スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    『アイ・ウェイウェイ ネバー・ソーリー』(Ai Weiwei: Never Sorry)アート?イタズラ?チャイニーズ・アナーキスト【2013年3月19日たまむすび】

  1. スタジオ  赤江珠緒(フリーアナウンサー) 山里亮太(お笑い芸人、南海キャンディーズ)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    中国の有名芸術家のドキュメンタリー『アイ・ウェイウェイ ネバー・ソーリー』

    赤江 3時台はコラムコーナー『たいしたたま』。毎週火曜日はアメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんです。今週もカリフォルニア州バークレーの御自宅からお電話での御出演です。もしもし~、町山さ~ん!
    山里 もしも~し!
    町山 はい、もしもし町山です。よろしくお願いします。
    赤江 よろしくお願いいたしま~す。
    山里 お願いしま~す。
    町山 どうもです~。
    赤江 町山さん、日本は急に暖かくなりまして、春がやって来ましたよ。
    町山 あ、そうなんですか。
    赤江 うん。
    町山 アメリカはもう、桜とか全部咲いちゃったんですけどねえ。
    赤江 あ、そうなんですねえ・・・。
    町山 ここから先は、あんまり暖かくなんないんですよ
    山里 (笑)・・・もう・・・もう、暗~い気持ちになっちゃう・・・。
    町山 1年中大体、おんなじくらいです、大体。
    赤江 あ~、そうですか・・・。
    山里 あ、そうなんすね。
    町山 夏も涼しいですし・・・10月にちょっと暑くなるだけですね。
    赤江 へ~。安定してますね。
    町山 はい。
    山里 これ、町山さんにご紹介頂いた映画も今、どんどんと公開してまして、こちらの方は。
    赤江 そうそう、そう。
    町山 あ~!今、日本の映画館で、アカデミー賞にノミネートされた作品が次々と公開されているみたいで。
    山里 そうなんですよ・・・観たくて観たくて。『クラウド アトラス』(Cloud Atlas)も、ねえ、つい最近始まって・・・。
    町山 あ、そうなんですよ。結構、傑作ばっかりなんで、楽しいですよ、日本の映画館は今ね。
    赤江 楽しいですねえ・・・。
    町山 はい。
    赤江 さあ、そんな中、町山さん、今日ご紹介頂けるのが、中国のドキュメンタリーだと。
    町山 これねえ、えっとねえ、映画自体はアメリカ映画なんですよ。
    赤江 あ、そうなんですね。
    町山 監督とか、お金出してる人はアメリカ人で。ただ、あの・・・撮影されてる場所と出てくる人は全部中国人という・・。
    赤江 へ~。
    町山 ・・・ドキュメンタリーです、はい。
    山里 ドキュメンタリー・・。
    町山 タイトルはですね、『アイ・ウェイウェイ ネバー・ソーリー』(Ai Weiwei: Never Sorry)というねえ、タイトルで。
    Title0319.png

    山里 ふん。
    町山 アイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)というのは人の名前ですね。
    山里 はい。
    町山 で、ネバーソーリー(Never Sorry)ってのは「絶体あやまんねーよ!」っていう意味なんですよ。
    山里 ふん。
    町山 (笑)・・「謝ってたまるか!」っていう意味なんですけど。
    山里 はいはい。
    町山 これ、アイ・ウェイウェイって人は中国の・・・なんていうのかな・・・芸術家、っていうか、アーティストなんですけど。
    赤江 ええ。
    町山 物凄く有名なのは、2008年のオリンピックで、北京オリンピックで、
    山里 はい。
    町山 あの・・・スタジアムがあったじゃないですか、凄い・・・。
    山里 あ、あの、「鳥の巣」っていうやつですよね?
    町山 そうそう、「鳥の巣」。あれのデザインをやった人なんですよね、このアイ・ウェイウェイっていうオジサンは。
    赤江 へ~。
    山里 相当、凄い人だ。
    町山 スゴイ人で。そう聞くと、中国の政府からオリンピックの仕事を貰ったぐらいだから、物凄い、政府に可愛がられてる人、って感じがするんですけど。
    山里 はい。
    赤江 なんか、国家的に応援されてそうですけどねえ。
    町山 そうそう、そう。ま、そういう人だったんですけども(笑)、トンデモナイことをして、全然違う方向に行ってるんで、その人のデタラメな(笑)・・・暴れっぷりを捉えたドキュメンタリーなんですね。
    赤江 へ~。

