スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    『地獄のバスターズ』(The Inglorious Bastards) オマージュ!オマージュ!タランティーノ!【2009年8月17日アメリカ映画特電】

     管理人のaCuriousManです。先日、アカデミー賞作品賞他5部門にノミネーションされた、町山さんのマブダチ(?)我らがタランティーノ師匠の『ジャンゴ 繋がれるざるもの』(Django Unchained)ですが、本編の日本公開も間近に迫り、今週末には例のタランティーノマニアによるくだまきトークショーも開催されるということでタランティーノオタクにはたまらない日々が続いております。

     そこで今回は、タランティーノ監督の前作『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)、と言うよりもその元ネタ『地獄のバスターズ』(The Inglorious Bastards)についての、アメリカ映画特電での町山さんの解説をアップしてみました。

     元音声のポッドキャストは『EnterJam』http://enterjam.com/のサイト上で配信中ですので、以下ににリンクを貼っておきます。

    町山智浩のアメリカ特電 バックナンバー第81回~第95回 
    第85回 2009/08/17 up タランティーノ症候群と『地獄のバスターズ』

     それにしても、タランティーノ作品の解説になると引用作品が多くて、原題の正確さにこだわっている当Blogとしても、リストアップするだけで結構大変でした・・・ので、記事末尾に引用作品のウィキペディア、IMDB等へのリンクリストも貼っておきます。興味がある方はご参考まで・・・

    引用作品リスト

    ~Setup~
    タランティーノが世界中の映画バカに与えたヘンな開き直り『これはオマージュである!』

     このポッドキャスティングは、先日日本に帰って会ったら、あの・・・袋いっぱいですね、自分の著作を僕に押し付けて、
    「読・め・よ・・・!」
    つって、嫌な気持ちにさせた、平山夢明さん。・・・『他人事(ひとごと)』っていう小説が怖かったですね。でも、ホントに嫌な気持ちになるんで、ホントに止めてほしいな(笑)と思うですね、平山夢明さんと、アメリカやヨーロッパのDVDやブルーレイが日本語で簡単に手に入るWEBサイト、「DVDファンタシウム」http://www.fantasium.com/の提供でお送りします。「DVDファンタシウム」では、今回紹介する『地獄のバスターズ』(The Inglorious Bastards)の、3枚組デラックスセットも、当然扱ってます。

     はい、すごい長い間御無沙汰してました、スイマセン。町山智浩です。今日もアメリカカリフォルニア州バークレーの自宅からお送りします。

     この間ですね、タランティーノの新作、『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)の取材に行って来ました。タランティーノにも会って、いろいろ話してきたんですけども。

     このタランティーノってのは、ホントにもう、アメリカだけじゃなくて世界中の映画にいろいろ影響を与えちゃってるんですけれども、その内の1本で、アメリカに住む日本の人が作った映画で『サムライアベンジャー』って映画について。と、ですね、『イングロリアス・バスターズ』の元ネタになった映画、イタリア映画の『地獄のバスターズ』についてお話します。

     はい、この間ですね、クエンティン・タランティーノ監督の新作映画、『イングロリアス・バスターズ』の試写に行ってきたんですけど、試写とインタビューに行ってきたんですけども、ま、詳しい話は少しずつ、って感じでスイマセン(笑)、ハイ。

    『さらば雑司が谷』と『パルプ・フィクション』

     ちょうど行ってきた時にですね、ゲラを持っていったんですね、ある本の。それは、今度、新潮社から出るですね、樋口毅宏さんていう、新人作家の人の小説のゲラを持って行ったんですけども、それが『さらば雑司が谷』というですね、え~・・・なんかちょっと、ほのぼのとした、鬼子母神みたいな(笑)・・感じの小説を持って行ったんですけども。

     ま、これ・・・樋口君ていうのは、『BUBUKA』の(笑)、悪名高い『BUBUKA』の編集者の人なんですけど、もう、辞めたんですけども。

     で、彼のデビュー作なんでね、そのゲラを読みながら、飛行機に乗ったりしてたんですけども、ま、これ、内容がですね、なんていうか、あの・・・要するに「パルプフィクション」なわけですよ。いろんな・・・小説とか映画のネタが、臆面もなく盛り込んであって、別にそれを隠してない、っていう、その、タランティーノの作り方ですよね、映画の。

     それとあと、どうでもいいような雑談みたいな、ポップカルチャーとか音楽とか・・・そういう、マンガみたいなものに関する、だらしないダラダラした雑談が突然出てきて、しかもストーリーとそれが関係無い、っていうですね、え~・・・そういうシーンも出てきてですね、いかにもこの『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction)の影響ってのは、いかに大きかったのか、ってのがよくわかるんですけども。

     それと同時にですね、実は随分前に、アメリカで活躍してる日本の映画作家の人からDVDを貰ってですね、
    「これ、観てください。」
    って、
    「紹介してください。」
    とか、頼まれたんですけども、どこでどう紹介するか、ってんで考えあぐねてるうちにどんどん時間が経っちゃってですね・・・・もう、待ってる監督に申し訳ない、っていう感じの映画が1本ありましてですね、それもねえ、タランティーノのねえ・・・影響を非常に受けてるんですね。

    映画のストラクチャーの破壊

     タランティーノの影響を受けた映画ってのは、大きく分けてね、2種類あるんですね。

     1つはですね、映画のストラクチャー、基本的な構成と言われて信じられてきたものを破壊してる映画、ですね。タランティーノの『パルプ・フィクション』て映画の凄いところはですね、時間軸を入れ替えちゃって、1番結末に来るはずのものが手前に来て、その間に来てるものは後に来る、というですね、構成をやってて、それでまあ、みんなをビックリさせたわけですね。つまり、シナリオってのはこういう風に書かなきゃいけないんだ、って言われてるルールを、破壊しちゃってるんで。

     で、もう1つはその、『レザボア・ドッグス』(Reservoir Dogs)とか『パルプ・フィクション』に出てくる、さっきも言った、「どうでもいい会話」(笑)。あの・・・なんていうか、ストーリーと、直接、全然関係無い会話がある、っていう。

     これは、面白いのは、映画っていうのはストーリーと関係の無い会話って無いんですね。ところが日常では、ストーリー・・・っていうか、ストーリーってのは無いですから(笑)、日常では。あの・・・全く無関係な会話が日常の中に入ってくるのが、日常なんで実は、タランティーノの映画の方がリアルなんですよ。現実的なんですよ。映画みたいに、いわゆる普通の映画みたいに、ストーリー上関係の無い会話が一切無い、ほとんど無い、っていう方が、実は、作り物なんですね。そういう逆説があるわけですけども。

     

