
    町山 借金取りに行って、やっぱりお金を返せない人達がいるんで、
    赤江 うん。
    町山 そいつを、「オマエの足を折る!」って言うんですね。
    山里 はい、はい。
    町山 で、ちょっとビルに、「こっち来い!」と。「ここから飛び降りて足を折れ!」と。
    赤江 うん。
    町山 と言ってビルから蹴り落として折っちゃうんですよ、足を。
    山里 はい。
    町山 で、折られた、その工場の人がですね、
    山里 はい。
    町山 「なんて酷いことをするんだ!」と。「オレはお母さんを介護してるのに、足を折られちゃったら介護出来ないじゃないか!」と。
    山里 はい。
    町山 「オマエはホントに・・・こんな、人の足を折って、オマエは地獄に落ちるぞ!!」って言うんですね。
    山里 はい。
    赤江 うん、残虐ですもんねえ。
    町山 借金取りに。
    赤江 うん。
    町山 で、借金取りに付いて来たストーカーの、お母さんと称する女がですねえ、
    山里 はい。
    町山 「私の息子に、地獄に落ちろ!なんて言わないで~!!」つって、その、倒れて足が折れてる人をボコボコにするんですよ。
    赤江・山里 え~?!!
    町山 踏みつぶして。・・・「私の息子になんてことを言うの~!!!」とか言って。
    赤江 ちょっと、まさかの展開・・・。
    町山 そう。
    山里 メチャクチャだ・・・。
    町山 (笑)・・・それにはねえ、借金取りもドン引きなんですよ(笑)。「ちょっと待て、オイ・・・」みたいな(笑)。
    山里 残虐な借金取りも・・・・。
    町山 これ、何?みたいな・・・。
    赤江 え~?・・・。
    町山 で、とうとう、もうホントにブチ切れて、
    山里 はい。
    町山 「オマエ、本当にオレのお母さんだ、って言うのか?!」と。
    赤江 うん。
    町山 で、「本当にオレのお母さんだ、って言うんだったらコレ食え!」って言って、
    山里 はい。
    町山 突然、ナイフを持ってトイレに行くんですよ。
    赤江 え?
    町山 で、ナイフを持ってトイレに行った後、ナイフの先に血まみれの・・・何か肉みたいな物を付けて帰ってくるんですね、トイレから。
    赤江 はあ。
    町山 「オマエが本当に母親だ、って言うんだったら、コレを食えるはずだ!」と言って、
    赤江 うん。
    町山 突き出して。そうしたら、そのお母さんはそれを食べるんですね。
    山里 はい。
    町山 生肉みたいな物を。
    赤江 ふん。
    町山 で、よ~く見ると、その借金取りのズボンの裾の、足の所から血がダラダラ流れてるんですよ。
    赤江 え?
    山里 うわ・・・まさか。
    赤江 自分の肉?
    山里 肉は肉でも・・・スゴイ場所じゃない?
    町山 多分、下腹部のドコか一部を切り取ったモノを食べさせたんですね。
    赤江 え~!
    山里 ヤダ・・・。
    町山 で、しかも、その後、
    赤江 うん。
    町山 「オマエ、本当にオレを産んだのか?」と。
    赤江 うん。
    町山 で、押し倒して、アソコをさわりながら、
    赤江 うん。
    町山 「オレは本当にオマエのココから生まれたのか~?!」って言うんですよ。
    山里 イヤ・・・もう、スゲーな・・・。
    町山 「オレはココに帰りたい!!」って言いながら、
    赤江 はい??
    町山 中に入っていこうとするんですよ。
    山里 (笑)・・・。
    赤江 ちょ・・・・(笑)・・・そこが繋がらないんですけど、そこまではまあ、わかったんですけど。え?
    山里 ちょっと待ってコレ・・・俺、笑っちゃうかも・・。笑っていいのかな?
    町山 それで、デキちゃうんですけど。2人は。
    赤江 え??
    山里 デキちゃう?
    町山 それで、その後2人は、楽しい同棲生活に入っていくんですね。
    山里 え?!
    町山 (笑)。
    赤江 ええ~??
    町山 (笑)。
    赤江 固まっちゃった・・町山さん、(笑)。
    町山 (笑)。
    山里 何?ソレ?って話ですよ・・・。
    町山 ええ??って話ですよ。
    赤江 これ、どういう展開ですか?
    町山 すーごい楽しい同棲生活に2人は入って、
    赤江 はい。
    町山 デートして・・・(笑)。
    山里 え?
    町山 繁華街に行ってデートして買い物してですね、
    赤江 うん。
    町山 ・・・ハイ。そういうラブラブになって行きますよ。
    山里 ええ??・・・親子ですよねえ?