    ~Conflict~
    アートとイタズラの境界線を暴走していく芸術家達

    町山 どのくらい、まあ、ヒドイことをいろいろしているか、っていうとですね、
    赤江 うん。
    町山 まず、分り易い例はですね、『漢時代の壺を落とす』っていうアートがあるんですよ、この人の。
    山里 漢時代・・・はい。漢の時代・・・。
    町山 漢ていうのは、「後漢」ていう時代の・・・だから、2千年位前の、
    山里 ふん。
    町山 本物の壺。
    赤江 うわ・・・。
    町山 1個、何千万円とか何億とかするような壺を、
    赤江 そうでしょう、メチャクチャ貴重になるでしょう?漢の時代とかになると・・・。
    町山 そうなんですよ。壺とかって、すぐ割れちゃうから完璧な状態で発掘されてる物ってのは高いわけですよね。
    赤江 はい。
    町山 それをね、落っことすところを写真に撮って、「これがアートだ!」って言ってる人なんですよ。
    山里 え~?!
    赤江 あ・・・ここに写真がありますけれども・・・。
    町山 はい。
    Tubo.png
    赤江 えっと・・・壺を抱えている人、
    町山 はい。




    赤江 手を放して壺が落ちる瞬間。・・・・・・・・

    ・・・



    ・・・割れた・・・・



    これ、本人ですか?