     そういった形で従来の映画のルールを破壊した物が、1つの、タランティーノ映画の、タランティーノに影響された映画の1つのパターンですね。

    オマージュという名の映画愛

     で、もう1つのパターンていうのは、あの、自分が好きな物(笑)・・・を、おもちゃ箱みたいにぶちまけてしまう、という。ま、『キル・ビル』(Kill Bill)なんか特にそうだったわけですけども、そういうことをしてもいいんだ、と。映画っていうのは、好きなだけ何したっていいんだ、と。

     あと・・・そういうことを昔やると、「人真似」とか言われたり、「二番煎じ」とかですね、言われたわけですけど、そうじゃなくて、
    「愛情があるんだから。オマージュなんだから、いいんだ。」
    と。で、別に、この部分は誰かの真似とかそういうんじゃなくて、
    「憧れて、好きです、っていうラブレターなんだ。」
    で、しかも、隠してないんだ、と。
    「これは、私自身が考えたアイデアですよ。」
    とかそういうことは言ってない、と。もう、ハッキリと、
    「元になってるものはあります。」
    と。
    「こういう人です。」
    って言っちゃう、というですね、・・・部分ですね。要するにもう、
    「好きな物はこれです!」
    っていうことを言ってしまう、というのがタランティーノのもう1つのパターンなんですけれども。・・・隠さない、というね。パクリとか、そういうんじゃ無いんだ、と。
    「愛なんだ!」
    って言ってしまう、という。

     これ、その樋口毅宏君の小説のスゴかったのは、『さらば雑司が谷』って、今度出ますけども。あの・・・1番巻末にですね(笑)、「この小説に影響を与えたもの」つって、ズラ~!っと名前が出てくるんですよ。それこそ、タランティーノの『キル・ビル』とかね。で、全部言っちゃってるわけですよ。
    「これ、真似じゃん!」
    とか
    「パクリじゃん!」
    とか言われる前に、
    「いや、違います!愛情なんです!」
    つって、全部!バラしちゃう、っていうね。言われる前にヤレ!っていうですね(笑)・・・いう感じが凄かったんですけれども。

    オマージュ作品のオマージュ

     あと、この間観て、ひっくり返っちゃったのが、『グッド・バッド・ウィアード』(The Good, the Bad, the Weird)っていう、韓国製のウエスタン映画を観ててですね。ひっくり返っちゃったのが、タイトルから聞いて、『The Good, the Bad and the Ugly』っていう・・・セルジオ・レオーネ監督の、マカロニ・ウエスタンの最高傑作って言われてる『続・夕陽のガンマン』に対するオマージュで、まあ、3人のですね、1人、悪漢、「The Bad」とですね、「The Good」って、まあ、正義感というか賞金稼ぎと、「The Ugly」とか「The Weird」って言われてる、ちょっと・・不細工な男(笑)、の、三つ巴の金目当ての・・追跡劇なんですけども。

     最後の方でですね、満州の大広野をですね、その「The Ugly」っていうか「The Weird」にあたる、ソン・ガンホがですね、サイドカーで走って逃げるのをですね、イケメンのイ・ビョンホン演じる、悪漢が追っかけていくわけですね。金目当てで。

     で、その後、なんとですね、白龍!先生演じる、日本軍がですね、日本陸軍が、大砲をバンバン撃ちながら追っかけてって。しかもそこにもう1つ、満州ですから馬賊も絡んでですね、四つ巴か五つ巴の戦闘になって、しかもその日本兵が追っかけてくのを、後ろから、「The Good」にあたる、賞金稼ぎのガンマンが、馬に乗って、ウィンチェスター銃、あの、西部劇に出てくるウィンチェスター銃をグルグル回しながら、バンバン日本兵を撃っていく、というですね。

     あの、ウィンチェスター銃をグルグル、グルグル回す、ってのは、これはあのジョン・ウエインが得意とした技なんですね。特に『勇気ある追跡』(True Grit)っていう映画で、たった一人でですね、デニス・ホッパー達、敵3人組を一気に倒す対決、1対3の対決、ってのがありまして。そこでウィンチェスターガンをグルグルグルグル回しながら馬に乗って敵に突っ込んで行く、っていう、凄い名シーンがありまして、それを再現してるんですが。

     それだけならいいんですね、『グッド・バッド・ウィアード』は。その時にずっとかかっている音楽がですね(笑)・・・・あの・・・サンタ・エスメラルダの『悲しき願い』(Don't Let Me Be Misunderstood)なんですよ。それも、ディスコバージョンのロングバージョンで、歌が入ってないですね・・・要するに『キル・ビル』で(笑)、ルーシー・リューとユマ・サーマンが雪の庭で対決するじゃないですか。あそこで、
    「ジャンジャカジャンジャカジャーン♪ジャカジャンジャンジャーンジャーン♪ジャンジャカジャンジャカジャーン♪~」
    て、フラメンコギターがですね、しかも演歌調の(笑)フラメンコギターがかかるじゃないですか。あそこで僕は、『キル・ビル』を観た時にひっくり返っちゃったんですけど。

     ・・ってのは、あれ、サンタ・エスメラルダの『悲しき願い』ってのは、めちゃくちゃ流行ったのはですね、僕が中学ぐらいの時なんですよ。・・・で、スッゴイ懐かしい(笑)というかね、タランティーノは同じ年、同じ学年ですから、(バカじゃねーか)と思ったんですけど(笑)。

     それがかかって、(なんだ?この・・・)っていうのは、『悲しき願い』っていうのは途中で手拍子が入るんですね。
    「タッタカタッタッタッタ!(手拍子)」
    っていうね(笑)。バカ!みたいな音楽なんですけど、フラメンコで(笑)・・・。頭ワル~イ感じなんですけども。

     それが『キル・ビル』でかかって、
    「バッカじゃねーの!」
    と思ったら、その、『グッド・バッド・ウィアード』でですね、それがかかるわけですね。五つ巴の大追跡戦で。

     しかも、それが延々とですね(笑)、5分とか6分ぐらいのロングバージョンで延々と『悲しき願い』がかかってるわけですよ。(これはいったいナンなんだ?)っていうか、(馬鹿か!お前は)っていうかね(笑)・・・。(メッチャクチャ偏差値低いだろ、お前!)っていう感じなんですけど。

     『悲しき願い』と言えばアレですよ、ねえ。尾藤イサオ大先生がカバーで歌ってたやつですよねえ。
    「ベイビー、オレの負、け、だ~♪」
    ってやつですね(笑)。もう・・・それがずっと・・・歌詞が頭に浮かんできちゃうんですよ、尾藤イサオの歌詞がねえ。『あしたのジョー』を歌ってた尾藤イサオの歌詞が。

     だから、目の前で大戦闘シーンになってても、
    「ベイビー、オレの負、け、だ~♪」
    ってのが聞こえてきてですね、全然集中出来ないからヤメてくれ、っていう(笑)・・。

     え~、それが『グッド・バッド・ウィアード』だったんですけど、これも要するに、タランティーノが『キル・ビル』でやったから真似してしまいました、っていうね。バカ丸出しなんですけども。

