スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    『ラスト、コーション』(色・戒 Lust, Caution)リスナーが選んだもう1度聴きたいコラムベスト1の回【2007年12月11日ストリーム】

  1. スタジオ 小西克哉(国際ジャーナリスト) 松本ともこ(フリーアナウンサー)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    過激なセックス描写で話題になった映画、今昔

    小西 町山さ~ん
    町山 はい、町山です。よろしくお願いしま~す。
    松本 お願いしま~す。
    町山 はいはい。えっと、今日はですねえ、今年ももうすぐ終わりですから、今年1年間で観た映画の中で、1番スゴイなと、思った映画についてお話ししたいんですけども、
    小西 1番スゴイっすか。
    町山 はい。それがですね、タイトルが『ラスト、コーション』(色・戒 Lust, Caution)というタイトルなんですけども、
    小西 はい。
    町山 これ「ラスト」ってのは「最後の」じゃなくてですね、「欲望」って意味の「ラスト」ですね。
    小西 LUSTの「ラスト」
    町山 はいはい、そうです。で、「コーション」は「警告」って意味ですけど・・・「CAUTION!」てよく「危ないよ!」っていう時ありますよね。
    小西 ええ、ええ。そうですねえ。
    町山 この『ラスト、コーション』て映画は、一応アメリカ映画なんですけども、監督は台湾の人でですね、話の舞台と出てくる人も全部、中国なんですね。
    小西 うんうん。
    町山 ただ製作はアメリカで・・・さっき言いましたけど、脚本と編集もアメリカ人で、撮影はメキシコ人でですね、音楽はフランス人というですね、
    小西 お~・・
    <町山 すごい、国際的な映画なんですよ。
    小西 ホントですねえ。
    町山 はい。でね、これがまた、国際的にですね、話題になってるのはですね、過激なセックス描写なんですよね。
    小西 出ましたねえ。

    町山 アメリカで、僕、観たんですけども、これ、18歳未満お断りの成人指定なんですよ。
    小西 ふんふん。
    町山 アメリカって成人指定になると、もうポルノ扱いになっちゃうんで自動的に、
    小西 うんうん、なるほどね。
    町山 だからいわゆる、大劇場とかですね、チェーン店では一切公開できなくて、いわゆる独立系でしか公開できなかったんですね、劇場が
    小西 つまり、もう今、「X(エックス)」というランクが無いんDすよね?
    町山 無いんです。無いんで、もう全部一緒くたになっちゃうんですね、ポルノと。
    小西 18歳以下はもう、どんな人でも入っちゃいけないと。
    町山 絶体に観れないです、アメリカでは、はい。・・・で・・僕は観れましたよ、ハイ。お酒買う時はいつも免許証を見せろって言われるんですけどね、この年で(笑)、ハイ。
    小西 町山さんも、アレですか、高校生扱いですか?
    町山 未だにまだねえ、これ入る時ちょっと、「君、何?」とか言われましたけどねえ、ハイ。
    小西 未だに・・(笑)
    町山 一応免許証を見せましたけどねえ・・・もう、何年やってんだって思いましたけども、ハイ。
    小西 うん(笑)
    町山 でこれ、中国が舞台なんですけど、
    小西 はい。
    町山 中国ではですね、該当箇所がですね、
    小西 うん。
    町山 カットされたんですね、まるごと!
    小西 うん。
    町山 これが、7分間カットっていうぐらいになってまして、ま、7分間が大問題だったと。
    小西 はあ。
    町山 で、日本でも一応、R18ですから18歳未満お断りか・・
    小西 うん、そうですね。
    町山 それでも足りなくて、一部、修正箇所が入ると言われてるんですよ。
    小西 あ、やっぱし日本でも修正すんの?
    町山 する・・みたいですねえ。
    小西 え~?
