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    『ジャンゴ 繋がれるざるもの』(Django Unchained) アメリカの陰部をタランティーノがえぐり出す!【2012年12月18日たまむすび】

  1. スタジオ  赤江珠緒(フリーアナウンサー) 山里亮太(お笑い芸人、南海キャンディーズ)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    小学校銃乱射事件後のアメリカ人の反応、その背景にある心理

    赤江 もしもし~、町山さ~ん!
    山里 もしも~し
    町山 はい、どうも町山です、よろしくお願いします。
    赤江 よろしくお願いします。
    山里 お願いしま~す。
    町山 どうもで~す。
    赤江 ねえ、町山さん、もう、年の瀬っていう感じになって来ましたけどねえ。
    町山 はい。
    赤江 そちらの雰囲気は、あいかわらず・・・?
    町山 いや、もう、アメリカはちょっと・・・大変ですねえ・・・
    赤江 あ!そっかそっか、事件がありましたもんねえ・・・
    町山 はい・・・小学校が銃撃されてですねえ、20人ぐらい子供が死んじゃって・・・
    赤江 そっかそっか・・・・
    町山 今年、アメリカは銃撃事件がすごいんですよ、数が。
    赤江 はい。
    町山 次々と起こってて・・・それでも、この間の大統領選挙でオバマさんは、一切、銃の規制に対して、何も言わなかったんですよね。
    赤江 うん。
    町山 というのは、銃を持ち続けたいって言ってる人達は、政治的なポリシーを超えたところに存在するんですよ。

    赤江 はあ・・・
    町山 だから、オバマさんを凄い支持している人達でも、銃だけは持ち続けたいって言ってる人がスゴク多いんですね。
    赤江 そっか・・・・
    町山 僕、この間デトロイトとか、あっちの方を廻って・・・いわゆる、労働者の人たち、工場労働者の人達が多い地域を廻ったんですけども、
    赤江 はい。
    町山 凄くリベラルで、オバマ支持が強いんですけども、でも彼らはライフルだけは捨てないんですよ。
    赤江 そうなんですねえ。アメリカは建国した時にね、国民の方も武器を持つっていうのが、あるみたいですねえ、精神として、ねえ。
    町山 ま、それはまあ、イギリスと戦って独立した時に、普通の人達が銃を取って戦ったからなんですね。
    山里 う~ん・・
    町山 ゲリラになって。
    赤江 ええ。
    町山 それを否定しちゃうと、建国の理念が崩れちゃうんで、否定出来ないんですよ。
    赤江 う~ん・・・
    町山 ただねえ、まあ、あまりにも酷いんで・・・・だからっていって小学校行って、殺していいわけじゃないんでねえ、
    赤江 そうですねえ。
    町山 で、オバマさんはもう、今度は選挙が無いですから、もう。
    赤江 はい。
    町山 もう終わりですから。・・・だから厳しくしていいんじゃないか、って皆に言われてるっていう感じなんですけどね。
    山里 でも・・・ちょっともう、言ってましたよねえ?銃の規制に対して少し・・・
    町山 そうなんですよ。ま、もう、投票とか気にしないでいいから、ガシっと行けばいいんだっていうふうに皆に言われてるんですけどね。
    山里 は~、なるほど・・・
    町山 ま、難しいですよ。政治を越えた問題なんですよ、とにかく銃っていうのは。
    赤江 なるほどね・・・
    町山 凄く難しいですね、左右と関係なくあるんで。
    赤江 はい。
    町山 でねえ、今回紹介する映画がねえ、「プレミア」っていう、映画が完成したっていう宣伝の、「プレミア」が中止になったんですよね。
    山里 ほう。
    町山 ロサンゼルスで行われる予定だったんですけども、『ジャンゴ 繋がれるざるもの』(Django Unchained)って映画なんですけども、
    赤江 はい。