     そういう、
    「頭が悪くてもいいじゃないか!」
    「勉強出来なくてもいいじゃないか!」
    っていうね、そういうヘンな開き直りを全世界の映画バカに与えてしまったのがタランティーノなんですけども。

     タランティーノはちなみに、今度の『イングロリアス・バスターズ』って映画の「バスターズ」っていう綴りがですね、B、A、S、T、ホントはA、R、Dなんですけども、タランティーノはずーっとシナリオでですね、E、R、Dにしちゃってるんですね。開き直ってその綴りのまんま、今度全米公開するわけですけども(笑)。

     要するに、多分・・・単に間違えたんですね。スペリングをね。おそらくはね。で、誰かから
    「これ、間違ってんじゃねーの?」
    って言われたら、
    「うるせー!!」
    って思ったんでしょうね。
    「綴りぐらいなんだ!バカヤロー!」
    とか言ってね。・・・漢字間違えた時に(うるせー!!)とかいう、ムカッとする感じがあるじゃないですか。こう・・
    「お前それ、違ってるよ」
    とか。僕、昔、バカだからですね、「若干(じゃっかん)」とかいうのをですね、「わかぼし」って読んだことがありましてね、
    「それ、わかぼしじゃねーよ!」
    って言われてねえ、
    「干物じゃねーんだから!」
    って言われてねえ、ムカッときたことがありますけど(笑)。そういう、漢字の読み間違いでムカッとすることってありますよね。
    「うるせえ!バカヤロー!」
    みたいなね。

     多分そういう感じで・・・『Inglourious Basterds』っていうね、ヘンなスペリングにしちゃったんだと思うんですけども。そういうね、
    「頭悪いぐらい、どうってことねえ!バカヤロー!」
    みたいなね、そういう感じな(笑)、わけですけども。

    ~Conflict~
    世界中の文化が互いにミックスされて映画や音楽は作られていく

    日本人が作ったマカロニ・ウェスタン

     で・・・僕のとこに送られてきたDVDの話をしますね。ハイ。

     『サムライアベンジャー ザ・ブラインドウルフ』(Samurai Avvenger: The Blind Wolf)っていうタイトルのdvdが送られてきたんですね。で、これはあの、日本語タイトルっていうか、漢字タイトルがついてまして、『復讐剣 盲狼』って書いてあるんですね。「盲狼」ってのは意識が「朦朧」するんじゃなくてですね、「盲人」の「盲」、目が見えない人の「盲」に「狼」で「盲狼」なんですけども。

     で、まあ、タイトルを聞けば1発でわかるように、『復讐剣 盲狼』ね。復讐するために剣を持った人が、目が見えないまんま、戦う、っていう話で、タイトルを見ただけで内容が全部わかってしまうんですけども(笑)。

     え~。この映画は、アメリカで活躍してる、光武蔵人さんていう人が自分で主演して、シナリオを書いて監督して、それでまあ、お金集めもいろいろやって・・・アメリカで活躍してる、映画作りを目指す日本人の人達が結集して作った映画なんですね。

     で、主人公のブラインドウルフを光武さんが演じてるんですが、この人はなんかあの、テレビの『HEROES/ヒーローズ』とかにも出てるみたいですね、俳優さんとしてね。

     で、これがですね、どういう映画かと言うとですね、まあ、マカロニ・ウェスタンなわけですよ。要するに、まああの・・・主人公の、日本人のサラリーマンさんみたいなのが、その光武さんなんですけども。奥さんと子供を、娘を、殺されてしまってですね、行きずりの・・頭の・・・なんていうか、あの・・・基地の外に暮らしてる人にですね。えー、それに復讐を誓うんですが、何故かそいつが悪い組織のボスで、彼を阻止するために7人の刺客をですね、次々と派遣する、と。その7人の刺客を倒さなければ、ボスまで辿りつけない、と。・・・ストーリーがそれだけです、ハイ。あの(笑)・・・もの凄い単純なんですけども、ハイ。

     で、まあ、観るとわかる、っていうか、その光武さん本人も言ってるんですけども、これはもう・・・・三隅研次監督の、『子連れ狼』、ね。『三途の川の乳母車』へのオマージュなわけですよ、全編が。とにかく、『三途の川の乳母車』っていうのは、もう、スプラッター映画の最高峰ですから。『キル・ビル』も、青葉屋のシーンが完全に『三途の川の乳母車』へのオマージュとして作られてますけれども。そういう映画なんですね。それで、『三途の川の乳母車』っていうのは、実はその前に、マカロニ・ウェスタンの影響を受けてるわけですけども。

    西部劇と時代劇とマカロニ

     これ、だから、凄く難しいのは、影響、影響って言いだすとですね、まず、まず、アメリカの西部劇があるわけですよ。まず基本的にはアメリカの、昔からある西部劇があって、それこそジョン・フォードとかが作ってた伝統的な西部劇があって、それを、黒澤明が時代劇に取り入れたんですね。

     で、その、時代劇に取り入れる時に、『用心棒』と『椿三十郎』を撮ったわけですけれども、その時にクロサワがやったことは、その・・・西部劇の、要するにまあ、決闘とかですね、なんていうかゴーストタウンみたいな所があって、何故か風が吹いてて、ちょっと砂が巻き上げられてて。(日本にそんな風景ねーよ!)って言うね(笑)。(これ、西部だろ!アメリカの!)っていうのを、時代劇なのにバーンと持ち込んじゃって、で、しかもガンマンまで出して、と。

     でもそれだけじゃなくて、そこにクロサワが入れたのは、人が人を切る時の、刀が肉を切る時の、
    「ブギュッ!」
    っていう、あの、
    「ブキュクッ!」
    っていう音をですね、入れて、あと、血が
    「ブシュ!」
    って出る、ってのを、リアリズムで入れたわけですよ。

     で、それがマカロニ・ウェスタンの『荒野の用心棒』(A Fistful of Dollars)に、まあ、パクられて。あの時は完全にパクられた(笑)、わけですけれども。無断ですから。オマージュでもなんでもないんでね。えー、パクられてですね、セルジオ・レオーネが作ってですね。

     で、今度はその、マカロニ・ウェスタンのストラクチャーとか、いろんなカッコつけとかですね、音楽の「ジャカジャ~ン」みたいのがですね、日本の時代劇の方に影響して、それで『子連れ狼』みたいな、マカロニ時代劇みたいなのが出来るんですね。だからこう、どっちもどっち、っていうか行ったり来たり、みたいな感じなんですけど。

