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    『ザ・サファイアズ』(The Sapphires)差別の無い、平等な、約束の地に私を連れて行って!【2013年4月2日たまむすび】

  1. スタジオ  赤江珠緒(フリーアナウンサー) 山里亮太(お笑い芸人、南海キャンディーズ)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    「アボリジナル」による、彼らの実話の映画『ザ・サファイアズ』

    赤江 3時台はコラムコーナー「たいしたたま」。毎週火曜日はアメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんです。今週もカリフォルニア州バークレーの御自宅からお電話でのご出演です。もしもし~、町山さ~ん。
    山里 もしも~し!
    町山 はい、町山です。よろしくお願いしま~す。
    赤江 よろしくお願いしま~す。
    山里 お願いしま~す。
    町山 どうもで~す。
    赤江 はい。今日は、なんでも、アボリジニーの・・・?
    山里 ふん。
    町山 そう・・・なんですよ、はい。今日紹介する映画は、監督も出演者もですね、元々の脚本を書いた人も、みんなアボリジニーの人、というですね、映画なんですけど。
    山里 ふん。
    町山 ま、アボリジニーというのは、オーストラリアの原住民の人達ですね。
    山里 はい。
    町山 原住民の人達で・・・・っていうか、「アボリジニー」って言葉自体が「先住民」て意味なんですよ。
    赤江 あ~・・・。
    町山 だから、あんまり意味がないんですよ、「オーストラリアのアボリジニーの人」って言うと。
    赤江 ええ。
    町山 「オーストラリア先住民」て言った方が正しいんですけど。
    山里 なるほど。
    町山 まあ、一般的には、「アボリジナル」と言われてるんで、まあ、その人達によるその人達の映画、
    山里 ふん。
    町山 その人達に実際に起こったことの映画を今回は紹介します。
    赤江 はい。

    町山 ハイ。で、タイトルはですね、『ザ・サファイアズ』(The Sapphires)っていうんですけど、
    赤江 うん。
    町山 ハイ!じゃ、聴いてもらいましょう。サファイアズの「ダンス天国」(Land of 1000 Dances)です。
    ~♪~ダンス天国/サファイアズ~♪~
    町山 ハイ、聴いたことありますよね?
    赤江 あります。
    山里 あります、あります!
    町山 ハイ。これねえ、「ダンス天国」って、ウィルソン・ピケットの有名なソウル・ミュージックなんですけども、
    山里 うん。
    町山 聴いてもらうと、なんとなく思い出す曲があると思うんですよ。
    山里 はい、はい。
    赤江 うん。
    町山 知らないかな?フィンガー5。
    赤江 あ~!・・・はい、はい。
    町山 フィンガー5で「学園天国」って歌がありますよね?大ヒット曲で。
    赤江 ええ。
    山里 はい。
    町山 あれは「ダンス天国」が元ですから。
    山里 へ~!
    町山 この曲が元です、ハイ。
    赤江 へ~・・・。
    町山 で、フィンガー5っていうのは、このウィルソン・ピケットとかをカバーしてた、ジャクソン5の日本版なんですよ。
    赤江 うん、うん。
    町山 ・・(笑)、ま、それはいいんですけどね。
    赤江 ええ。
    町山 で、今回のその『ザ・サファイアズ』っていうのはですね、実際にこの歌を歌ってる、サファイアズというですね、女性コーラスグループについての映画なんですね。
    山里 はい。
    町山 舞台はですね、1968年・・・のオーストラリアなんですけども。
    山里 はい。
    町山 ソウル・ミュージックっていうのは、ま、具体的に何か、って言うと、60年代に非常に流行ったですね、黒人の人達によるアメリカの音楽なんですけれども。
    山里 はい。
    町山 この、1968年のオーストラリアっていうのは、殆ど、ソウル・ミュージックを誰も知らなかったらしいんですよ(笑)。
    山里 ほう。
    赤江 オーストラリアは?