    町山 本人。このオッサンがですね、この気の良さそうなオッサンがですね、アイ・ウェイウェイさんなんですけど。
    山里 は~、この方。
    町山 1957年生まれですね。だから今、50幾つかな?
    赤江 ええ。
    町山 これがねえ、ホントに、本物の壺を骨董品屋から高いお金を出して買ってきて、落っことして割ってるんですよ。
    山里 え~!
    赤江 ・・その写真が3枚並んでますねえ。
    町山 そうなんですよ。で、これを見た人達がいろんな反応をするわけですよね。
    赤江 ええ。
    町山 「中国の歴史的な物を壊して遊んでんのか!」と。「ふざけんな!」と。
    赤江 そりゃなるでしょうねえ。
    町山 「国に対する冒涜だ!」とか、「愛国心が無いのか!」とか。
    赤江 うん。
    町山 そういうことで大論争を巻き起こすことを次々とやってる人なんですよね。
    山里 へ~。
    町山 で、もう一つね、そっちに行ってるアートで、
    山里 はい。
    町山 えっと・・・唐の時代の、やっぱり壺に、
    山里 (笑)・・。
    町山 「コカ・コーラ(Coca-Cola)」って書いてあるやつがあると思うんですけども、
    TuboCoka.png
    赤江 (笑)。
    山里 ありますねえ。
    町山 ねえ!
    赤江 ・・・唐時代のねえ、素焼きみたいな壺に、
    町山 そう。
    赤江 ちょっとオレンジがかった素焼きの壺みたいなのに見事に「Coca-Cola」って入ってますねえ。
    山里 書いてますねえ、あのロゴがねえ。
    町山 そう・・・これ、本物の、唐の壺なんですって。
    赤江 へ~!
    町山 唐って言えば、遣唐使の時代ですよ。
    山里 そうだ。
    赤江 うわ!
    町山 (笑)・・だからこれだけで数千万円すんじゃないかと思うわけですけど。
    赤江 ええ。
    町山 ま、値段はわかんないですけどね。
    赤江 いや・・・
    町山 それに「Coca-Cola」って書いちゃってるんですよ。
    赤江 え~!だからもう、奈良の大仏様ぐらいに・・・
    山里 ・・に、そうよ、落書きするようなモンよ。
    町山 落書きしてんですよ。
    山里 へ~・・・。
    町山 これもう、骨董品としての価値を、全部破壊しちゃてるわけですよね。
    山里 これ・・・どういうメッセージがあるんですかね?これに。
    町山 だからこれ、いろんな事を考えるじゃないですか、見ると。
    赤江 オレンジにオレンジだから・・・・まあ、キレイって言えばキレイな気もしますけど(笑)。
    山里 キレイ・・そこじゃないでしょ!赤江さん!
    町山 (笑)。
    赤江 デザイン的に・・・ん?嫌いじゃ無い、みたいな感じですけど・・(笑)。
    町山 (笑)。
    赤江 ハハハ・・・。
    町山 でも、こうやって骨董品としての価値を壊しちゃっていいのか?とか、これは、伝統に対する冒涜なのか?とかね。
    山里 うん。
    町山 あと、コカ・コーラってね、中国で物凄く売れてるんですよ。
    赤江 へ~。
    町山 コカ・コーラって実は、アメリカでも売上が伸びてなくて・・・甘いから。
    赤江 ええ。
    町山 身体に悪い、ってことで攻撃の対象になってるんですよね。
    山里 へ~。
    町山 日本ではコカ・コーラはあんまり売れなくて、コカ・コーラの会社自体が、ウーロン茶とかコーヒーとかを出して利益をあげてるじゃないですか。
    赤江 はい。
    町山 そんな中でね、中国だけがコカ・コーラがめちゃくちゃ売れてるんですよ。
    赤江 へ~・・・。
    山里 へ?なんでだろ・・。
    町山 これはやっぱりねえ、資本主義の象徴みたいなとこがあるみたいなんですね。
    山里 へ~。
    町山 「オシャレ」みたいな。
    赤江 あ~・・・。
    町山 だから、そういった物に対する批評なのかな?とかですね、
    赤江 ええ。
    町山 いろんな事を考えるわけですよ。その、中国の骨董品に「Coca-Cola」って書いてある物を見て。
    赤江 なんか、中国とアメリカの融合、みたいな・・・その辺り、ね。
    町山 そうそう、そう。
    山里 絶体ね、交わるはずが無いのに・・・。
    赤江 不思議な気分にはなりますね。
    町山 「資本主義化される、アメリカ化される中国」とか、いろんな事を考えますよね。
    山里 は~!
    町山 そういうことをやってる人なんですけど。ま、怒る人もいますよね(笑)。
    赤江 いや、そうですよ。大前提として、「ナニやっちゃってるんだ!」っていうのは(笑)・・・ついてきますもんね。
    町山 そうそう、そう。落書きですから。基本的に。
    山里 (笑)。
    町山 はい。で、この人がどうしてこういうことをやってるか、っていうと、まずね、マルセル・デュシャン(Marcel Duchamp)ていうね、芸術家がいるんですよ。
    赤江 はい、はい。
    町山 いたんですけどもね。
    赤江 ええ。
    町山 ま、1900年代の初めに活躍した人ですけども。
    赤江 ええ。
    町山 この人がやってた芸術に物凄く影響を受けてるんですね。このアイ・ウェイウェイさんは。