     ちなみにその
    「ジャカジャ~ン♪」
    とか、エンリオ・モリコーネの
    「パラパ~!」
    みたいな音楽ってのは、どこが元ネタかっていうと、これ、『リオ・ブラボー』(Rio Bravo) なんですね。『リオ・ブラボー』の中で、「殺しのテーマ」っていうか「皆殺しの歌」っていうのをトランペットで、こう・・・流れるわけですけども、あれはその、メキシコでですね、「アラモの砦の闘い」っていうのが昔ありまして。メキシコだったテキサスが、メキシコから独立した時にメキシコの独裁者が、その「アラモの砦」を潰しにかかった時に、総攻撃を仕掛けて、「アラモの砦」にいる反乱軍を絶滅させる、っていう時にかけた音楽が「皆殺しの歌」なんですね。

     そういう風に、「皆殺しの歌」をかけてから皆殺しをする、っていう、非常に律儀なですね、
    「これから皆殺しをしますから、ヨロシク!」
    みたいなね。一々言わなくてもいいのに(笑)、っていうね、え~(笑)、そういうちょっと、カッコつけがあるわけですけども。

     その、
    「パラパ~!」
    みたいなのが、エンリオ・モリコーネが使って、それをウエスタンの音楽に、テーマソングにして、それが今度は時代劇の方に入って、それで最終的には、あの・・『必殺シリーズ』の音楽になっていくわけですねえ(笑)。『必殺シリーズ』を逆に辿っていくと、マカロニ・ウェスタン、リオ・ブラボー、って行くわけですねえ。ま、どうでもいいことなんですけど。

     しかもですね、『リオ・ブラボー』の音楽をやってる人はディミトリー・ティオムキンていう、ロシア人なんですねえ。ロシアの、なんていうか伝統的な音楽みたいなものは、西部劇に凄く、入ってきてるんですね。というのは、ロシア系に限らないんですけど、東欧系のユダヤ人が、アメリカの西部劇の音楽を作ってるんで。で、彼らは西部とかメキシコの音楽を勉強しながら、その、ロシア民謡みたいな物をそこに盛り込んで、音楽を作っていったわけですねえ。

     この辺が面白いですね。全部こう・・・ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃっとですね、世界中の文化がですね、行ったり来たりしながら、こう、ミックスされていくのが、映画とか音楽の面白さなんですね。まあ、だから、元を辿るともう、何処へ行くかわからない、というですね(笑)、物なんですけども。

    お決まり事はきちんと

     それでですね、話を『サムライアベンジャー』に戻しますとですね、これがまあ、『三途の川の乳母車』の影響を受けてますから、モンの凄い血のりなんですね。全編血みどろなんですね。ちょっと切ると、
    「ブシュー!」
    「ブシューッ、ブシュー!!」
    って血が出るんですけども(笑)。

     それでまた、次々と現れる7人の刺客ってのがですね(笑)、結構・・・爆笑なんですけども。まあ、くのいちみたいなのが出てくるわけですよ。で・・・いきなりオッパイ出しちゃうんですね。

     これもねえ、『三途の川の乳母車』にありますね。オッパイ見た途端に敵がビックリする、っていうですね、え~・・「オッパイビックリ殺法」っていう、今、つけましたが、ハイ。で、オッパイ見て、思わず男って、見たら一瞬、
    「お!おォ!!」
    っとか思うじゃないですか。ねえ。で、その瞬間に隙が出来たところを攻撃する、っていう技なんですけども。

     これちなみに、スピルバーグが使ってましたね。スピルバーグが『ミュンヘン』(Munich)ていう映画で、イスラエルのモサドの殺し屋達が、オランダにいる女殺し屋に復讐しに行くとですね、女殺し屋が突然、あの・・・オッパイ出すんですね!それで・・・観客の方は
    「お!!」
    っとか思うんですけども、モサドの殺し屋達は、もうそんな物に目もくれず、いきなり、
    「ドゴン!!」
    て、銃をですね、え~、銃弾をオッパイにブチ込むんですけども(笑)。

     あれは多分、僕はね、『三途の川の乳母車』のオッパイ殺法にスピルバーグは影響を受けたんじゃないか、と思ってますけども。あ~、インタビューで聞けば良かったですけども、バカだ!と思われるから聞かなかったですけど。

     え~、それでですね(笑)、あと、殺し屋で変なのが出てくるんですね。お婆さんが棺桶を引きずってくるんですよ。棺桶を、ズルズルズルと。

     棺桶を引きずってくる、っていうのはもう、基本的にマカロニ・ウェスタンの基本ですから。『続・荒野の用心棒』(Django)に出てくるですね、ジャンゴが棺桶を引きずって来ますけども。

     で、棺桶を引きずってくると中にはマシンガンとかが入ってるんですけども、この映画の場合はちゃんと棺桶を引きずると中に死体が入ってるんですよ。
    (あ、棺桶に死体が入ってるのは、ま、常識だよな)
    と思うと、その死体がゾンビになって襲ってくる、と。で、お婆さんが後ろで
    「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり・・」
    って言ってると、(悪魔くんか!お前は!)っていうね、で、ゾンビが襲ってくる、とかですね。その7人の刺客がいちいちバカなんでね、メチャクチャ可笑しいんですけども。ハイ。

     で、この映画ねえ、スペシャルエフェクツが、『The Passion of the Christ』。あの、メル・ギブソンの『パッション』ですね。あの変態・・・キリストをただ拷問してるだけの変態映画ですけども。あれの特殊メイクをやってた人がやってるんで、結構スゴイんですね。頭、真っ二つに割れたりとかですね。もう、ぐっちゃんぐっちゃんなわけですけども。

     で・・・やっぱりね、1番爆笑したのは、あの・・なんていうか、妖婆が出てくるわけですねえ、魔法使いのお婆さんが出てきて。で、その腹をバカ!っと切るとですね、中から赤ちゃんが飛び出してくるんですよ(笑)・・。あの・・・へその緒がビュ~ンて伸びてですね、びっくり箱みたいな感じなんですけども。

     その後ですね、その赤ちゃんを主人公のブラインドウルフはですね、大事に抱えて歩いて行くんですねえ。・・・(笑)ねえ。大体もうそこで、何が起こるかわかるじゃないですか、ねえ。『座頭市』ですよ。だって、目が見えないわけですから。『座頭市』は原点ですからねえ。

     で・・・『座頭市血笑旅』っていうですね、大傑作があるわけですけども、『子連れ狼』の原点になったやつですね。それは座頭市が赤ちゃんを抱えたまま、その、赤ちゃんを運ぶ、という話で。

     これもだからねえ・・・元々はジョン・フォードの『荒野の三悪人』(『三惡人』: 3 Bad Men)ていう、赤ん坊を託された、悪党三人組がその赤ん坊を守って命がけで赤ん坊を安全な所まで届ける、という話があって。もう、何回も何回もリメークされてる映画なんですけども。あれが原点なんですね。

     で、赤ん坊を抱えてるから無茶な事は出来ない、と。それでも敵がどんどん襲ってくる、っていう・・・・・やっぱりジョン・フォードは偉いな~、と思うんですけども。原点で。多分ジョン・フォードもあるな(笑)と思うんですけども。

     で、それをまあ、勝新大先生はですね、『座頭市血笑旅』でやったわけですけども、ま、勝新大先生ですから、ジョン・フォードがやらないことをやるわけですよ。つまり、敵に囲まれてしまう、と。で、赤ん坊を持ってる、と。どうする?