    町山 オーストラリアでは(笑)。
    赤江 あ、そうなんですか。
    町山 なんかねえ、ラジオとかでかかってるのも殆どがカントリー・アンド・ウェスタンだったらしいんですね。
    赤江 は~・・・。
    町山 カントリー・アンド・ウェスタンていうのは、アメリカの白人の田舎の人が聴く音楽ですけど、
    赤江 ええ。
    町山 カウボーイの音楽なんですよ。
    山里 ふん、ふん。
    町山 オーストラリアも基本的に、ほら、広い荒野をカウボーイがいっぱい暮らしてる所ですから、
    赤江 はい。
    町山 ま、羊を飼ってますけど。
    赤江 ええ。
    町山 そういう音楽ばっかりの中で・・・、
    赤江 確かにピッタリきますもんねえ。
    町山 そうなんですよ。で、まあ、このアボリジニーの人達の・・女の娘が出てくるんですね。女の娘の3姉妹が出てきて。その3姉妹は歌が凄く上手いんで歌手として働きたいという夢があるんですけども、
    山里 はい。
    町山 あの・・・・アボリジニーの人達の音楽ってのが出てくるんですけど、これは殆どねえ、ハワイアンみたいな音楽なんですね。
    山里 ふんふん。
    町山 ゆったりした、こう・・・・なんて言うか、ノンビリした。あの、波に漂うような音楽なんですけども。
    赤江 はいはい。
    町山 それを、アボリジニーの、自分達の原住民の言葉で歌ってて、
    赤江 うん。
    町山 ただ、売りだしていきたいから、ってことで、オーストラリアの人達が聴くようにカントリーウェスタンを歌ってるんですね、彼女たちは。
    山里 ふん。
    町山 ところがですね、凄い差別があって、
    赤江 うん。
    町山 歌手として活動なんか、全然出来ないんですよ。
    赤江 うん。
    町山 オーストラリアにおける、アボリジニーの人達、その先住民の人達の差別ってのは物凄いもので、
    赤江 うん。
    町山 アメリカにおける黒人奴隷に対する差別も酷かったんですけども、
    山里 はい。
    町山 こっちの方、オーストラリアの方は大虐殺をやってるんですよ。
    山里 え~!
    町山 だから・・・100万人ぐらいいたアボリジナルの人達を7万人まで減らすぐらい殺してるんですよね。
    山里 え~!
    町山 そこに入ってきたイギリス人は。
    赤江 いや、それはホントに大虐殺ですね・・・。
    町山 あの、具体的に、人間狩りまでやってますから。
    山里 え?!
    町山 遊びで、「何人殺したぜ!イエーイ!」みたいにやってるんですよ。
    赤江・山里 え~?!
    町山 それをやって、物凄い減っちゃって。で、60年代には、都会に入ってはいけない、っていう形で、
    山里 ふん。
    町山 オーストラリアの酷い荒野の方の共有地に押し込めてるんですね。
    山里 へ~・・・。
    町山 で、彼女たちが、なんとか歌手になりたい、つって、街のライブハウスみたいな所に行くシーンがあるんですけども、
    山里 はい。
    町山 この『ザ・サファイアズ』っていう映画の一番あたまの所で。すると、彼女たちが舞台に出るだけで白人のお客さん達はみんな、「なんでこんなのが出てくるんだよ!!」みたいな感じで、「帰れよ!」みたいな感じなんですよ。
    山里 へ~・・・。
    赤江 酷いですねえ・・・・。
    町山 「観たくねえんだよ!!」みたいな。酷いんですよ、差別が。
    赤江 へ~・・・。
    町山 で、「私達、こんなに歌が好きで、歌で暮らしたいのに、もう何処にも、ここは行き場が無いじゃないの・・。」って感じなんですね。
    山里 うん。
    町山 で、ま、貧しい、ホントに掘っ立て小屋みたいなとこで暮らしてるんですけども。
    山里 うん。
    町山 その時に新聞広告を見てですね、アメリカ軍が歌手を求めてる、と。
    赤江 うん。
    町山 「アメリカ軍が歌手を求めてる」って言うとスゴイ変なんですけど(笑)、
    赤江 うん。
    町山 要するに、慰問団に参加してくれる歌手を求めてる、という広告を見るんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 で、「あ、これだったら私達、お金が無いから外国に出ることも出来ないし都会に出ることも出来ないけれども、歌手として、プロの歌手として外国に行けるかもしれない。」と。
    山里 ふん。
    町山 と言って、そのオーディションに、そのアボリジナルの女の娘たちが挑戦する、っていう話なんですね。この『ザ・サファイアズ』っていうのは。
    山里 なるほど・・・。
    赤江 これ、実際にあった話なんですか?