    町山 ま、ものスゴイ銃撃映画なんですよ。
    赤江 あ~・・・
    町山 まあ、西部劇なんで。
    赤江 ええ、ええ。
    町山 それでもって、後半はもう、撃って撃って、撃ちまくるんですね。
    山里 なるほど・・・
    町山 だからねえ、一応、ちょっと、プレミアは中止になったんですけども、今後、難しくなってくるんだろうと思いますねえ、アクション映画とかもねえ・・・
    赤江 ふ~ん・・・そうなんですねえ・・・
    町山 まあ、日本なんかいくらでもアクション映画は作られてるけど、なんの、そういう銃撃事件とかも無いけどね!って言っときましたけどね。
    山里 なるほど。
    町山 銃が無いから、って言っておきましたけど。
    赤江 そうですよねえ。それは大きな違いですよ。
    町山 ・・大きな違いなんですよ。アメリカ人はねえ、何で、銃撃事件が多いのをどうやって防げるか、っていうのに対して、銃を持ちたいって言ってる人達は、もっと皆が銃を持てば、互いに皆が銃を持ってて怖いから銃撃が無くなる、って言ってるんですよ。
    山里 抑止だよ・・・
    町山 いや、ワケわかんないですよ!そんなことは・・・(笑)
    赤江 そうですよねえ。それで防げて無いじゃないですかねえ。
    町山 それ、西部劇とおんなじで無法地帯に戻っちゃいますよ、アメリカが。
    赤江 う~ん・・・
    町山 そのくらいバカなことを言ってるんですけど、まあ、そういう西部劇の無法時代の話なんですけれども、
    赤江 はい。

    ~Conflict~
    アメリカの黒歴史に挑む、タランティーノ流西部劇

    町山 え~・・『ジャンゴ 繋がれざるもの』(Django Unchained)って映画を今回紹介しますね。
    山里 はい。
    町山 ちょっと、まあ、主題歌を聞いていただきたいんですがよろしくお願いします、はい。
    (♪ジャンゴ~さすらい~【北島三郎】♪)
    山里 完全に演歌調の・・・
    町山 はい。あ、これは北島三郎バージョンですね。
    赤江 サブちゃん!
    山里 そうですよねえ?
    町山 はい、サブちゃんバージョンですけども(笑)・・・これはねえ、「ジャンゴ」っていうね、ヒーローがいるんですよ。
    山里 はい。
    町山 1966年に『続・荒野の用心棒』(Django)っていう映画がありまして、
    山里 はい。
    町山 それの主人公の名前で、この映画の原題が『ジャンゴ』だったんですね。
    赤江 あ~・・・
    町山 で、その映画の主題歌の『ジャンゴ』を、日本語バージョンで吹き替えたのが、この北島三郎バージョンなんですけども、
    赤江 ふ~ん
    町山 今回の『ジャンゴ』っていう映画も、主題歌はこの歌なんですよ。
    山里 え!?
    町山 ま、北島三郎バージョンじゃないですけどね(笑)
    山里 あ~、ビックリした・・・
    町山 英語バージョンの『ジャンゴ』なんですけどもね。・・でね、1966年の『続・荒野の用心棒』(ジャンゴ)って映画は、「マカロニ・ウェスタン」て言われてる物なんですね。
    赤江 はい。
    町山 これはイタリア人が制作した映画なんですけれども、西部劇なんですよ。
    山里 はい。
    町山 アメリカの西部が舞台の、ガンマン達が戦う話なんだけども、イタリア人がイタリアで、ま、スペインで制作した映画なんですね。
    山里 ふん。
    町山 だから、「スパゲッティウエスタン」ていうふうにアメリカでは呼ばれていて、日本では確か、淀川さんが、淀川長治さんが「マカロニ・ウェスタン」って言ったんですね。
    赤江 あ~・・
    町山 だから・・・・全員、出てくる人達はイタリア系の人達なんですよ。
    赤江 はい。
    町山 で、それらが何でかアメリカでも大ヒットして全世界で大ヒットしたんで、それからいっぱい、「ジャンゴ」っていうのを主人公にしたワケのわかんない映画が次々と作られたんですね。