    町山 で、どういう映画なのかって話・・・ま、それだけ聞くと結構、スゴそうだな、と思うじゃないですか。
    小西 思いますねえ。
    町山 こういう映画って昔からあるでしょ?何本か・・・あの、僕が子供の頃は『ラストタンゴ・イン・パリ』(Last Tango in Paris)が大問題でしたね。
    小西 あ、つまりその、セックスシーンが過激で、カットされるような映画ってのは、それは昔からもう、結構いろんな物が・・・それ、僕らが物心ついて、そうですねえ、マーロン・ブランド、『ラストタンゴ・イン・パリ』・・
    町山 そうですよねえ。要するにまあ、ポルノじゃ無い、普通の映画っていうかいい映画なんだけれども、描写が強烈だってことで問題になる映画って・・・
    小西 あれは・・なんだっけ?風呂入るんですよねえ?・・マーロン・ブランド・・
    町山 あれは、マーロン・ブランドがバターをお尻に塗ってお尻の方に入れるからですよ。
    小西 あ~、やっぱそこがカットされてて、
    町山 そうなんですよ。
    小西 その部分がカットされててっていうことでしたっけ?
    町山 日本ではね。
    小西 60年代でしたっけね?あれ。
    町山 70年代ですね。
    小西 70年代か・・
    町山 それで、『愛のコリーダ』がそのあと、大島渚監督のが話題になって、
    小西 あ~・・
    町山 これは日本映画なのに、日本で撮影したのに日本でちゃんと公開できない、ズタズタになっちゃったっていうね。
    小西 『愛のコリーダ』って阿部定事件のが・・確か『愛のコリーダ』・・・
    町山 そうです、そうです。「ア~イの、コリーダ♪・・」って歌がありましたけどねえ(笑)
    小西 それ、いっしょにするか?みたいな(笑)
    町山 で、藤竜也さんがね。
    小西 はい!
    町山 なんていうか、本当にシテルっていうんで、ま・・すごい話題になった映画ってのがありましたけど・・
    小西 ホントにシテルっていうか、前を出して、見せたっていうやつですよね?
    町山 なんか、いろいろ言われてるやつですね。
    小西 本当にシタの~?(笑)
    町山 本当に・・・してないのか?あれは・・・
    小西 え~、そうだったの?(笑)
    町山 いやいや、知らないですけど・・あの・・・聞いてみますね、ハイ。
    小西 ちょっと、映画評論家なんだからお願いしますヨ、町山さん(笑)。

    ~Conflict~
    性のタブーを描き続ける監督、アン・リーの強烈なスパイ物映画に町山、暴走

    町山 ハイ、それでですねえ・・・(笑)、何を言ってんだか・・えっとですねえ、今度は『ラスト、コーション』の話に戻るんですけども(笑)
    小西 はいはい、戻りましょうか。
    町山 ま、どんな映画なのかって話がしたいんですけども、監督はですねえ、アン・リーという人なんですね、台湾系の。
    小西 はい、『ブロークバック・マウンテン』(Brokeback Mountain)のねえ。
    町山 そうです、そうです。
    小西 監督で。
    町山 『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー監督賞を取ってるんですけども、
    小西 監督賞をとって。
    町山 この人、「アン」なんて名前だから、女の子みたいな、「赤毛のアン」みたいな感じなんですけど、本人の写真を見るとね、こう・・・前田吟と桜金造を合わせたみたいな顔のオッサンなんですけどね。
    小西 ちょっと、待ってください!(笑)・・前田吟・・ハイハイ、で、桜金造・・あ~
    町山 桜金造・・
    小西 はい、そして今モンタージュ・・あ、できました、わかりました。
    町山 わかりますよねえ。あの・・・そういうオジサンなんですけど、
    小西 はいはい、はい。
    町山 『ブロークバック・マウンテン』ではアメリカのカウボーイのホモ描写をしてですね、アメリカの保守的な人達をカンカンに怒らせて、
    小西 うん。
    町山 この人、その前にも『アイス・ストーム』(The Ice Storm)っていう映画で、70年代のアメリカの中産階級の人達が、夫婦交換をしていたことを暴いたんですよね。
    小西 あ、スワッピングの。
    町山 そう。あれ、すごく流行ってたんですよね、70年代中産階級、みんなやってたんですけど。
    小西 あの・・・『ザ・ネイバーズワイフ』という小説が大流行で、70年代から80年代かな?