    町山 これ、実際にあった話なんですよ。
    赤江・山里 へ~。

    ~Conflict~
    映画の背景には「酷い」差別の歴史

    町山 これねえ、アボリジナルの人の、トニー・ブリッグスっていう人がいてですね、その人が、たまたまお母さんとテレビを観てたらしいんですね。
    赤江 うん。
    町山 で、なんか、ベトナムかなんかが映ったらしくて。そうしたらお母さんが突然、「あ~、私、若い頃行ったわ~・・・。」とか言ったんですって(笑)。
    赤江 ふん。
    町山 そうしたら、全然知らないから、息子が。
    山里 ふん。
    町山 「行った、って、何を?母ちゃん?」って聞いたら、「私ねえ、行ったのよ、あそこに。ベトナムに。」つって。
    山里 ふん。
    町山 「歌手として、プロの歌手として。」って言ったんで(笑)、「ナニ言ってんの?お母ちゃん?」って聞いたら、
    山里 うん。
    町山 その、サファイアズってバンドを組んで、アメリカ軍の基地を廻ってた、って話をし始めたんですね、お母さんが。
    山里 へ~・・・。
    町山 息子に。
    山里 はい、はい。
    町山 で、それを聞いて驚いて、そのトニーブリックさんが取材をして、サファイアズの、その不思議な話っていうのを、まず、舞台のミュージカルにして。で、それが当たったんで映画になったのが、今回のこの『ザ・サファイアズ』っていう映画なんですね。
    赤江・山里 へ~!
    町山 ハイ。
    山里 じゃ、お母さんが話さなかったら、この話は世に出ることも無かったかもしれない・・・。
    町山 そうなんですよ(笑)。お母さんもなんで話さないのか?と思うんですけど(笑)。
    赤江 (笑)。
    山里 確かに・・・。
    町山 お母さんは、看護婦さんをやってて、
    赤江 ええ。
    町山 まさか歌手だったとは、プロの歌手をやってたとは、息子も知らなかったみたいなんですけど(笑)。
    赤江 へ~・・・。
    町山 若い頃に・・・ハイ。でねえ、これ、監督さんもアボリジナルの人なんですね。ウェイン・ブレアっていう人で。
    赤江 うん。
    町山 この監督さんのお父さんていうのも、アボリジナルの人で初めてオーストラリア軍に入って、ちゃんとした士官になってベトナム戦争に従軍してる、初めてのアボリジナルの英雄なんですね。
    山里 へ~・・・。
    町山 で・・・いろいろ、縁があるんですけど。
    山里 うん。
    町山 何故そのお父さんが軍隊に入れたか、って言うと、1967年に、やっとアボリジナルの人権が認められたんです、オーストラリアで。
    赤江 はい。
    町山 それまでは選挙権も無くて、要するに、人間じゃ無い扱いだったんですけど。
    赤江 え~・・・。
    町山 67年にですね、やっとそうなったんで軍隊に入れたらしいんですね。
    山里 うん、うん。
    町山 ハイ。でねえ、彼女たちがバンドで出よう、って話になるんですけど、これ、出るためには、よく知らない黒人音楽をやんなきゃなんないじゃないですか。
    赤江 うん、うん。
    町山 アメリカ人がお客さんだから。
    山里 なるほど。
    町山 それに、米軍の、その頃ベトナム戦争に行ってた人達っていうのは、黒人の人達が圧倒的に多いわけですよね、かなりね。
    山里 ふんふん。
    町山 だからやっぱり、ソウル・ミュージックをやるしかない、と。
    山里 うん。
    町山 で、そこでですね、ソウル・ミュージックが大好きな、酔っぱらいのピアノ弾きが出てくるんですけども、
    赤江 ええ。
    町山 デイブっていう男で、この人は白人なんですがアイルランド系なんですね。