    赤江 ええ。
    町山 で、デュシャンがやったのではね、2つ有名なものがありまして、1つはですね、あの・・・トイレで、男の人がオシッコをするトイレってあるじゃないですか(笑)。
    山里 はい。
    町山 「アサガオ」っていうやつですね。
    赤江 はい。
    町山 あれを展覧会に持ってきて、「これ、私の作品です。」つって、展示しようとしたんですよ。
    赤江 え?
    町山 便器屋さんに行って便器を買ってきて、それを展示したんですよ、デュシャンて人は。
    赤江 ふん。
    町山 「アートですから。」って言って。
    山里 なんかこう、加工したりとか・・・加工とか無しでそのまんま、ってことですか?
    町山 加工とか無しで。名前だけ、サインだけして。
    山里 え?
    Asagao.png
    町山 「これ、アートです。」って、「『泉』っていうタイトルで飾ってください。」つったんですね。
    赤江 うん。
    町山 で・・・「ナンだこれは?!」と。「これはお前が作った物ですら無いじゃないか!」と。
    山里 うん。
    町山 「そこらで売ってる物を買ってきて、何が『アート』だ!」ってことで問題になったんですよ。その時に起こった問題っていうのは、「何を以てアートと言うのか?」っていう、疑問みたいなものを提示したんですね。
    山里 ふんふん。
    町山 で、もう一つはですね、ま、有名なレオナルド・ダビンチの『モナ・リザ』って絵がありますけど、
    山里 はい。
    町山 その複写の絵のモナ・リザの顔のとこに髭を書いたんですよ。
    山里 うん。
    町山 で、それだけ・・・髭を書いただけの物を出したんですよ。
    赤江 うん。
    HIgeriza.png
    町山 「アートです。」つって。
    山里 え?
    町山 これ、落書きなわけですよ、ただ単に(笑)・・・。
    山里 そうですよねえ、ただの・・・。
    町山 ・・ね?それをやったのがデュシャンさんなんですね。
    山里 ほうほう、ほう。
    町山 だからこの、アイ・ウェイウェイって人は、まさしく、デュシャンのやってることを今やってるんですよ。
    赤江 ふ~ん。
    町山 これ、今頃やってて古い感じもちょっとするんですけど、中国ってのは、今やっとそういうことが起こってる時代なんですね。
    山里 あ~・・・そっか・・・。
    町山 日本ではね、こいうことをやってる人達はいたんですけど、それ、1960年代にやってたんですよ。
    赤江 へ~。
    町山 オノ・ヨーコさんていますよね?ジョン・レノンさんの奥さん・・。
    赤江 はい、はい。
    町山 彼女は、60年代に日本でそういうことをやってたんですよ。
    赤江 ふ~ん。
    町山 横尾忠則さんとか岡本太郎さんとか、
    赤江 はい。
    町山 ああいう人達は60年代にいろんなそういう・・・ハプニングとかですね、
    赤江 ええ。
    町山 こういうアート活動をしてたんですよ。一種の破壊的な。
    赤江 あ、「芸術は爆発だ!」っていうことで・・・、へ~。
    町山 はい。例えば、この人達がやってたので一番ショッキングだったのは、銀座のど真ん中でもって突然いろんな物を掃除し始めるんですよ、白衣を着た人達が。
    HiRedCenter.png
    山里 ふん。
    町山 白衣を着た人達が道をいきなり掃除し始めたら、みんなどう思うか、つったら、何か病原体が発生したのかと思って、みんなパニックになりますよね。
    山里 あ、はあ、はあ!
    町山 そういうことをやって(笑)、イタズラしてた人達がいるんですよ、日本にも。
    山里 え~・・・。
    町山 もちろん大変な問題になりましたけど(笑)。
    赤江 いや、確かに、アートとイタズラの境界線て、そう言われればホントに難しいですね。
    町山 そう。多分、無いんですけど。イタズラとアートって似たようなものなんですけどね。
    赤江 うん。
    町山 とにかく、見た人がそれをもっていろんな事を考える、と。
    山里 は~・・・。
    町山 で、今まで気が付かなかったことに気が付いたり、考えなかったことを考えるようになる、っていうところで・・・・。まさにその・・・その、便器自体を持って行く、って、便器自体はアートでも何でもないわけですけど、それを見た時に人の心の中に起こることがアートなんですよね。
    赤江・山里 は~・・・。
    町山 で、それをやってるのがアイ・ウェイウェイさんで。で、この人が段々、過激になっていくんですよ。
    赤江 え?でも、中国ってなんか、凄く、いろんな締め付けが厳しいっていうイメージがありますけど・・・。
    町山 そうそう、そう。だから、その中でやっぱり、アートをやりたいな、と思ったらどんどんメチャクチャなことになっていくんですけれども。
    山里 うん。
    町山 で・・・この人はまずその、「鳥の巣」っていうオリンピックの会場を作ったことで、本当は、政府に一番気に入られるお気に入りのアーティストになるはずじゃないですか。
    山里 うん。
    町山 政府のお金をガンガン使ってアートをやればいいわけなのに。
    赤江 はい。
    町山 そうじゃなくて、その時にちょうどですね、四川・・・まあ、あの、「スーチャン」て読むんですかねえ?あれ、ねえ?