    町山 ま、あの・・エイズで滅んじゃったんですけど、そういうことが。
    小西 そうそう、そうそうそう。
    町山 実は今アメリカで結構真面目そうにしているオジサン達はみんな若いころ、夫婦交換してたりしてるんですけど、
    小西 (笑)ちょっと・・・「みんな」っていうのやめなさいよ(笑)
    町山 これを暴いちゃったりする・・・
    小西 (笑)「みんな」じゃないじゃないですか・・
    町山 「みんな」ってことはないですけどね(笑)、ま、非常に流行ってたわけですけども。
    小西 日本では『金曜日の妻たちへ』、金妻ブーム、TBSが作ったブームですがね、
    町山 あれ、夫婦交換じゃないじゃないですか。
    小西 夫婦交換じゃないけど、ま、不倫映画ですよ。
    町山 まあ、そうですけどね(笑)
    小西 アメリカはもっとひどくて夫婦交換ね。
    町山 アメリカはホントに完全にしてたんですけどね。
    小西 完全にしてたのね(笑)、あ~そう。
    町山 そういうことを暴いてる、アン・リーっていう監督がですね、今回は中国、自分の・・・まあ、この人は台湾ですけども、中国本土を舞台にですね、また性のタブーを暴いたという感じなんですが。
    小西 なるほど。性のタブーを。
    町山 はい。で、これ舞台はですね・・・これ、話自体はこの『ラスト、コーション』て映画はスパイ物なんですよ。
    小西 ほう。
    町山 舞台は1940年代で、日本が中国を占領してですね、香港とか上海が日本の統治下に置かれてる状態なんですね、日本軍の。
    小西 はあ、はいはい。
    町山 で、ヒロインはですね、チアチーっていう女性でですね、女子大生なんですよ。
    小西 チェアツィー
    町山 チェアチー、チャチーっていうんですけども
    小西 うん・・ややこしいな・・
    町山 この女の子はですね、タン・ウェイっていう女優さんが演じててですねえ、この人、ド新人なんですが、今回初めてなんですが、
    小西 うん。
    町山 顔はねえ、なんていうかねえ、バイオリニストのねえ、諏訪内晶子さんに似てますね。
    小西 あ~、えー!ちょっと・・・
    松本 好き?
    小西 ちょっと・・・タイプだなあ・・どうしよう!
    町山 (笑)タイプだなあって、すごい・・、そんなに興奮しなくてもいいと思うんですけども(笑)
    小西 (笑)
    松本 どうしよう!って、まだ全然ストーリー、ちょっとしか聞いてない・・
    小西 あ、そうですか・・
    町山 ま、いわゆるちょっと、幼い感じで、でもちょっと清楚なお嬢さんぽい女優さんなんですけども、
    小西 清楚な、お嬢さんぽい・・・はあ・・
    松本 タン・ウェイさん。
    町山 ま、その女の子が劇団に入るんですね、女子大生で。
    小西 ほう。
    町山 そうするとその、劇団長がですね、非常にイケメンの男でですね、
    小西 (笑)
    町山 超イケメンの・・今、日本でいっぱいいるイケメン俳優みたいなタイプの優男(ヤサオトコ)ですね、美青年で。
    小西 あ、そうなんだ。・・トニー・レオンなんでしょ?
    町山 いや、これはワン・リーホンていう人なんですけども、若い男優さんで。
    小西 あ、違うんだ。失礼、失礼。・・・あ~、そうか!こっちか・・写真を今ちょっと見てんですけど・・
    町山 はいはい。
    小西 ・・あ、これイケメンだねえ!