     ま、これ、有名な、有名なシーンなんでネタバレにも何にもならないんで、言いますけれども、赤ん坊を投げちゃうんですね、空中に。で、敵を全員、バババッ!と切って、座頭市が。ね。で、赤ん坊がまた落ちてくるのを、またキャッチする、と。

     ・・・いう、名シーンがあるわけですけども、まああの・・・とにかく映画の中で赤ん坊が出てきたら(笑)、必ずある、と言って間違いない、という。あの・・『Shoot'Em Up!』(シュート・エム・アップ)にも出て来ましたけども。まあ、絶体出てくる、赤ん坊を投げ、キャッチシーン、ですね、ハイ。

     ま、それが出てくるんでねえ、まあ・・・こういうのは、なんていうか、お決まりのことをちゃんとやってくれる人が、偉い人ですよ。お決まりのことをやらないで逃げちゃう人が1番悪い人なんでね、あの・・ちゃんと、いいんですけども、ハイ。

     で、その赤ん坊を抱えてその後、どうすんのかな?と思ったらですね、車で通りかかった女の人に、その赤ちゃんをあげてですね、赤ちゃんを預かった女の人は去っていく、っていうシーンがあって。その女の人は何故かアマンダ・プラマーなんですね。

     アマンダ・プラマーというは、あの、『パルプ・フィクション』の1番最初で、レストランでですね、ファミレスで強盗を計画してた、あの女の人ですよ。ハニーバニーですよ。この辺でもねえ、なんていうか影響がですね、『パルプ・フィクション』への憧れみたいな物がいっぱい出てきてますね。

     このブラインドウルフ、『サムライアベンジャー』の中で殺し屋がですね、もう、殺し屋が負けてんのに、その殺し屋の過去の半生とかですね、少女時代とかが突然回想シーンで入ってくるんですけども。あれも、『キル・ビル』でね、オーレン・イシイの過去がアニメで入ってくる、みたいな、そういう常識的な構造を破壊するようなですね、タランティーノ流のやり方なんかがね、かなり影響を与えてるんですけども。

     で、この『サムライアベンジャー ザ・ブラインドウルフ』っていう映画は、今、なんかあの、コリアの、韓国の釜山映画祭で上映したらしいですけども、日本でも多分まあ、夕張とかそういうとこで上映するんじゃないかと思いますが、ハイ。あの、御興味のある方は僕のブログから彼の、光武さんのサイトの方にリンクしてありますんで、連絡とってみてください!ハイ。

     ・・と、いうことでね、タランティーノの話に戻るとですね、戻らないんだ!今日は。ハイ。(笑)・・・えーと・・・

     『イングロリアス・バスターズ』。この『イングロリアス・バスターズ』っていうタイトルがですね、あ、さっきバスターズの綴りが間違ってるって言ったんですけどイングロリアスの方の綴りも間違ってるんですよね(笑)、タランティーノはね。えーと、INGLOURIOUSっていう綴りになってるんですけど、これ全然違っててですね(笑)。正しくは、INGLORIOUSなんですよ。だからもう、綴り、全然出来てない(笑)、というですね、大爆笑なタランティーノ君なんですけども。まあ、学校中退ですからねえ、高校中退なんでね、しょうが無いんですけども。ハイ。

     ちなみにタランティーノのお母さんていうのは、18才で大学を卒業したとかなんか、そういうねえ、ホントに超天才だった人ですよね。この人は20才ぐらいで保険会社かなんかの、幹部かなんかになっちゃった、みたいなね、スゴイお母さんなんですけども。まあ、頭はいいんだけれども漢字は出来ない、っていうね。
    「漢字と頭は関係ねーよ!」
    って、なんか俺、自己弁護してるみたいになってますけど(笑)・・・ま、それはいいとしてですね・・・。

     で、『イングロリアス・バスターズ』っていうのは、直訳するとですね、
    「栄光無きクソ野郎達」
    みたいな(笑)意味ですね、。

     「バスタード」っていうのは、「私生児」って意味なんですけども、ま、「クソ野郎!」みたいな「コンチクショウ!」みたいな意味なんで。ま、「グローリー」は「栄光」ですから、「栄光無き」・・・え~・・なんていうか、「ならず者共」、みたいなのが『イングロリアス・バスターズ』って意味ですけども。

     これの、元の映画がありましてですね、1900えっと、70ですね、6年ぐらいに作られたですね、「6年ぐらい」とか曖昧な事を言ってますけども。イタリア映画で、いわゆる戦争映画なんですけども、イタリア戦争映画、マカロニ戦争映画で、『地獄のバスターズ』っていう日本語タイトルで、テレビとかビデオでも観れるんですけれども。・・・ま、『The Inglorious Bastards』っていうタイトルの映画がありまして、それがタランティーノが好きで、最初、そのリメークをする、という風に発表されたんですね。

     これがまあスゴイ昔で、『キル・ビル』の前なんですね、タランティーノがこれのリメークをする、って言ったのは。で、それからズルズルズルズルとなってて。まあ、タランティーノ曰く、
    「結末が思いつかなかった」
    って言ってますけども。

     で、結末がトンデモナイ結末で(笑)、ビックリして。10年ぐらい思いつかなかった、ってのは、それはエライわ、って。こういう結末だったら許す!みたいな、スゴイ映画でしたけども(笑)。

    ~Resolution~
    元ネタのバスターズもトンデモがてんこ盛り

     え~・・・、で、『イングロリアス・バスターズ』の、今日はですね、原点となった『地獄のバスターズ』について話をしたいと思います。

    イタリア戦争映画

     ハイ。これ・・・テレビで何度も何度も日本でやってるんですよね。特に12チャンネルでですね、え~、「木曜洋画劇場」だっけ?あれで3回ぐらいやってんじゃないかなあ?だからねえ、観た人、みんな、いると思うんで、話聴いてるとタイトルを思い出せなくても、(あ、これ観たわ)みたいな人がいっぱいいる映画なんですよ。

     でねえ、イタリアは昔、まあ、ハリウッド映画の真似ばっかりしてたわけですね。イタリア映画ってのは、フェリーニとかいう、あの、まあ、ちゃんとしたイタリア映画の「イタリア映画の王道」ってのがあるんですけど。その一方で、こう・・・なんていうか、アメリカ映画の真似っ子映画みたいなのの伝統があってですね。まあ、60年代にイタリア人達が、アメリカの俳優を使ってスペインで撮影したいわゆるスパゲッティ・ウエスタン、マカロニ・ウェスタンが大ブームになるわけですけども。その内に・・・似たような映画ばっかり作ってるんで段々飽きられてですね、で、戦争映画を作り始めるんですね。