    山里 はい。
    町山 モンの凄く黒人音楽が大好きな白人なんですよ。
    赤江 うん。
    町山 で、「君たちは、こんなに・・・・」、ま、実際に色が黒くて、アボリジナルの人達っていうのは、オーストラリアでは「ブラック」って呼ばれてるんですね。
    赤江 へ~・・・。
    町山 アフリカ系が、アメリカで言われてるように。
    山里 はい。
    町山 で、「君たちはブラックなんだから、もっとブラック!な、ブラッカー!な音楽をやんなきゃダメだよ!」みたいなことを言って、
    赤江 うん。
    町山 で、ソウル・ミュージックを叩きこむんですよ。
    山里 へ~・・・。
    町山 ソウル・ミュージックの特訓をしてですね、それでオーディションに受かって・・・っていう話なんですけど。
    山里 うん。
    町山 ハイ。で、前半はねえ、特訓をして(笑)、オーディションに受かるまで。
    山里 はい。
    町山 後半はねえ、68年の戦場に行くんですけれども、ベトナムに。
    山里 はい。
    町山 これがまたねえ(笑)・・・、68年ていうのはねえ、ベトナム戦争最大の激戦期なんですよ。
    山里 は~!
    町山 実は。
    赤江 ええ。
    町山 これ、「テト攻勢」ってのがあったんですけど、
    山里 はい、はい。
    町山 それまでベトナムっていうのは、北ベトナムと南ベトナムに分かれて、南ベトナムの味方をしたアメリカ軍が北ベトナム軍と戦う、っていう状態だったんですけども、
    赤江 うん。
    町山 この頃からは、もう・・・前線だけじゃなくてそこら中で、ベトナム各地でゲリラが蜂起してですね、
    赤江 はい。
    町山 もう、何処から攻撃されるかわかんない状態になってるんですよ。
    赤江 誰が敵かもわからない、という・・・。
    町山 誰が敵かもわからない、もう、基地がバンバン攻撃される、と。
    赤江 うん。
    町山 それでもう、ボコボコにやられてる所に、この女の娘たちが行くはめになっちゃうんですね、サファイアズが。
    山里 は~・・・。
    町山 ・・・っていう話なんですよ(笑)。
    赤江 最前線じゃないですか。
    町山 最前線に行っちゃうんですよ。
    山里 いつ自分達がねえ、その、的になるかわかんない・・・。
    町山 そう。・・・ていうかねえ、これ、どう考えても最初からある程度、わかるべきだったんですねえ。
    山里 ほ?
    町山 だって、アメリカ軍の前線慰問に、何故オーストラリア人を呼ぼうとしたのか?って事ですよ。
    赤江 あ~・・・そっか・・・。
    町山 行く人がいないからですよ(笑)。
    山里 そっか・・・。
    赤江 国民からは募集してなかった、ということですか。
    町山 そう(笑)。
    山里 は~、なるほど!
    町山 これはねえ、ろくな事が無い事がわかってないのが、このアイルランド人のマネージャーはですね、わかってないんですね。その辺が、酔っ払ってボケてる人なんですよ(笑)。
    山里 (笑)・・・いっちばん大事なとこが・・・。
    町山 で、「ありゃ~・・。」とか言ってんですよ。
    山里 (笑)。
    町山 ナンなんだ、オイ!って。
    赤江 うん。
    町山 それで、行ったあと、怒っちゃうんですけど、女の娘たちが。「ナニよ、これ!」つって。
    赤江 うん。
    町山 「爆弾、ボンボン落ちてんじゃないの!」みたいな話で。
    山里 (笑)。
    町山 「でももう、お金もらっちゃったから行くしかないよ~。」とか言ってね。
    赤江 え~!