    町山 イケメンなんですよ、すごい。
    松本 私、ワン・リーホンよりトニー・レオンの方・・・
    小西 あ、そう・・・
    松本 あ、ごめんなさい、萌えちゃって、ハイ。
    小西 もう、うるさい・・・
    町山 (笑)
    小西 いろいろ、好みが(笑)・・好みがうるさくてすみません。(笑)
    松本 まだ聞いてないのに・・(笑)どっちもホラ、好きなのよ
    町山 ちゃんと出てきますから
    松本 ハイ。待ってます。(笑)
    町山 で、その彼がイケメンなんで、おぼこい娘なんで、劇団に入っちゃうんですね。劇団長に惚れて。
    松本 入っちゃうんだ・・・
    町山 で、入っちゃうとその男がですね、実は劇団とか興味が無くてですね、日本軍と戦って中国人民を助けるんだ、っていう愛国レジスタンスに入っちゃうんですよ。
    小西 いわゆる、フランスのパルチザンみたいな。
    町山 そうそう、そうそう。「我々は日本軍と戦わなきゃいけない!」っつって、「芝居なんかやるか!」って言うんですよ。
    小西 占領下だから、うん。
    町山 でもその女の子は、ヒロインは、その彼が好きだからって理由で入っちゃうんですね。
    小西 なるほどね。
    町山 で、彼らの劇団転じて、愛国集団になった彼らの標的はですね、
    小西 うん。
    町山 日本軍の下で、抗日分子、要するに、日本軍に抵抗している中国人をですね、捕まえて殺す、ゲシュタポみたいな男がいるんですよ。
    小西 あ~、それは中国人なんだ。
    町山 中国人なんですね。
    小西 あ、つまり売国奴みたいな、中国人からすると。
    町山 そうそう、売国奴で、日本軍の下で権力と金を欲しいままにしている男がいまして、
    小西 はいはい。
    町山 それがトニー・レオンなんですよ。
    松本 まいったなぁ~、そこか・・・
    小西 あ、それがトニー・レオンなんだ。悪なんだよ、トニー・レオン
    松本 あ~・・
    町山 トニー・レオンて人はね、非常にですね、まあなんていうか、中年なんですけども、タバコを吸うのが上手いひとでね。
    松本 う~ん・・・
    町山 タバコを黙って吸ってるだけでですね、バーのカウンターで、
    小西 うん。
    町山 で、女が寄ってくるようなタイプの男なんですよ。
    小西 (笑)
    松本 寄るでしょう・・
    町山 スゴイんですよ。
    小西 絵になる、この、またね、30年代の、40年代の上海で。
    町山 そう。
    小西 ねえ。
    町山 もう、めっちゃくちゃカッコイイんですけど、ま、中年男の色気があってですねえ、
    小西 ちょっと坂口安吾みたいな感じだよな・・・
    町山 そうそう、そう!なんかこう、自滅的な感じがあるんですけど、
    小西 ねえ!ちょっとメガネ外した坂口安吾みたいな・・
    町山 そうそう。あと、田村正和がですね、
    小西 うん。
    町山 昔、セクシーだったころの感じですね
    小西 アッハッハッハ・・・
    町山 あの、古畑ナントカの変なオッサンになる前の、バージョンの田村正和みたいな・・
    小西 (笑)ニューヨークに行ってビオラかチェロか弾く前の、
    松本 サックスです。
    小西 サックスか、ゴメンゴメン。・・わかんねえや(笑)
    町山 そうそう、そう。変になる前の、あの・・・田村的なとこがあるんですけども、
    小西 (笑)
    町山 それがトニー・レオンですね。
    松本 そうか・・・・
    町山 ま、とにかくコイツがすごい悪いやつだから、コイツを暗殺しなきゃなんない、と。
    小西 はい。
    町山 だからこのヒロインがですね、有閑マダムの演技をしてですね、元々じょゆうですから、
    小西 うん。
    町山 で、スパイとなってその男に、トニー・レオンに近づくんですけども、
    小西 お~・・・
    町山 トニー・レオンの方がもの凄く慎重でですね、注意深くてですね、
    小西 うん。
    町山 暗殺しようとしても、隙を一切見せないんですよ。
    小西 それはやっぱり悪だもんねえ・・。
    町山 もう、心を許さないわけですね、1人にならないし絶体に。
    小西 うん。
    町山 で、どうしよう?ってことになって、その抗日ゲリラ集団はですね、「じゃあ、お前!」って言って、そのヒロインにですね、「彼と寝るしか無いよ」って言うんですよ。
    小西 うんうん。
    町山 ところが彼女、処女なんですね。
    小西 うん、ま、女子大生だし。
    松本 よく覚えてますねえ(笑)
    町山 女子大生でお嬢さんだから
    小西 当時の女子大生だし。
    町山 そう。じゃあそのゲリラ集団の、リーダーのイケメン君が、その処女を何とかしてやればイイじゃん、て思うじゃないですか。
    小西 あ、なるほどね。
    町山 ね?