    山里 はい。
    町山 そこで大地震が起こったんですね。
    山里 うん。
    町山 で、地震が起こって、地震そのものよりも、手抜き工事をしていた公共建築物が倒壊して大量の子供が死んだんですよ。
    赤江 あ~、そうでしたねえ、ええ。
    町山 学校が倒壊してね。
    赤江 学校がね、はい。
    町山 スカスカの建築をしてたんで。
    赤江 うん。
    町山 この人はそれで、「なんだ?大変なことが起こったな。」と思って調べたら、子供達の死傷者の人数を隠してたんですね、中国政府が。
    赤江 は~・・・。
    町山 で、このアイ・ウェイウェイさんは怒ってですね、徹底的に調べ始めるんですよ。
    山里 うん。
    町山 具体的な名前を。
    山里 ふんふん。
    町山 で、誰が、何人死んだのか、ってことを全部調べて、全部インターネットで発表するんですね。
    山里 へ~!
    町山 その人数と全く同じだけのランドセル、ま、ランドセルっていうかリュックですけども、中国だから。
    赤江 ええ。
    町山 リュックを集めて、その死んだ子供の数と同じリュックでもってアートを作るんですね。
    赤江 は~!
    町山 で、徹底的に中国政府の責任逃れと隠蔽工作と戦い始めるんですよ、この人が。
    山里 へ~!
    赤江 あ、ホントだ。ここに「蛇の天井」という作品・・。
    町山 はい。
    Hebi.png
    赤江 通学用のバックパックを蛇の形に繋げた作品、て・・・・これはそういうことなんですね。
    町山 震災で亡くなった子供達に捧げるアートなんですね、それはね。
    山里 ふ~ん。
    町山 で、この辺からどんどん、政府との戦いになっていくわけですよ。
    山里 あ、こっから・・・これがきっかけなんですね。
    町山 この辺からですね。
    山里 へ~。
    町山 でねえ、この人ねえ、その頃、政府に可愛がられてたもんだから、上海にですね、物凄い巨大なアトリエを作ってもらうんですけども、
    赤江 はい。
    町山 政府と戦い始めたからアトリエを壊されちゃうんですよ。
    赤江 ま、そうなるでしょうねえ、うん。
    町山 強制破壊されちゃうんですね、アトリエを。
    山里 へ~!
    町山 で、頭にきたから、強制破壊されるその日の前日にですね、「蟹パーティー」をしよう、つって、
    山里 ふん。
    町山 「みんなおいで!」つって、「蟹をいくらでも食べ放題で蟹パーティーをやるよ!」って言うんですね。
    山里 ふん。
    町山 インターネットで集めて。
    赤江 ええ。
    町山 これは一体、何なんだろう?って、僕、わかんなかったんですけど、
    山里 はい。
    町山 これねえ、「川蟹」っていう蟹があって、中国に、
    赤江 はい。
    町山 それはねえ、「ホーシエ」って発音するらしいんですけども、
    山里 ふん。
    町山 それは、中国の、その頃中国政府がやってた、胡錦濤のやってた政策が「ホーシエ政策」って言うんですね。
    山里 はい。
    町山 「ホーシエ」ってのは違う漢字を書きまして、「和諧」って書くんですけど、「和諧」の「諧」は「諧謔」の「諧」っていう字を書くんですが。
    山里 ふん。
    町山 「調和のとれた社会主義」っていうものを提唱したらしいんですよ、中国政府が。
    赤江 へ~。
    町山 それは、資本主義化していく中で貧富の差とか出来るんだけども、それをなんとかバランスをとって行こう、っていう意味で言ってるんですけども、
    赤江 うん。
    町山 実際は何をしてたか、って言うと、調和のとれた平和な社会にするために言論の自由を制限しよう、っていう方に使われたらしいんですよ、その「ホーシエ政策」っていうのは。
    赤江 ええ。
    町山 要するに、インターネットとかで政府批判とか出ると、それが削除されるわけですね。
    赤江 そうですね、実際にそうでしたもんねえ。
    町山 そうそう。それを、「ホーシエされた」って言うらしいんですよ。
    山里 は~。
    町山 (笑)、「和諧された」って言うんですって。
    赤江 へ~。
    町山 で、「和諧」ってのは偽善的な言葉なわけですね。
    山里 うん。
    町山 「和諧された」って言いながら、実際は言論統制をやってたわけですよ、中国は。
    山里 うんうん。
    町山 「和諧した」とか言いながら、「和諧のためだ」って言いながら。
    赤江 うん。
    町山 で、それに対する皮肉として、「和諧」って言葉と同じ発音をもつ「ホーシエ」っていう川蟹を皆で喰らう、っていうパーティーをやったんですって。
    赤江 は~、なるほど・・・。
    山里 皮肉なメッセージを。
    町山 「そんなもん食っちまえ!」ってことで。
    赤江 へ~。
    町山 で、そっから段々、メチャクチャなことを(笑)、この人、いろいろやり始めて、
    山里 ふん。
    町山 あの・・・「ファックサイン」てのがアメリカにありますよね?
    山里 はいはい。なんか指を立てるやつ。
    町山 中指を立てるやつ。
    赤江 はい。
    町山 それを全世界でやる、っていうのをやったりするんですよね。