     ちょうどハリウッドも、戦争映画の第何期かのブームで、『パットン大戦車軍団』(Patton)とかですね、いろいろあったんで、イタリアでも戦争映画を作る、と。で、まあ、イタリアはヨーロッパですから、ま、ドイツ軍の制服とか、ドイツ人もいるし(笑)、ハイ。いろいろ手に入る物もあるんで、舞台は要するに、ホントに戦場になったヨーロッパで撮ればいいわけですから(笑)。『バルジ大作戦』(Battle of the Bulge)なんていうアメリカ映画がありましたけど、あれなんかスペインで撮影してるわけですからねえ。ハイ。ホントはフランスなのに・・・。

     そうそう、『バルジ大作戦』て酷い映画でね、『バルジ大作戦』てのはアルデンヌの森っていう、フランスの国境付近のですね、雪深い森の中で行われたのに、映画自体はスペインの荒野で撮影されてるんですね。スペインの荒野っていうとマカロニ・ウェスタンを撮る、あの灼熱の荒野ですから(笑)、
    「灼熱の荒野で雪景色を撮るんじゃねーよ!バカヤロー!」
    みたいな映画が『バルジ大作戦』だったんですけども。ま、それは置いといてですね。

     で、『イングロリアス・バスターズ』のオリジナルの『地獄のバスターズ』(Quel Maledetto Treno Blindato)で、これ、エンツォ・G・カステラッリっていう監督が撮った映画なんですけれども、これ、ま、タランティーノがなんでこの映画に興奮したか、っていうと、まあ、サービスがスゴイ映画なんですよ。

    バスターズ達

     最初はですね、アメリカ軍の中で、MP、要するにミリタリーポリス、警察官がいるわけですね。・・・が、軍規に反した奴とか泥棒したりしてる奴とかですね、ならず者達を逮捕して、後方に送って裁判を受けさせるためにトラックに乗せてるんですね。要するにダメ兵隊達をね。そのリーダー格になるのは、ボー・スベンソンていう俳優さんで、この人はスウェーデン人ですね、元々ね。はい。で、柔道選手かなんかの人で、ガタイがいいんですよね。

     そのボー・スベンソンと、あと、フレッド・ウィリアムソンて、反抗的な黒人兵士、って、他に黒人兵士、誰も出てこなくてこの人だけが黒人兵士としているわけですけども、そのフレッド・ウィリアムソン。

     フレッド・ウィリアムソンてのは『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(From Dusk Till Dawn)にも出てきますけれども、70年代のブラックスプロイテーション映画、黒人アクション映画のヒーローだった人で、この人は『M★A★S★H マッシュ』(M*A*S*H)っていう、ロバート・アルトマンの映画で、フットボール選手役で出てくる、元フットボーラーの人ですね。

     あとですね、イタリア系の兵隊で、泥棒ばっかりしてて手癖が悪い男とかですね、あと、ヘナチョコの兵隊とか何人かトラックに乗せられて、後方に送られる、と。

     ところがそこをドイツ軍の空襲にあってしまって、トラックが、ま、頓挫しちゃうわけですね。彼らを運んでたMPも全滅してしまって、ま、残った人はいるんですけども銃を取って反乱を起こしてですね・・・要するに囚人達がそのトラックを乗っ取ってしまうわけですね。

     で、どうしよう?ってことになって、
    「いや~、もう、軍に帰っても戦争やらされるし、裁判にかけられちゃうから、スイスまで逃げれば自由の身だぜ!」
    とか言って、もう全然戦争する気がないわけですね。ならず者達だから愛国心も何も無いわけでね。とにかくスイスに行こうべ!みたいな感じでスイスを目指す、という話なんですね。

     で・・・スイスの国境近くでやっぱり、ドイツ軍の脱走兵と会うんですね。それで、
    「オレも、こんな、ナチに無理矢理戦争させられて、やだべ~」
    って言ってるわけですね、ドイツ兵が。で、
    「ま、一緒に仲良く、皆でスイスに言って平和に暮らそうよ!」
    みたいなね、非常にのんびりした(笑)、始まり方なんですよ、映画自体が。

     でも結構、戦闘シーンとかちゃんとしてんですけども。

     で・・・ま、スイスに向かって逃げてるとですね、途中でドイツ兵に遭遇しちゃうわけですね、ドイツ軍に。
    「どうしよう・・・」
    ってことになって、一緒に逃げてる脱走兵のドイツ兵に、
    「ちょっと行ってきてくれ。」
    「交渉してくれ。」
    みたいな話になって。それで行くと、突然その、仲良く、脱走兵のドイツ兵とそのドイツ軍の、敵の兵隊達が仲良くして握手してるのを見ちゃうんですね。

     それを見てボー・スベンソン達はですね、これ、脱走兵っていうか囚人兵達ですね。囚人兵達は、
    「何だあの野郎!裏切りやがった!やっぱり、ドイツ側に付きやがった!」
    つって、その脱走兵と握手してた敵のドイツ軍を皆殺しにしちゃうんですね、バーー!っと。

     (そんなに強いんだったらオマエ、戦争しろよ!)っていうね(笑)・・(何で逃げてんだよオマエ、戦争しろよ、オマエ!)っていう気がするんですけど。

     とにかくもう、メチャクチャ強くて、フレッド・ウィリアムソンとかですね。敵を皆殺しにしちゃうんですけども。皆殺しにした後でわかるんですけども、彼ら、ドイツ軍の制服をした、連合軍の兵隊だったんですね。イギリス軍やアメリカ軍の。で、え?

     ・・・要するにドイツの後方に送られて破壊活動をするスパイだったわけですよ。それでドイツ軍の制服を着てたわけですよ。でも知らないで全部皆殺しにしちゃうんですけども。

     それを知っても全然、何の感慨も無いのがね、このバスターズ達なんですね(笑)。この映画の中で何度もこの主人公達は、
    「お前はバスターズだ、バスターズだ!」
    って言われるんですよ。もう・・・・・・いいよ!ってぐらい言われるんですよ。
    「お前等、役立たずだ、役立たずだ!クズ野郎だ!!」
    とか言われてるんですけども。コレ見ると味方の兵隊を殺しても何とも思ってないんだから、(バスタードだろお前ら!)っていう気は確かにするんですが。

     そこにですね、ミシェル・コンスタンタンていうフランスの俳優さんが出て来ましてですね、
    「ナンなんだ?これは?」
    と。
    「我々はレジスタンスである」
    「フランスのレジスタンスである」
    と。で、ここで、ナチに潜入する、ナチの制服を着たアメリカ軍、連合軍の兵士と落ち合うはずだったのに、
    「これ、どうなってんだ?」
    つったら、ヤバイ!と思って、そのバスターズ達はですね、
    「あ、僕達がそれです。」
    つって、
    「これ、みんなドイツ軍です。」
    とか、嘘ついちゃうんですよ。で、
    「僕達が、来た特殊部隊です。」
    とかなんとか調子の良いことを言っちゃうわけですね。で、レジスタンス達はそれを信じてですね、
    「じゃあ、一緒にヨロシク頼むよ。」
    みたいな話になっちゃうんですね。