    小西 うん、一応ね。
    町山 で、彼女もそれをちょっと、期待してるわけですよ。
    松本 ホントに?
    小西 あ、予行演習としてね。
    町山 そう。ところがね、イケメン君、何もしなくてですね、
    小西 あらら。
    町山 彼女の処女を何とかする役っていうのがですね、劇団内で1番チンケな男がいましてですね(笑)
    小西 うん。
    町山 彼だけが、その・・・セックスを知ってるんですよ。
    小西 はあ・・
    町山 ま、売春宿に行きまして。
    小西 うん、うんうん。
    町山 で、彼がその・・・係を務めるんですけど、それがまたですね、小倉一郎と猫ひろしを足したようなチンケな男なワケですよ。
    小西 (爆笑)
    松本 町山さん、ツクってないですか~?・・ちょっと~(笑)
    町山 いやホントなんですよ!見るとわかるんですけど。
    松本 もう、ヤダ~(笑)
    町山 そんなものにねえ、処女を捧げなきゃいけないんですよ、彼女は。
    小西 ・・それ、罰ゲームみたいですねえ。(笑)
    町山 罰ゲームじゃないんですよ。これは要するに、イケメンの彼に対して、忠誠を見せるために
    小西 いや、わかるよ。うんうん。
    町山 彼に気に入られたいから、立派なスパイになるためにですね、
    小西 うん。
    町山 その・・猫ひろしと小倉一郎を足したみたいな男とですね、セックスの修行をするんですよ。
    小西 (笑)・・・修行をね!
    町山 ね、悲しいでしょ!もう・・・
    小西 悲しいわ・・
    松本 悲しいですねえ。
    町山 スゴイ悲しいですよ。笑っちゃいけないですよ、ホントに。
    小西 スゴイ悲しい、うん。
    町山 でまあ、いろいろあってですね、結局まあ、トニー・レオンに抱かれるわけですけども、
    小西 あ、結局抱かれるようになるんだ。
    松本 あ~・・・
    町山 それが!スゴイわけですよ。それが要するに、今問題になってるってのは中国でまるごとカットされた7分間なんですけども、
    小西 カットのシーン、7分間。うん。
    町山 これがまあねえ・・・凄まじいんですね。つまりこの、トニー・レオンていうのはですね、いわゆる、みうらじゅんさんが言うところの「ベッドヤクザ」なんですね。
    小西 ベッドヤクザ!(笑)・・ちょっと、説明してもらえますか。
    町山 あの、だから、普段は物静かなんですけども、ベッドの上ではヤクザになってしまうというですねえ、
    小西 (笑)あらららら・・・
    町山 オラオラ、イケイケみたいになっちゃうんですねえ。
    小西 あら。
    町山 で、もう、あらゆる・・・なんていうかねえ、ま、48手あらゆる手がでてくるんですねえ。
    小西 え?!