    赤江 全世界でやる?
    町山 これ、どういうのかって言うと、まず天安門広場で、天安門の建物に向かってファックサイン出してる写真を撮るわけですよ。
    山里 へ~。
    町山 あと、天安門広場の前で、えー、なんていうか、裸にコートだけを着て、このアイ・ウェイウェイさんがですね、
    山里 はい。
    町山 で、バッとコートの胸をはだけると、胸に「Fuck!」って書いてあるんですよ。
    FuckTenan.png
    山里 (笑)。
    町山 で、写真を撮る、とかですね。
    赤江 ・・ちょっと、ワイルドな露出魔じゃないですか、それ、ねえ。
    町山 そうですね、この人、もっと若い頃はね、女の娘を天安門広場の前に連れてって、スカートをパッとめくってパンツを見せて写真を撮る、とかそんなことをやってたんですけど。
    山里 え?
    町山 (笑)・・そういうことをやってた人なんですけど。
    赤江 多岐にわたって・・・なるほど、ハイ。
    町山 そう。そういうことをやっててですね、段々もう、この映画の中で、途中で行方不明になっちゃうんですよ、アイ・ウェイウェイさんて。
    山里 え?
    町山 撮影スタッフとかいるのに、「行方不明だよ。」とか言ってて(笑)。
    赤江 ええ。
    町山 それで、どうしたのかって言ったらやっぱりねえ、当局に逮捕されてずっと監禁されてるんですよね。
    山里 は~!
    町山 もう、結局そういう状況になっちゃって、どんどん、どんどん、政府に・・・目を付けられて、
    山里 ふん。
    町山 酷いことになっていくんですけども。暴行もされるし。
    赤江 へ~。
    町山 ハイ。でも全然挫けないんですね、この人。見た目がこういう感じなんで、全然挫けない人なんですよ(笑)。
    赤江 うん・・確かにこう、気の良いオジサン、ていう・・風体ですねえ。
    町山 ちょっと、ヘラヘラしてる人でねえ。
    山里 騙し屋の、良い時の顔に似てる。
    赤江 確かに(笑)。
    町山 そうそう。ニコニコしてるんですけど。
    山里 うん。
    町山 この人ねえ、このドキュメンタリーが面白いのはねえ、なんかね、あの・・・ちっちゃい子が、2歳ぐらいの男の子が遊んでるんですね、いつも。このアイ・ウェイウェイさんと。
    赤江 うん。
    町山 で、インタビュアーが「この子は誰ですか?」って聞くと、「オレの息子だよ。」って言うんですね。
    山里 ふん。
    町山 「え?息子さんなんですか?でも、奥さんとの間にお子さんいないですよね?」、「ああ、いないよ。」つって。「この子はどの女の人の・・・子供なんですか?」って言うと、「ああ、結婚してないけど、他所で作った。」とか言ってんですよ。
    赤江 え?
    町山 それで、「え?!」つって、「アナタの子供が欲しい、って言われたから作ったの!」とか言ってるだけで、全然ヘラヘラしてるんですよ、この人(笑)。
    赤江 (笑)・・。
    町山 もうとにかくねえ、大雑把でねえ、大様な人なんですよ。
    赤江 は~・・・ちょっと、いろいろ枠に収まりきらない・・人ですねえ。
    町山 収まりきらないんですよ。
    山里 いたな、破天荒が。
    町山 大物・・・(笑)、なんですよねえ。
    赤江 ええ。
    町山 ちなみに奥さんもねえ、このお母さんも美人ですけど。ま、それはいいんですが。
    赤江 へ~。
    町山 ハイ。そういうことをやってるうちにね、どんどん、変なコトになっていくんですけど。
    赤江 うん。
    町山 あの・・・途中からですね、これ、「草」って書いて、「草」って「葉っぱ」ね。
    赤江 はい。
    町山 「草泥馬」、「草」に「泥」に「馬」って書いて、漢字3文字のですね、
    山里 はい。
    町山 動物を作って・・・それでいろんな事をし始めるんですね、このアイ・ウェイウェイさんが。
    山里 はいはい。
    町山 これ、「草泥馬」ってのは実在しない動物らしいんですけども、
    山里 はい。
    町山 アルパカみたいな形の馬としてですね、ぬいぐるみを作ってですね、
    赤江 うん。
    町山 そのぬいぐるみを股間に当てて(笑)、全裸で。アイ・ウェイウェイさんが。
    赤江 うん。
    町山 全裸で、その・・・・(笑)、もう、ややこしい話なんですけど、「草泥馬」のぬいぐるみで・・・アソコを隠した写真、てのを発表するんですよ。
    山里 これ、来てますね、こちらにその写真。
    赤江 そうですねえ。
    山里 相当面白い写真が来てるんですよ。
    赤江 そして・・・飛んでますねえ。
    町山 (笑)・・相当、キテるでしょ?これ(笑)。
    KusaDoroUma.png
    山里 はい。
    赤江 ジャンプしてますね。
    町山 ねえ、いいカラダしてるしねえ。
    山里 そう、ちょうど面白い身体してるんですよ。
    町山 してるでしょ?
    山里 はい。
    町山 これを発表するんですよ。それで、そこにつけたキャプション、写真のタイトルがですね、『草泥馬を中央にあてる』って書いてあるんですね。
    山里 はい。
    町山 ・・・中央ってのは要するに、あの・・・タマキンのとこですけど(笑)。
    山里 (笑)。