    山里 (笑)
    町山 はい、世界中で。
    赤江 はい。
    町山 だから、いろんな「ジャンゴ」があるんですよ。『皆殺しのジャンゴ』(Viva Django)とかね、『情け無用のジャンゴ』(Se sei vivo spara)とかね、『復讐のジャンゴ』(Django spara per primo)とかね、え~・・・いっぱいあってですね、
    赤江 作りましたねえ・・(笑)
    町山 『殺戮のジャンゴ・地獄の賞金首』って、これは日本のエロゲーなんですけれども、
    赤江・山里 (笑)
    町山 日本のエロゲーにまでなってるんですけど、
    山里 エロゲー・・・・
    町山 日本でもね、最近2007年には、三池崇史監督が『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』ってのを作ってるんですよ。
    赤江 は~・・・
    町山 それは「マカロニ」じゃなくて日本製だから「スキヤキ・ウエスタン」なんですけどもね。
    山里 そういう意味だったんだ。
    町山 あれはねえ、クエンティン・タランティーノってアメリカの映画監督が出演してるんですね、その「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」には。
    赤江 はい。
    町山 で、そのタランティーノが今回アメリカで作った「ジャンゴ」が今回の『ジャンゴ』なんですよ。
    山里 ふ~ん。
    町山 あの、ちなみに麻雀劇画にも「ジャンゴ」っていう主人公が出てきますけど、(笑)
    山里 (笑)
    町山 ま、それはいいんですが、とにかく、流れ者の賞金稼ぎの代名詞なんですよ。「ジャンゴ」っていうのは。
    赤江 へ~・・・
    町山 そのクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)が日本で2007年に「ジャンゴ」に出て、「じゃあ、オレもアメリカで『ジャンゴ』作るわ」っつって作ったのが今回の映画なんですね。
    赤江 ふ~ん。
    町山 でね、そうすると、まあ普通の西部劇かな、と思うんですけども、今回は西部じゃなくて舞台が南部なんですね、アメリカの。
    山里 はい。
    町山 南部ってのは、南北戦争がある前は奴隷制度があったんですけれども、主人公のジャンゴは黒人なんですよ、今回。
    赤江 は~・・・
    町山 ジェイミー・フォックス(Jamie Foxx)っていうですね、レイ・チャールズの伝記映画でアカデミー賞を獲った俳優さんなんですけども、
    山里 はい。
    町山 彼が奴隷として、売られていく途中で、ドイツ人の賞金稼ぎに助けられて、
    山里 うん。
    町山 それで、2人で悪い奴を捕まえて、殺したりしてはお金を稼ぐ、賞金稼ぎの旅を続けるんですね。
    山里 ほうほう。
    町山 で、そのジャンゴには目的があってですね、昔愛した女性、結婚の約束をした、結婚をした女性がまだ奴隷として南部で繋がれている、と。
    山里 うん。
    町山 それを助け出したい、と。
    赤江 うん。
    町山 ということで、最後は南部に戻ってですね、奥さんを助けに行くっていう話になっていくんですね。
    赤江 は~・・・でも、西部劇に黒人の方って、あんまり今までねえ、見かけたことが無いですもんねえ。
    町山 実際は西部は、実は黒人の人がいっぱいいたんですよ。
    山里 ほう。
    町山 あの・・西部劇ってのは南北戦争より後の時代なんですね。
    赤江 ええ。
    町山 南北戦争が終わったんで奴隷の人達は開放されたじゃないですか。
    山里 はい。
    町山 だから西部に流れていってガンマンとか、カウボーイをやってたんですよ、実際は黒人の人達が。
    赤江 あっ、実際はそうなんですか・・・へ~・・・
    町山 そうなんですよ。ただ、アメリカの西部劇っていうのは、やっぱり白人ばっかりでやってたんで、嘘があったんですよ。