    山里 ちょっと、そんな・・・深い話じゃなくて、コメディなところもあるわけですか?
    町山 あ、コメディですね!ハイ(笑)、その辺は。
    山里 基本、コメディ?
    町山 コメディですよ。まわりに爆弾、ボンボン落ちてますけどね、ハイ。
    山里 へ~!
    町山 またねえ、この、女の娘たち4人てのもなかなかねえ、面白くてねえ。
    山里 はい。
    町山 真ん中のこの・・・あ、そっか、一番末っ子の女の娘はね、この人は実際に、ジェシカ・マーボイっていう大人気歌手の人が演じてるんですけども、オーストラリアの。
    山里 はい。
    町山 アボリジニーの中でも最も売れてる歌手の人なんですね。
    赤江 ええ。
    町山 物凄く歌が上手いんだけれども、物凄く気が強くて、っていう女の娘がリード・ボーカルで。で、次女の、そのお姉ちゃんていうのはですね、男の事ばっかり考えてるねえ、
    山里 ほう。
    町山 お尻がかる~いお姉ちゃんなんですよ。
    赤江 う、うん(笑)。
    町山 その一番上のお姉ちゃん、一番上の長女っていうのは、もう、おばさんみたいな感じで、お母さんみたいな感じで。
    山里 うん。
    町山 怒ってばっかりいる、と。
    赤江 イイですねえ、イイ個性の姉妹ですねえ。
    町山 その3人の姉妹がなかなか笑わせるんですけども。
    赤江 はい。
    町山 でも、3人だけじゃ、ちょっと声が弱い、って言って、
    山里 うん。
    町山 もっと厚みを出すため、踊りとかも見せるために、もう1人呼ばなきゃ、つって、「ずっと昔、子供の頃に一緒に歌ってた、従姉妹がいるの。」と。
    山里 ふんふん。
    町山 で、「従姉妹も連れて行きましょうよ。」つって、都会に従姉妹を連れに行くんですよ。
    山里 はい。
    町山 するとですねえ、都会の従姉妹は白人として暮らしてるんですよ、完全に。
    山里 へ~・・・。
    町山 ケイっていう娘でね。
    山里 はい。
    町山 これ、どういうことか、って言うと、1869年ぐらいから1969年までの100年間ぐらいに渡って、
    赤江 うん。
    町山 オーストラリア政府はアボリジニーの子供たちを、ちっちゃい子たちをですね、
    山里 はい。
    町山 誘拐してたんですよ。
    山里 え?
    赤江 え?政府が?
    町山 政府が。
    山里 え?
    町山 政府が、幼い子達で、肌の白い子達、白いアボリジニーの子達を誘拐して、白人の中で育てさせてアボリジナルの文化と隔絶してたんですね。
    赤江・山里 え~?!
    町山 アボリジニーの文化を滅ぼすためにやってたんですよ、それを。
    山里 え~・・・・。
    赤江 え~、国をあげて?
    町山 国をあげて。
    赤江 え~・・・。
    町山 これ、誘拐されるシーンてのが出てくるんですけども、
    山里 うん。
    町山 お母さんとか泣いて、子供を抱きしめて離さないようにして、子供もエンエン泣いてるのに、
    山里 うん。
    町山 政府の役人が来て、「オラ~!どけ~!」とか言って、バー!っとさらっていくんですよ、本当に。
    山里 へ~・・・。
    赤江 うわ~・・・。
    町山 ライフルとかで「バーン!」とか殴ったりして。
    山里 実際にあった話なんですもんね、それが・・・。
    町山 凄まじいことをやってて。しかもさらってった後、孤児院に入れるわ売春はやらせるわ、滅茶苦茶だったんですけども、
    山里 え~?!