    町山 で、これが大問題になっちゃうんですよ。
    山里 え?
    町山 これねえ、「草泥馬」っていうのは中国語で「ツァオニーマ―」って発音するんですね。
    山里 「ツァオニーマ―」、はあ。
    町山 「ツァオニーマ―」って言うのは、英語で言うと「マザーファッカー(MotherFucker)」って意味なんですよ。
    山里 あ~、思いっきり挑発の言葉を・・・。
    町山 そう。あの・・・クエンティン・タランティーノの映画に出てくるサミュエル・L・ジャクソン(Samuel Leroy Jackson)ていう黒人の俳優さんが、よく映画の中で「マザーファッカー!」って言うんですけども、
    赤江 はい。
    町山 要するに、「自分のおふくろさんですらやってしまうような、人間のクズ」って意味なんですね。
    赤江 は~!
    町山 「マザーファッカー」っていうのは(笑)。
    赤江 ええ、ええ。
    町山 で、「マザーファッカー」を中央にあてる、つってるんですけど、中央にあてるの「あてる」は「当(トウ)」っていう字を書きますね?「当たる」っていう字ですね、日本語でね。
    赤江 はい。
    町山 「当(トウ)」っていうのは、「共産党」の「トウ」なんですよ。
    赤江 え~?
    町山 発音が同じなんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 で、中央なんですよ。だから、「中国中央政府共産党マザーファッカー!」つってるんですよ、これは。
    山里 うーわ!
    町山 発音が同じなんですよ。
    赤江 うわー!物凄い政府批判じゃないですか。
    町山 そうなんですよ。
    山里 この写真で(笑)?
    町山 こういうことをやってるから(笑)、何度も逮捕されてるわけですけども。
    赤江 この可笑しなオジサンの写真1枚で、そんな強いメッセージが・・・。
    山里 全裸のオジサンが股間に人形をあてて、ダー!ってジャンプしてんだよ(笑)。
    町山 (笑)・・・カワイイぬいぐるみで股間を隠してるんですけど(笑)。
    山里 ね!スゲー楽しそうにジャンプしてる写真なのに。
    町山 (笑)、そうそう。実はとんでもないメッセージがあるんですよ。
    山里 へ~!
    赤江 え、でもあの、中国でそんなメッセージを発信するってことは、これは本当に、命がけと言うか・・・そんな、じゃないですか?
    町山 そうですよ。中国ってのは、ホントにもう、凄く歪んでるから、社会に対する反発心とかを反日とかに捻じ曲げちゃうぐらい、政府の圧力が強いとこですよね?
    赤江 はい。
    町山 この人はそうじゃなくて。もう、そんなんじゃ無いんですよ、もう。
    赤江 うん。
    町山 ハッキリと、中国政府に対して戦ってるんですよ。
    赤江 へ~!
    町山 これがまたねえ、ただ反中国、反共産党っていうだけでも、全然無いんですね、この人ねえ。
    赤江 なるほど・・・。
    町山 さっき言ったファック(笑)・・「ファックサインプロジェクト」ってのは全世界でやってて、
    赤江 ええ。
    町山 あの(笑)・・・ホワイトハウスとかの前でもやってるんですよ。
    山里 ええ?!
    町山 ホワイトハウスに向かってファックサインを出したり、エッフェル塔に向かってファックサインを出したり。
    赤江 え~!
    町山 ルーブル美術館に行ってモナ・リザの絵に対してファックサインを出したりしてるんで、
    赤江 (笑)・・。
    町山 この人、徹底的なアナキストなんですね。
    赤江 ええ。
    町山 どんな権威も、政府も、全部敵って考えてる人だから、
    赤江 うん。
    町山 さっき言った、ファックマザー・・ファッカープロジェクトっていうのも、全世界の人達を集めて、それぞれの、各国の言葉でもって「祖国マザーファッカー!」って全員言わせてるんですよ。
    山里 え!
    町山 全ての国の人達に。
    赤江 うん。
    町山 これもう、スゴイですよ(笑)。こうなると、「中国は嫌いだ。」とか言ってる日本の人が、じゃあこの人は好きなのか?つったら、でも、「祖国なんかクソ食らえ!」つってる人なんですからね。
    山里 うん。
    町山 もう、これは、スゴイことをやってる人なんで。まあでも、本人はイタズラのつもりなんでね。
    赤江 そうですねえ。ちょっと、町山さんの今までの、全部の話を聞いて、最初の『漢時代の壺を落とす』っていう作品を見ると、「は~!」って気になりますねえ。
    町山 はい。
    赤江 最初、「ナニやっちゃってるんだ?」っていう(笑)、感じでしたけれどもねえ。
    町山 そうそう、そう。
    山里 壮大な悪ふざけですよ、これ。
    町山 そう。だからもう、いろんな事を考えさせる・・・ちなみに、中国は文化大革命の時に毛沢東は、中国の昔の伝統的な物を全部壊させたんですよね。
    赤江 そうですねえ。
    町山 そういうことも含めて、中国がやってきたことでもあるしねえ。
    赤江 へ~・・・。
    町山 で、今逆に、伝統だかを守ろう、つったりして、「コロコロ変わってんじゃねーよ!」とかねえ、そういったことも言ってるんですけど。
    赤江 あ~、そっかそっか。そういう意味合いも込められてるんですねえ・・・。