    赤江 ふ~ん。
    町山 最近は歴史的にいろいろ調べるようになってから、黒人のガンマンとかカウボーイが出てくる映画が増えてきてるんですけども、
    山里 ふんふん。
    町山 で、これは、悪い奴隷主、ていうか奴隷をたくさん抱えて農場をやってる、悪い悪いワルイ白人がですね、レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)なんですね。
    赤江 あ、レオ様。
    山里 悪役の方なんですか。
    町山 レオ様が。
    赤江 へ~・・・
    町山 あの・・最近、ホントに・・『J・エドガー』(J. Edgar)ではブッサイクなゲイのオジサンをやったりとかですね、滅茶苦茶な演技をやってるディカプリオが、今回も、モンのすごく悪くて嫌なですね、サディストのですね、変質者の・・・・・で、奴隷をいじめまくって殺して喜んでるですねえ、ワルイ白人を演じてますねえ。
    赤江 へ~・・・
    山里 『タイタニック』(Titanic)のイメージがあるから、僕の中で・・
    赤江 ねえ、そうねえ。
    町山 もう、あれから10年以上経ってるんですからね(笑)。
    山里 (笑)
    赤江 経ってますねえ、
    山里 いろんな役をやってるんだ。
    町山 あの・・・前も話したかな?あれ?・・僕、取材でメキシコのカンクンに行った時に、
    山里 はい。
    町山 海辺で休んでたら、ていうか海水浴をしてたら、デカプーさんも来ましたよ。
    赤江 デカプーさんも(笑)
    町山 デカプーさんも。
    赤江 ふらっと・・・海岸に?
    町山 はい、ふらっと。・・・取材で、そこでインタビューがあったんで皆来てたんですけども、
    赤江 はいはい。
    町山 あの・・・お腹、モッチリ出ててですねえ、
    赤江 え?
    町山 (笑)・・もう、ホントにおっさん体型になってましたけどね、ハイ。
    赤江 え?そうなの?!
    山里 イケメンの・・・レオ様じゃ無くなってんだ、ちょっと・・・
    町山 はい・・・で、水と戯れてましたよ、ボディーガードと一緒に。
    赤江・山里 (笑)
    町山 で、そのディカプリオを倒す、っていう話なんですよ。奥さんを助け出すために、主人公のジャンゴが。
    山里 わかりやすくていいなあ、話が。
    赤江 うん、そうですね。
    町山 はい。そういう泣かせる話なんですけども、
    山里 うん。
    町山 僕は今回これ、ニューヨークでインタビューがあったんで、クエンティン・タランティーノに会いに行って、試写とか行ったんですけれども、試写がニューヨークの中で行われたんですが、黒人のお客さんが何人か入ってたんですね。
    山里 はい。
    町山 もう、大喜びでしたよ!
    山里 あ~・・・なるほど・・・
    町山 あのねえ、南部の農場で、綿花を育ててるわけですね、黒人の人達が。
    赤江 はい。
    町山 で、白人の奴隷となって。でも、ちょっと・・・疲れてたりすると、ムチで打たれるわけですよ、白人の監視人達に。
    赤江 うん。
    町山 ・・・ムチって言っても・・・日本でSMの人達が使ってるようなムチじゃないですよ。
    山里 わかってますよ!
    赤江 違うんですか?
    山里 (笑)
    町山 (笑)・・・あんなムチじゃなくて、黒人の人達を白人が打ってたムチっていうのは、叩かれると肉が裂けて骨が見えるようなムチなんですよ。
    赤江 は~・・・・それ、そんなのをやっちゃうとねえ、SMでねえ、
    山里 いや、SMの話に持ってかなくていいんだから、赤江さん・・・
    町山 そう、とんでもないですけども、それでまあ、女の人でも子供でも叩くわけですよ。奴隷だから。
    赤江 うわ・・・
    町山 それをジャンゴが見つけて、そのムチを取り上げて白人の監視人をぶっ叩くとこで、お客さんの黒人の人達は、もう大喜びでしたよ!