    町山 (笑)・・・・ていう、映画なんですよ。
    赤江 う~わ!
    山里 いや、わけわかんなすぎて、スゲー観たい・・・。
    町山 ハイ(笑)。もう、あとはどうなるか?っていう映画ですけどねえ。
    赤江 ちょっと壮絶だなあ・・。
    町山 何これ?っていう話ですが、
    山里 はい。
    町山 キム・ギドクっていう監督は、女の人が男の人を愛する、ってことばっかり描こうとする人なんですね。
    赤江・山里 はあ~・・・。
    町山 これ、でもねえ、女の人が男を愛するっていう気持ち、男ってのはまあ、ここでは息子だったり、
    赤江 うん。
    町山 とにかく、女は愛の生き物なんだ、みたいな所を描いていく・・・ま、勝手に思い込みなんですが(笑)、これはキム・ギドク監督の(笑)・・・。
    赤江 いや、ホントですねえ・・・。
    町山 それと、キム・ギドクって人がなんでそんな風に思ってるか、って言うと、やっぱり、多分、母親の愛に飢えてるんですね、この人ね。
    赤江 あ~・・・。
    町山 凄く貧しくて苦労したみたいなんで、本人が。
    赤江 うわ~、でもちょっと、女性に求める物が多すぎるな、これは・・。
    町山 多分そうだと思いますね。だから、そういうところもよくわかって、面白いな~と思いましたね。この映画は。
    赤江 へ~・・・。
    山里 監督は絶対、こじらせてるね、これは何かを。
    赤江 こじらせてる人ですねえ(笑)。
    町山 (笑)・・・明らかにこじらせてる人ですよ、この人は(笑)。
    山里 こじらせてますよねえ?
    赤江 (笑)。
    町山 ただ、こじらせ過ぎたが故に、
    赤江 うん。
    町山 韓国だとかアジアとか、そういうものを超えて全世界的に、こじらせた人達の共感を呼ぶ(笑)という・・・。
    赤江 そうですよねえ、だって、その、金獅子賞に輝いた作品なんですもんねえ。
    町山 そう・・・なんですよ。
    山里 ほ~・・・。
    町山 こじらせ過ぎて・・・国境とか文化を超えてるんですけどね(笑)・・・。
    山里 スゲー。世界的な、こじらせた人の作品、てわけでしょ?
    町山 世界的にこじれてる人なんでね。ま、面白いですよ。
    山里 面白いですね。
    町山 ただ、物凄く強烈なんで。さっき言ったみたいに、描写が。
    赤江 うん。
    町山 ちょっとね、2度観れない、っていう人もいますね。キム・ギドク監督の映画は。
    赤江 あ、そうなんですね。
    町山 ハイ。
    赤江 それぐらい、まあ、衝撃度合いが強いという事ですかね。
    町山 ただ、スゴイ好き、っていう人もいるんですよ。女性なんかでも、スゴイ好きって女性もいるんですよ。
    赤江 あ~、そうなんだ・・・。
    山里 俺、どれか観てみたいな・・・。今回のやつかな?やっぱり・・・。
    町山 物凄いねえ、あの・・・クセのある、ホヤみたいな物だと思います。
    赤江 あ~、なるほど、なるほど。好みがハッキリ分かれる・・・。
    町山 食べれない人は食べれないでしょ?ホヤって。
    赤江 うん、うん。
    町山 そういう感じの(笑)・・・、映画ですね。
    赤江 よくわかりました(笑)。端的にまとまってますね。
    山里 ホヤ・・・ホヤ映画。
    赤江 (笑)。
    町山 ハイ、ホヤ映画。『嘆きのピエタ』。公開は、確か日本では6月だと思います。
    赤江 そうですね。文化村ル・シネマ他にて、全国順次ロードショーということでございます。
    山里 え~、俺、観に行ってみようかな~。
    赤江 うん・・ちょっと、ドキドキしますね、自分がどういう感情になるか・・。
    町山 ハイ。僕が言ったのは冗談じゃないですから。本当に、今言ったようなことが映画の中で起こりますので。ハイ。
    山里 いや、だから、これ観て、「うわ~、わかる!」ってなったら、自分はこじれてるんですもんねえ。
    赤江 いや~、なんかドキドキする・・・。
    町山 (笑)・・・ホントに、冗談じゃないですから。全部本当ですから、ハイ。
    赤江 わかりました・・・。町山さん、お休みの中ありがとうございます。
    町山 ハイ、ていうことでラスベガスからでした(笑)。
    赤江 ウン。今日の「たいしたたま」はアメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんに、韓国のキム・ギドク監督最新作『嘆きのピエタ』ご紹介頂きました。町山さん、ありがとうございました~!
    山里 ありがとうございました!

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