    町山 この子は、たまたま白人の家庭で上手く育ってたんですけども、そうじゃ無かった子達も多くて。
    赤江 うん。
    町山 ストリートチルドレンになったりとか、酷かったんですね。
    山里 え~・・・。
    町山 しかもその、文化から隔絶されただけじゃなくて、自分の親が本当は誰だかわかんない状態にまでなっちゃって。
    赤江 メチャクチャしてますねえ・・・。
    町山 これ酷かったんで、あまりにも酷かったんで、やっと2008年にオーストラリア政府は、正式に謝罪したんですよ、アボリジナルの人達に。
    山里 2008年に?
    赤江 5年前じゃないですか!
    町山 そうなんですよ。今まで謝罪してなかったんですよ。
    山里 え~!
    町山 これは、本当に酷いことをした、と。
    山里 は~・・・。
    町山 これは完全な、文化虐殺行為だったから、
    赤江 うん。
    町山 これは酷い、ってことで。ま、謝ったんですけど、謝っただけで賠償してないんですけどね、一切ね。
    山里 へ~・・・・。
    赤江 う~ん・・・。
    町山 で、まあ、こういう酷いことをやってるんですけども。
    山里 うん・・・。

    ~Resolution~
    迫害された者達の魂の叫び「ソウル・ミュージック」

    町山 で・・・・この映画は、実際に酷いことをいっぱい、やっていることも描きながら、凄くこの、音楽で楽しく見せていく、っていうところでねえ、ま、上手い映画ですね。
    赤江 そうですねえ。この・・・だって、歴史の話だけ聞くと、暗黒の歴史ですよ、これは。
    町山 ホント、酷いんですよ。
    赤江 ねえ。
    町山 ただねえ、やっぱりねえ、面白かったのは、1967年に彼らは人権を掴むことができるんですけども、
    山里 はい。
    町山 その背景にあるのは、アメリカで実際に起こってた、1960年代初めの公民権運動なんですね。
    山里 ほう。
    町山 アメリカの黒人の人達っていうのは、南北戦争が終わって奴隷が解放された後も100年間も・・・選挙権が無くて。
    山里 う~ん・・・。
    町山 しかも南部では完全な人種隔離政策で、2級市民に置かれてたんですよ。
    赤江 う~ん・・・。
    町山 同じ学校に行けない、とか。
    山里 うん。
    町山 同じお店に入れないとか、バスにも乗れないとか、そういう形で差別されてたんですね。
    赤江 うん。
    町山 で、1960年代にマーチン・ルーサー・キング牧師っていう人が無抵抗運動というのをしてですね、非暴力運動をして戦って、64年にやっと平等の人権とか選挙権を勝ち取ったんですよ。
    赤江 はい。
    町山 それにかなり、影響されてるんですね、アボリジナルの人達の人権運動も。
    赤江 ふ~ん。
    町山 実際、そのマーチン・ルーサー・キング牧師をテレビで見て、アボリジナルの人達が感動する、っていうシーンも出てくるんですよ、当時の。
    山里 ふ~ん。
    町山 そこで繋がってくるんですね。というのは、ソウル・ミュージックっていうのは実はその、公民権運動による、黒人の人達の人権意識の高まりと、
    赤江 うん。
    町山 それに対する白人の応援、ていうことが絡まってソウル・ミュージックっていうのはヒットするんですよ、当時。
    山里 ふん。
    赤江 は~、そっか、そっか・・・。
    町山 黒人の人口っていうのは実際は1割ちょっとしかいないですから、
    赤江 はい。
    町山 彼らが人権を勝ち得ようとしたら、やっぱり白人の人の協力が無ければ勝てないわけですよね。
    赤江 うん。
    町山 その時に白人と黒人をつないだのがソウル・ミュージックだったんですよ。
    山里 へ~・・・・。
    町山 だって、みんなソウル・ミュージックは大好きだから。
    赤江 うん。
    町山 白人も。
    山里 ふん、ふん。
    町山 それで、ソウル・ミュージックってのは黒人の悲しみとかを歌ってるから、白人はそれで黒人の悲しみを理解するわけですよ。
    山里 うん。
    町山 で、ソウル・ミュージックっていう名前は、「ソウル(soul)」、「魂」っていう意味なんですよ。
    赤江 はい。
    町山 「私は何を歌ってるか?」「魂だ!」・・スゴイですよ。演歌どころじゃないですから。
    赤江 確かに。
    町山 それが、実際の黒人の人権運動の起爆剤になってるんですよ、ソウル・ミュージックっていうのは。
    赤江 うん。
    町山 それを、オーストラリアのアボリジニーの人が学んでいく。しかもその歌でもって、ベトナムに行って、戦っている黒人の人達、もう意味の無い戦いをさせられてる黒人の人達の心を癒す、っていうね。
    山里 ほう・・・。
    町山 スゴク複雑な・・・。
    赤江 うわ~、ホントですねえ。
    町山 ぐるぐる回る・・・(笑)。
    赤江 いや・・・なんかこう、いろんな物が、絡み合って・・・なるほど~。
    町山 絡み合って。ぐるぐるグルグル回ってる(笑)。
    山里 へ~!