    山里 なるほど・・・
    町山 ヤッター!!って感じでしたけど。
    赤江 へ~・・・・
    町山 まあねえ、ただねえ、凄いのは、白人達が黒人の奴隷の人達をいじめるのを延々と見せていくんで、
    赤江 うん。
    町山 やっぱりねえ、わずか150年前にこれだけ酷いことをしていたのか、っていうのはねえ、相当強烈なものがありますねえ。
    赤江 は~・・・
    町山 でねえ、アメリカ映画ってのはこれだけたくさん作られてますけども、白人が黒人の人を奴隷として、どれだけ酷くしていたかっていう映画は、ほとんど作られて無いんですよ、実際は。
    赤江 未だに・・・
    町山 未だに、なんですよ。で、世界で最初に、虐待の実態を見せた映画ってのは、なんとイタリア映画なんですよ。
    山里 へ~・・・
    赤江 あっ、そうですか・・・
    町山 そうなんです。1970年代にイタリアの、『世界残酷物語』(MONDO CANE)っていうシリーズを作っていたドキュメンタリー作家の、グァルティエロ・ヤコペッティ(Gualtiero Jacopetti)っていう監督が『残酷大陸』(ヤコペッティの残酷大陸 Addio zio Tom)っていう映画で、「もし南北戦争時代にカメラがタイムスリップしたら、どういうドキュメンタリーを撮るか」っていう映画を撮ったんですね。
    山里 へ~・・・
    町山 でまあ、酷いいじめとかですねえ・・・まあとにかく、黒人の人達の奴隷の、輸入をする時に船に詰め込まれて運ばれるんで、詰め込まれて運ばれてる間だけで、200万人死んでるんですよ。黒人が。
    山里 え~!・・・
    赤江 いや~・・・・あまりにも過酷な状況で、ですよねえ・・・・
    町山 そうなんですよ、船の中で死んじゃうんですけど・・・
    赤江 人として扱って無いわけですもんねえ・・・
    町山 そう。そのあと今度は、奴隷の輸入を禁止したら、今度は内部で奴隷取引になるんですね、アメリカ国内で。
    山里 はい。
    町山 どうやってやるかって言うと、白人の、奴隷の持ち主が、黒人の女の子を次々と犯して子供を産ませては、自分と奴隷との間に生まれた子供を売っぱらうんですよ。
    赤江・山里 え~!!・・・
    町山 金になるから、って。・・・要するに人間牧場にするんですね。
    山里 え~・・・・
    赤江 は~・・・
    町山 それぐらい酷いことをやってたっていうのは、アメリカ映画ってのは全然描いてなくて、そのあと『マンディンゴ』(Mandingo)って映画が、1回だけ、その実態を描いたんですよ。
    山里 はあ。
    町山 で、そのあとは誰も描かないのを、タランティーノっていう監督は勇気があるから、「やってやる!」と。
    山里 へ~。
    町山 ということで、今回挑戦してるんですね、それに。
    赤江 ふ~ん・・
    町山 まあ、酷いですよ。だって、奴隷の人が逃げようとすると、犬をけしかけて犬に食い殺させたりするんですけども、
    山里 え~!・・・・
    町山 それをやった後で、全員皆殺しにしますから!
    赤江 え?
    町山 その、ジャンゴが!