    ~Resolution~
    「Never Sorry」と「So Sorry」

    町山 それでねえ、面白いのは、「あなたのアートは、アートとして素晴らしいものだと思いますか?」っていうインタビューが中で出てくるんですね。
    赤江 はい。
    町山 「芸術ですか?」と。「立派な芸術だと思いますか?」って聞かれて、「いや、別にそんなことは思わないよ!」ってハッキリ言ってるんですよ。
    赤江 ふ~ん。
    町山 「私は、政府が叩いてきたから、それに対して抵抗するイタズラをしてるだけだ。」と。
    赤江 うん。
    町山 「反応としてやってるだけで、向こうが叩けば叩くほどこっちも出る、というだけでやってるんだ。」って言ってるんですよ。
    赤江 ふ~ん。
    町山 「これは立派な芸術ですよ。」とか言わないとこもカッコイイんですよね~。
    赤江 へ~・・・。
    町山 ま、基本的にロックな人だと思うんで。それで、今何をやってんのかと思ったら、中国ではもう、殆ど軟禁状態であんまり外へ出れないんですけど、
    山里 へ~。
    町山 最近ニュースで出たのは、CDを作ってるんですって、今。
    山里 はい。
    町山 ミュージシャンになるんですって、今度。
    赤江 うん。
    町山 「ヘビメタのレコードを録音中」っていうニュースが今出てるんですよ(笑)。
    山里 (笑)・・・ライブとか面白そうだな、この人の。
    町山 (笑)・・・ねえ。ヘビーメタルだって(笑)・・・。もう、何を考えてるかよくわからないんでね、この人は実に面白いですからねえ、
    赤江 そうですねえ。
    町山 まあ、是非、注目していってもらいたいと思います、ハイ。
    山里 ドキュメントでその、いろんな姿を見れるということで・・・。
    赤江 うん。でも確かに皮肉なことに、政府が叩けば叩くほどこの人の価値が上がりますもんね。
    町山 そうなんですよ。で、しかもね、真面目に・・・正義で戦ってる、っていうより、遊んでるとこがいいですね。
    赤江 ね。作品はねえ。ほっとかれると特になんてこと無い、ってことになっちゃいますもんね。
    町山 基本的にイタズラであるから、怒ると怒った方がバカに見えるんですよ。
    山里 は~!
    町山 そこがスゴイなあ、と思いますね、ハイ。
    赤江 へ~!
    町山 「冗談だから」っていう所は、あくまでも冗談のまま行ってるんでね。
    赤江 うん。
    町山 そこが面白い、と。・・いうとこでアイ・ウェイウェイさんの『ネバー・ソーリー』というドキュメンタリー映画でした、ハイ。
    赤江 だからその奥さんとかキレイなんじゃないんですか?モテるっていうのがあるんじゃないですか?
    山里 そういう男に惹かれるのかな・・・。
    赤江 意外と・・・ね、町山さん。
    町山 いや、僕、こういう人になりたいですよ、ハイ。
    山里 え?!町山さん、結構、近いと思うんですけど(笑)。
    赤江 (笑)。
    町山 近い(笑)・・・。
    赤江 そうですね・・・同じ匂いを、ちょっと感じたりしますね(笑)。
    町山 これは『ネバー・ソーリー』だからね・・・僕は謝ってばかりでいますよ(笑)。
    山里 (笑)。
    町山 全然違います。「ソー・ソーリー(So Sorry)」です。
    山里 (笑)。
    町山 『町山智浩ソー・ソーリー、アイム・ソーリー』ですね(笑)。ハイ。
    山里 (笑)・・・スゲー謝ってる、町山さん。
    町山 謝ってばっかりいます、ハイ。
    赤江 (笑)・・・ハイ。ということで、今日の『たいしたたま』は町山さんにドキュメンタリー映画、『アイ・ウェイウェイ ネバー・ソーリー』、ご紹介頂きました。実は映画は、今年中に日本でも公開予定、ということで、観ることが出来るんではないか、ということですねえ。・・・町山さん、今日もすごく面白い映画を、ありがとうございました。
    町山 ハイ。どうもスイマセンでした。・・・て、いつの間にか謝っちゃうっていう・・ハイ。
    山里 すぐ謝っちゃう(笑)・・・。
    赤江 (笑)。すぐ謝っちゃう、「ネバー・ソーリー」じゃ無い、という、町山さんからご紹介頂きました。ありがとうございました~!
    山里 ありがとうございました!
    町山 どうもでした!

    スポンサーサイト
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    コメント

    コメントの投稿

    非公開コメント



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。