    町山 ・・・感じになっていくんですね。その辺がねえ・・・ま、素材っていうか、実際にあったことなんで(笑)、
    山里 うん。
    町山 あの・・アイデアじゃ無いですけども、凄く深い物を感じさせる・・・。
    赤江 そうですね。さっきあの、曲を聴かせていただきましたけど、
    町山 はい。
    赤江 その「サファイアズ」の。
    町山 はい。
    赤江 なんかこう、やっぱり、ノリも良くて、
    町山 はい。
    赤江 気持ちが明るくなるような・・・そういうトーンですもんねえ。
    町山 ただね、最初ねえ、歌えないんですよ。彼女たち、そういう歌が。
    赤江 あ、ずっと・・・。
    山里 聴いてなかったから・・・。
    町山 そうそう、ノリが違うじゃないですか。
    赤江 カントリーウエスタンはね、はい。
    町山 ソウル・ミュージックってのは、いわゆる裏打ちのリズムなんですけど、
    赤江 ええ、ええ。
    町山 あの・・アボリジナルの人達は、ハワイアンみたいな歌を歌ってたわけだから、
    赤江 はあ・・・。
    町山 ノリノリの、ウンウン!ていう、和田アキ子みたいなアレが無いわけですよ(笑)。
    赤江 うん、うん。
    町山 和田アキ子さんは何故あるのかわからないですけども(笑)。
    山里 そうですねえ(笑)。ソウルと言えば、ってのはありますけども・・・(笑)。
    町山 ね。あの、「ノリ」が来ないから、このアイルランド人のピアノ弾きのオッサンがですね、
    赤江 うん。
    町山 「違うんだよなあ~!」とか言って、何度も何度も教えるんですよ。
    赤江・山里 へ~!
    町山 「そうじゃ無いんだよ~!!」とか言って。
    赤江 アイルランドの、そのピアノ弾きの人が・・・へ~。
    町山 そう。アイルランドっていうのも、ここでハッキリ言ってなくて。このアイルランドのピアノ弾きの人を演じてるですね、俳優さんのクリス・オダウドって人が言ってるんですけども、
    赤江 はい。
    町山 アイルランドの人が何故、黒人音楽が好きか、って言うと、
    赤江 うん。
    町山 これ、『ザ・コミットメンツ』(The Commitments)って映画にもなってるんですけど、ホントにソウル・ミュージックが好きなんですね、アイルランドの人ってのは。
    赤江 ええ、ええ。
    町山 「アイルランドも、イギリスに支配されて・・・」
    赤江 そうですよねえ。
    町山 「戦ったからだ。」と。「黒人と同じだからだ。」と。「奴隷に実際、されたからだ。」と。
    赤江 いろんな、迫害されてる人達が・・・。
    町山 そう。「我々みんな、抑圧された者達なんだ。」と。
    赤江 ねえ。
    町山 で、それを、「その魂を歌うんだ!」と。
    赤江 なるほど・・・。
    町山 と言って、歌を教えこむ、っていうシーンがあるんですけどもね。
    赤江・山里 へ~!