    山里 そういう酷いシーンの後には、正義のヒーロが現れて、バッタバッタと・・・
    町山 そうですね。「よくもやってくれたな、この野郎!」って、バンバンバンバン、バンバンバンバン、殺しまくるんですけど(笑)
    山里 は~・・・・・
    町山 ま、そういう映画ですけど、まあスカッとはしますけれども、前半でかなり、リアルなものを見せてくるんで、
    赤江 うん。
    町山 今、『リンカーン』(Lincoln)ていう映画が、まあ、アカデミー賞を獲りそうですけども、
    赤江 はい。
    町山 『リンカーン』の中では、何故リンカーンがそこまで戦って、黒人の解放をしなければならなかったのか、ってことは描かれないんですね。
    赤江 うん。
    町山 戦ってる側の北軍側の目から見てるから。
    赤江 うん。
    町山 でも、この『ジャンゴ』の方では、どれだけ酷いことが行われてたか、っていう実態を見せていくんですよ。
    山里 へ~・・・
    町山 だから、2本合わせて観るといいな、と。
    赤江 あ。
    町山 リンカーンが戦おうと思った理由も良く分かるというねえ。
    赤江 そうですか・・・
    町山 そういう感じなんですよ。
    山里 そっか、シンプルな勧善懲悪っていうよりも、そういうメッセージが込められてるんですね、いろいろ・・・
    町山 ま、アメリカが隠してきたことですよね。
    赤江 やっぱりアメリカにとっては語りたくない歴史の部分なんですねえ、そこはねえ。
    町山 だって、これだけアメリカ映画が作られてて、わずか1本か2本しかそれを描いてないんですよ、現在まで(笑)
    山里 やっぱり自分の国の、人に知られたくないポイントだから・・・
    赤江 なんか、奴隷貿易の実態を描いてるような映像とか、見た覚えがあるのは、じゃあ、他の国が作ってるということですか。アメリカじゃないんだ・・・・
    町山 他の国が作ってますね・・・はい。
    赤江 なるほど・・・
    町山 ホントにね、アメリカ人にとってはね、これはホントに思い出したくない世界なんですよ。
    赤江 は~・・・・・
    町山 で、今回もね、どうしても思い出したくない部分ていうのがあって、タランティーノも、「描きたくなかったから、描かなかった」って言ってる部分もあるんですね。
    山里 へ~!
    町山 その・・・黒人の女の人に対して、白人の男達が何をしていたかっていうのはねえ、ちょっと・・・「やっぱオレもジェントルマンだから・・・」って言ってましたよ、インタビューしたら。
    山里 へ~・・・
    町山 「紳士だから、胸くそ悪くなるから、そこだけはちょっと描けなかったよ」って言ってましたね。
    赤江 ふ~ん・・・・・
    町山 まあ、具体的には、子供を産ませてたわけですけどもね・・・それを売ってたんですけども、そこはちょっと、「ちょっとパスした!」とか言ってましたけど・・
    赤江 さすがに・・・
    町山 まあ、酷いんですけどね・・・それでまあ、徹底的に戦うんですけども、でもね、タランティーノって人は面白いんで、今回はマカロニ・ウェスタンへのオマージュなんですね。
    赤江 はい。
    町山 それで、前に『キル・ビル』(Kill Bill)って映画を作った時は、日本のですね、いろんな時代劇・・『服部半蔵・影の軍団』とかですね、『柳生一族の陰謀』とかですね(笑)・・・
    赤江 はい。
    町山 しかもそれのTVシリーズ版へのオマージュだったんですね、『キル・ビル』は。
    赤江 ええ、ええ。・・・お屋敷とか出てきましたもんねえ。
    町山 はい。で、この前の『イングロリアス・バスターズ』(Inglourious Basterds)って映画は、第二次大戦の戦争映画なんですけれども、
    山里 ふん。
    町山 ドイツ兵と、アメリカ側から来たユダヤ系のアメリカ軍が戦う話なんですね、前回は。
    赤江 はい。
    町山 でもこれは、「イタリアで作られた、戦争映画」の、オマージュって感じでですね、常に昔あったB級映画とかZ級映画へのオマージュを作り続けてる人なんですよ。
    赤江・山里 ふ~ん・・・
    町山 で、今回は、「イタリア製の西部劇」っていう、まああんまり偉く思われてないもの、
    山里 うん。
    町山 と、1970年代に「ブラックスプロイテーション(Blaxploitation)」ていう映画がアメリカでたくさん作られたんですが、それは、70年代にソウル・ミュージックとか流行った時に、黒人がオシャレっていう時代になった時に、
    山里 うん。
    町山 黒人の人達がワルイ白人をバンバン殺す、ギャング映画がたくさん作られたんですね。
    山里 ふん。
    町山 で、それを組み合わせてるんですよ。マカロニ・ウェスタンと70年代黒人映画を合体させた映画なんですよ、今回は。
    山里 へ~・・

    ~Resolution~
    虐げられた人々のためにぶっ放し続けるヒーロー、タランティーノ

    町山 そういうねえ、不思議な事をやり続けてる人でねえ(笑)、この人はホントに映画マニアで面白いなあ、と思いますねえ、僕は。
    赤江 そうですか。
    町山 千葉真一さんが大好きだしね。
    赤江 そうですね、うん。
    町山 そうなんです。でね、今回は特に、あの、前回は『イングロリアス・バスターズ』って映画は日本ではそれほどでは無かったんですけど、世界的に大ヒットしたんですよ。
    山里 へ~。
    町山 どうしてかって言うと、ユダヤ系のアメリカ人兵士達が、ドイツに行ってドイツ人のナチを皆殺しにする話なんですよ。
    山里 は~・・・・
    赤江 あ、ユダヤ人の方が・・・逆襲?