     いい加減な男達なんですよ。(笑)・・非常に、ノリも軽くてですね、ハイ。

     特にその、何でも盗んでくるイタリア人の男っていうのは、もうホントになんていうか・・・コメディアン、みたいな演技なんですね。ほとんど喋らないんですけれども。例えば、
    「スパナが無い!」
    とか言って困ってると、スパナをパッと懐から出す、とか。
    「缶切りが無い!」
    って言うと、缶切りを出す、とかですね。何でも出てくるんですね。

     だから要するにこれって、『マルクス兄弟』でねえ、ハーポ・マルクスがですね、何でも出すんですね、ポケットの中から。あれとおんなじですね。もう、スゴイ大きい物が出てくるんですけれども(笑)。何処に隠してたんだ?っていう。ドラえもんの原点ですね。

     あ、僕、ドラえもんの、あの、関係無いですけど、ポケット、何でも出てくるっていうのは、あれは、ハーポ・マルクスのポケットから何でも出てくる、っていうのが元ネタになってると思うんですけども。ま、それはどうでもいいんですけども、ハイ。

     それでですね、そこにですね、イギリスから・・・イギリスからっていうかアメリカのですね、連合軍の司令官が来るんですね。司令官ていうか、指揮官が来るんですね。その作戦を指揮するために。

     で、来たら、
    「何だお前たちは!我々がせっかく送り込んだ特殊部隊をどうしちゃったんだ?」
    「お前ら、間違って殺しちゃったのか?この野郎!」
    みたいな話になっちゃうんですね。で、
    「お前ら、みんな、死刑だ!!」
    みたいな話で怒り狂うんですけども、そのバスターズのボー・スベンソンが、
    「今更そんなことを言ったって、しょうが無いじゃないですか。」
    「私達、代わりに頑張りますから・・・」
    みたいな話になるんですね(笑)。ナンなんだ、オイ?とか思うんですけども、
    「お前らみたいなならず者に出来るわけねえだろ!」
    「凄い訓練をしたんだぞ、あいつらは」
    と。
    「それをあっさり殺しちまいやがって!」
    って言うんですけども。
    (それだけ訓練したのにあっさり殺されてんだから、そいつらたいしたことねーんじゃねーか?)
    って思うわけですけども(笑)。その辺のなんていうか、論理矛盾がよくわからないんですが(笑)。

     で、
    「じゃあ、我々が凄いとこを見せましょう。」
    つってですね、ヨーロッパの古城を占拠してるドイツ軍の所に行って、そこに忍び込んで全部皆殺しにしちゃう、っていうね、凄い作戦をやってのけるんですね。そのバスターズの連中が。
    「お前らなかなか凄い!信用できるぜ。」
    って言われて、本当の作戦に参加することになるんですけども。

     でも、信用できるぜ、ってねえ・・・。あの、これ、ドイツ軍をやっつけるのは、どういう風にやっつけるかって言うと、さっき言った、なんでも出してくる泥棒男がですね、ポケットからパチンコを出すんですよ。・・あの、パチンコ。スリングショット。でもって、パシーン!とかいってパチンコを当てるとですね、見張りのドイツ兵の首に当たって、そいつがそのままコロコロコロ、って階段を落ちて動かなくなるんですよ。・・・・パチンコの玉が当たったぐらいで動かなくなるかね?!そんなの、パチンコの玉が当たったら、
    「いて!この野郎!」
    つって、打ち返してくるだろオマエ?!、とか思うんですけども。

     そういうとこがイタリア映画のヌルい所なんですけどもね(笑)。パチンコでバンバン人が死んじゃうんですよ。死なねーだろ、っていうねえ。

     まあ、それでねえ・・・作戦、ミッションに参加するわけですね、そのバスターズが。すると、そのミッションていうのは、ドイツがやってた、あの、フォン・ブラウン博士が作ったV2号ロケットですね。あの・・ロンドンに打ち込まれてた。そのV2号ロケットのですね、ノズルがあるんですけども、そのノズルの所がですね、あの・・・いわゆる「コンパス」って言われてるですね、なんて言うのかな、ノズルがこう・・・動くんですね。角度が変わるんですよ。そのシステムを運んでる研究列車ってのがあって。研究所がですね、技術者が乗ってる研究所がそのまま列車になってる、っていう不思議な軍用列車がありまして、それを襲う、と。・・いう計画なんですね。その、ま、V2号の爆撃を阻止するために。

     その頃、V2号の方向を変えるのには、そのノズルの角度を変えてたんですね。それで方向を変えて、ロンドンを爆撃する、と。いうのをやってたんで、そのノズルを乗せてる列車を襲う、という話になっていって。で、レジスタンスと協力してその列車を襲う、と。

     そっから先はですね、多分ですねえ、これはあの・・・『大列車作戦』(THE TRAIN)ていう、ジョン・フランケンハイマー監督の大傑作アクション映画がありましたけども。ドイツ軍がフランスから、フランスの大事な絵画をですね、ヒットラーが欲しい、って言うんで、列車に乗せて盗もうとする、と。運んでいく、と。で、それを阻止しようとするレジスタンスの戦いを描いた、大、ノンストップアクション映画が『大列車作戦』。ていう映画があるんですけれども、フランケンハイマーの。その辺からヒントを得たんだと思うんですね。

     で・・・まあ、その軍用列車を巡ってですね、アクションになるんですが、この辺もねえ、西部劇ですね。

     西部劇で、その、列車と、その列車を襲うですね・・・強盗達と、列車を守ろうとする人達とか、そういうアクションて、列車アクションてのは伝統として西部劇にはあるわけですけども。 まああの、マルクス兄弟の『二挺拳銃』(『マルクスの二挺拳銃』Go West)っていうのは、クライマックスがですね、完全なその、列車チェイスが延々と続くんでメチャクチャ面白いんですけども。

     『マッドマックス3サンダードーム』(『マッドマックス/サンダードーム』: Mad Max Beyond Thunderdome)っていう映画があるんですけども、『マッドマックス3サンダードーム』を観てみんなひっくり返っちゃって、コケちゃった、ってのは、『マッドマックス』シリーズにも関わらずラストのアクションが『マルクス兄弟二挺拳銃』そのまんまやってるんですよ(笑)。列車アクションを。ハードなアクション映画を期待して観に行ったら、
    「なんでマルクス兄弟を観せられるんだ?バカヤロー!」
    みたいなね。えー、ホントにフザけた映画が『サンダードーム』だったんですけども。ま、それは置いといて。

     で、まあ、列車アクションがあってですね。なかなかもう、とにかく盛りだくさんですよね、この『イングロリアスバスタード』(The Inglorious Bastards)ってのは。

     ただ、スゴク普通の映画に無い所、ってのは、正しい、ホントの特殊部隊を殺しちゃったならず者達がですね、そのことを罪にも問われないで、特殊部隊として特殊作戦に参加する、という。・・・その、これはハリウッド映画ではめったに無い、トンデモナイ展開なんで・・・ビックリするわけですけども。

    リメイク?