    町山 それで、その時にかかる曲っていうのがね、「アイル・テイク・ユー・ゼア(I'll Take You There)」って歌なんですけども、
    赤江 うん。
    町山 これがね、オカシイんでね、1968年が舞台、って僕、言いましたけど、
    山里 はい。
    町山 ここで流れる、この「アイル・テイク・ユー・ゼア」って歌は1972年のヒット曲なんですよ!
    山里 え?・・4年後・・・。
    赤江 ふん。
    町山 そう。
    山里 これ、なんでなんだ?
    町山 だからねえ、これ、歴史考証としては違ってるんです(笑)。この曲、まだ存在しないんです、この映画の時には。
    山里 ほう!
    町山 ハイ。ただこれを、「これがソウルなんだ!」つって、このデイブっていうアイルランド人が教えるのには、スゴク意味があるんですよ。
    山里 ふ~ん。
    町山 ていうのは、これはねえ、どういう歌詞か、って言うと、
    赤江 うん。
    町山 「アタシを連れてって!」って歌なんですね。
    山里 はい。
    町山 「アタシを差別の無い所に連れてって!」という歌なんですよ。
    赤江 へ~!
    町山 で、これは何を歌ってるか?って言うと、これは、マーチン・ルーサー・キング牧師のことを歌ってるんですよ。
    山里 へ~。
    赤江 ふ~ん・・・。
    町山 「私を、そういう差別の無い所に連れてって!」って言うと、「I'll Take You There」、「連れてってあげるよ」っていうふうにコールアンドレスポンスがあるんですけど、
    山里 ふん。
    町山 「連れてってあげるよ」って言ってるのは、マーチン・ルーサー・キング牧師なんですよ。
    赤江 ふ~ん!
    町山 これは、マーチン・ルーサー・キング牧師が暗殺されて亡くなったことから、インスパイアされて作られた歌なんですね。
    赤江 へ~!
    町山 だからこの歌を・・・ま、時代考証的には全然間違ってるんですけども(笑)、
    赤江 うん。
    町山 「これがソウルなんだ!」っていうふうにね、教えるところっていうのはスゴク意味があるんですよね。
    山里 ふ~ん・・・。
    赤江 わ~、そう思って聴くと、この曲もねえ・・・。
    町山 そう、これ、ラブソングとかそんなんじゃ無いんですよ。
    赤江 ただノリがいい、っていう曲じゃ無いんですねえ・・・。
    町山 全然違うんですよ。
    赤江 はあ~・・・。
    町山 差別の無い、平等な・・・約束の地に「連れてって!」っていう歌なんですよ。
    赤江 まさに「魂の叫び」ですよねえ、みなさんのねえ。
    町山 そうなんですよ。ま、ゴスペルなんですけどね、基本的にはね。
    赤江 へ~!
    町山 ハイ。
    赤江 そうですか・・・・。
    町山 それでもって、その、ベトナムの黒人兵と、アメリカのソウル・ミュージックと、アボリジニーの人達が繋がっていく、というねえ・・。
    山里 へ~!
    町山 まあ、そういう映画が『ザ・サファイアズ』ですね。
    赤江 へ~・・・・。ちょっと、不思議なねえ・・・繋がりがありましたねえ・・・。
    町山 はい。
    赤江 へ~。
    町山 日本ではねえ、もう、今年中に公開される予定らしいです、ハイ。
    山里 お!良かった、観れる。
    赤江 そうですね、日本でも、今年公開予定になるんではないか、ということで。
    町山 はい。
    赤江 これはちょっと、是非観たいですねえ・・・・。
    山里 うん。
    町山 はい、もう・・面白かったですよ。
    赤江 うわ~、町山さん、ありがとうございました。
    町山 はい。
    赤江 はい。今日は、町山智浩さんに映画、『ザ・サファイアズ』、ご紹介頂きました。えー、今年日本で公開される予定、とのことでございます。
    山里 うん。
    赤江 町山さん、ありがとうございました~!
    山里 ありがとうございました!
    町山 ハイ!どうもでした!

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