    町山 ユダヤ人・・・が、逆襲する話なんですよ。
    赤江 はい。
    町山 もちろん歴史的事実では無いんですけど、タランティーノは友達にユダヤ系の人がいっぱいいるんで、「彼らの夢を叶えてやった」と。
    山里 は~・・・
    町山 で、ユダヤ系の人達がバーっとドイツに行ってナチをバンバン殺すだけじゃなくて、最後はヒットラーを殺しちゃうんですよ。
    赤江 ・・・なるほど・・・
    町山 (笑)・・・これもねえ、僕がアメリカの映画館で見た時に、もう拍手喝采でしたよ、ユダヤ系の人達が。
    山里 へ~・・・・
    町山 「ヤッター!!」って感じだったんですけども、
    赤江 そっか、じゃ、せめて映画の中だけでも溜飲を下げたいっていう・・・
    町山 そう。で、今回は黒人の人達を「ヤッター!!」って言わせてるんですけども・・・・何故かねえ、不思議なねえ、タランティーノはねえ、いろんな酷い目にあった人達の仇討ちを映画でやり続けてるというですねえ、
    赤江・山里 は~・・・・
    町山 不思議なヒーローですね。映画ヒーローみたいな人をやってますねえ。
    赤江 そうですねえ。ホント、仇討ち請負人みたいな感じになってますねえ。
    町山 請負人なんですよ。
    赤江 そうなんですねえ・・・タランティーノさん。へ~・・・・
    町山 はい。・・・ま、非常に、まああの・・・血みどろの(笑)映画ではあるんですけども、非常に深い正義感に貫かれてる映画ですね、ハイ。
    赤江 わかりました。これは日本公演は・・・・
    町山 日本公開は3月1日ですね。
    赤江 はい。
    町山 『ジャンゴ 繋がれざるもの』、ディカプリオはこの悪役演技でアカデミー賞を獲るんじゃないか、って言われてますね。
    山里 え~!
    町山 はい、ノミネートは確実だろう、と。
    赤江 へ~。
    町山 はい。という感じで、『リンカーン』と合わせて、御覧になって頂きたい、と。アメリカの暗い、隠してる歴史を・・・という感じでした。
    赤江 わかりました。はい、ありがとうございました。今日のたいしたたまは、町山智浩さんに、クエンティン・タランティーノ監督の新作『ジャンゴ 繋がれざるもの』をご紹介頂きました。
    町山 はい。でも、ラストはちゃんと、スカッ!としますから。
    赤江 そうなんですか。
    町山 スカーー!っとしますから、ハイ。
    赤江 そっか・・・
    町山 もう、怒りをどんどん盛り上げてこそ、バーン!て最後は行く、というね、感じなんで。
    山里 最後はスカッとするのが好きなんですよ、僕。シンプルに。
    赤江 映画はねえ、やっぱりね。
    町山 スカッとしますよ。最初のほうで怒りを蓄積すればするほど、スカッとしますから、ハイ。
    山里 そっか。プラス、歴史的背景をちゃんと知っとくと、よりもっと・・・楽しめますよね。
    町山 そうですね。はい。ここで描かれてる酷いことはホントに事実なんで。ハイ。事実はもっと酷いんですが・・ハイ。
    赤江 わかりました。町山さん、ありがとうございました。
    山里 ありがとうございました。
    町山 はい。

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