     タランティーノはですね、この『The Inglorious Bastards』を、
    「リメイクする。」
    と言ったんですが、さあ、出来てみた映画は、全然関係無い映画でした(笑)。ハイ。

     観てひっくり返りましたね。

     似てる所は、その、特殊部隊が来るんだけども・・・死んじゃう、っていうシーンだけなんですよ。それ以外もう、全然関係無くて。タイトルと、そこの部分の、ほんの一瞬しかですね、この『地獄のバスターズ』って映画と関係無かった、というねえ・・・。
    「え??!」
    みたいな、
    「リメイクでもなんでもねーよ!これ!」
    っていうねえ(笑)。・・・そういう映画でした。ハイ。

     あ、あともう1ヶ所関係があるのは、ボー・スベンソンていう俳優さんがですね、実はスウェーデン出身なんでゲルマン語系の言葉がちゃんと喋れるんで、この作戦の中ではドイツ語をいっぱい喋るんですね。ドイツ人に化けて列車に潜入しますから。だからあの・・・敵に気づかれないんですよ、訛りが無いドイツ語を喋る、ってことになってて。・・・その辺も、ちょっと、ま、使ってますね。

     ていうのは、『イングロリアス・バスターズ』は、バスターズ達は別にドイツ語を喋れないんですけども出てくる人達がバイリンガルとかトライリンガルの人が山ほど出てきてですね、俳優さん達がね。バイリンガルやトライリンガルの俳優さん達がいっぱい出てきて、いろんな外国語が飛び交う、っていうところがですね、そういうバイリンガルの人を主役級の人にキャスティングする、みたいなアイディアと繋がってるんだろうな、と、思いましたけども。

     ま、とにかくタイトルだけでね、中身は全然関係無い映画でしたけど(笑)。

     あと音楽はね、今回のタランティーノはやっぱりマカロニ調で、
    「ダララ~ン!」
    とか、
    「ジャンジャカジャンジャカジャンジャカ、ジャンジャン♪ジャンジャカジャンジャカジャンジャカジャンジャン♪~」
    っていう・・・あの、そういう、マカロニ調・・・・っていうか、マカロニ・ウェスタンの音楽をそのまま使ったりしてやってましたけども、ハイ。

     ・・・でもね、トンデモナイ音楽の使い方を何ヶ所かしてて、それは今度話しますけども、爆笑!しましたけどね。相変わらずタランティーノだな、っていうね(笑)。(何だこの音楽の使い方は、オイ!)っていう、(オエ?!)みたいな(笑)・・シーンがあって。1番燃えるシーンてのがあるんですけど、1番燃えるシーンでいきなり、あの・・・・え~・・・(笑)、なんというかですねえ、レイ・チャールズの、あの、『What I Say』っていう歌がありますよね。あれのイントロがいきなり、
    「ダダン!」
    とかかるわけですけども(笑)・・・・。スッゴイ燃えるんでねえ、これはちょっと覚えといて欲しいかな、って言うかね、どうでもいいか、って言うかね。

    え~・・・
    「いいのか?こういうことで?」
    という。・・・あの・・・『キル・ビル』で、1番燃える音楽って、
    「チャッ、チャラッチャ、ラッチャーン!」
    てやつですけども、あれに匹敵する、「バカ」な使い方をしてるんで、まあ、聞いて欲しいかな、と。・・・いうとこで、『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)については、まだ、今、1個目のネタを言っただけなんで、今後もどんどんどんどん、ネタについて話していきます。

     それで、いつ・・・かは、本編に辿り着きますので、何回かに分けてやっていきたいと思います。ハイ、今日は第1回ということで、皆さん、メールをお寄せ下さい。最近メールの紹介をしてないんですけども、ゴメンナサイ。

     えーと、こんな映画の正体について知りたい、とか、あの映画の音楽はナンなんだ?とか、あのシーンはなんかのパクリだと思うんだけども、元ネタはナンなんだ?とかですね、そういった、なんでもいいから聞いてもらえば答えます!・・って言いながら全然答えてないんですが、ちゃんと答えますから、ハイ。

     ということで、『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)の元ネタ、第1弾、『地獄のバスターズ』(The Inglorious Bastards)について、でした。

     ・・・また、来週やれたら、褒めてください。ハイ。

    記事内引用作品リスト

    クエンティン・タランティーノ作品
    『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)
    wikipedia
    『パルプ・フィクション』(Pulp Fiction)
    wikipedia
    『レザボア・ドッグス』(Reservoir Dogs)
    wikipedia
    『キル・ビル』(Kill Bill)
    wikipedia
    他監督作品
    『地獄のバスターズ(Quel Maledetto Treno Blindato)』(The Inglorious Bastards)
    wikipedia
    『グッド・バッド・ウィアード』(The Good, the Bad, the Weird)
    wikipedia
    『続・夕陽のガンマン』(The Good, the Bad and the Ugly)
    wikipedia
    『勇気ある追跡』(True Grit)
    wikipedia
    『サムライアベンジャー/復讐剣 盲狼』 (Samurai Avvenger: The Blind Wolf)
    IMDB
    『子連れ狼 三途の川の乳母車』
    wikipedia
    『荒野の用心棒』(伊: Per un pugno di dollari、英: A Fistful of Dollars)
    wikipedia
    『リオ・ブラボー』(Rio Bravo)
    wikipedia
    『ミュンヘン』(Munich)
    wikipedia
    『パッション』(The Passion of the Christ)
    wikipedia
    『続・荒野の用心棒』(Django)
    wikipedia
    『座頭市血笑旅』
    wikipedia
    『シューテム・アップ』(Shoot 'Em Up)
    wikipedia
    『パットン大戦車軍団』(Patton)
    wikipedia
    『バルジ大作戦』(Battle of the Bulge)
    wikipedia
    『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(From Dusk Till Dawn)
    wikipedia
    『M★A★S★H マッシュ』(M*A*S*H)
    wikipedia
    『大列車作戦』(THE TRAIN)
    allcinema
    『マルクスの二挺拳銃』(Go West)
    wikipedia
    『マッドマックス/サンダードーム』(Mad Max Beyond Thunderdome)
    wikipedia
    TVシリーズ
    『HEROES/ヒーローズ』
    wikipedia
    劇中曲
    『悲しき願い』(Don't Let Me Be Misunderstood)
    wikipedia
    スポンサーサイト
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    コメント

    コメントの投稿

    非公開コメント



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。