    町山 あらゆる体位が次々と出てくるんですねえ。
    小西 と言うと?
    町山 松葉くずしから、ツバメ返し、菊一文字、御所車、卍崩し、
    小西 (笑)
    町山 座禅ころがし、というですねえ、
    小西 (笑)
    町山 スゴイ技が次々と繰り出されて・・
    松本 ナニころがし?もう、よくわかんないよ!
    町山 座禅ころがしですけど・・
    小西 まあ、ちょっと松本さん・・・
    松本 ついていけない!ついていけない!(笑)
    小西 スイマセン、良い子のみんな、こっからはちょっと、カット!NC17!!
    町山 いや、これはねえ、さすがクンフーの国なんですよ、だから。
    小西 うん、・・
    町山 クンフーの戦いでホラ、「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!」っていろんな技が次々と出るじゃないですか。
    小西 (笑)
    町山 あれと同じでね・・
    小西 もうちょっと、松本さん、ちょっと聞かないで!耳、ダメ!片耳塞いで!
    松本 いやでも、トニー・レオンだと思うと・・・
    町山 要するに、まあ、クンフー映画における格闘シーンと同じで、非常に重要なんですよ。
    小西 (笑)え、ベッドで、格闘技になっちゃうの?
    町山 そうそう、だって、あらゆる技が出ますから。
    小西 あら!
    町山 で、セリフとか全然無いんですけども、
    小西 え~?!
    松本 え!
    小西 じゃナニ?その、例えば衣擦れとか物音とか・・
    町山 それしかないんですよ。
    小西 ドッタンバッタンとか。
    町山 ドッタンバッタンなんですよ。
    小西 あら、リアルだ・・・
    町山 ハアハアっていう息と。
    小西 さすが中国4千年・・ま、3500年ぐらい。
    町山 でもね、その、心の中ではねえ、ナレーションも何も無いんですが、
    小西 うん。
    町山 いろんな、この・・・心理戦が戦われてるわけですねえ。
    小西 うんうん、うん。
    町山 だから、こう・・・要するに、トニー・レオンの方はですねえ、ヤリながらですねえ、
    小西 (笑)
    町山 「この女は怪しい・・・・何が目的なんだ?・・・でもお前の正体が何だろうと、オレのこの権力と金と、テクニックで、メロメロにしてやる!」みたいな感じなんですよ。
    松本 メロメロ・・・(笑)
    小西 喋ってんじゃん、結構・・
    町山 いや、それ、オレの心に聞こえるわけですよ!
    小西 あ、心の中か!
    町山 映画評論家ですからオレは。セリフが無くても心の声が聞こえる男なんですよ。
    小西 町山さんはね。
    松本 (笑)
    町山 「どうだ、コレ、こんなコトされたことないだろ、お前!どうだコレは!オラ、オラ!」みたいな感じなんですよね。
    小西 (爆笑)
    松本 町山さんの吹き出し、ヤダ!(笑)・・町山さんの声、ヤダ・・(笑)
    町山 彼女の方はですね、されながらですね、「あ、彼、スゴイわ・・・この男、スゴイわ・・・」
    小西 (爆笑)
    町山 「パワーはもう、チョコボール向井並、テクニックは加藤鷹みたいね・・・」
    小西 チョコボール向井、説明して欲しいんだけど・・(笑)
    町山 「こんなに責められるなんて、もう、あ・・私がスパイだって知ってるのかしら?・・・あ・・・もうダメ!」って感じでですね。
    松本 町山さん(笑)・・・もうヤダ・・・
    町山 「でも、この男は我々中国人民の敵よ!・・・・私は決して負けないわ!」
    小西 しばらくこれ、続けていただきましょうね・・
    松本 (笑)
    町山 「こういう男は、優しくしてやるとヨワイのよ・・」って言いながら、こう、キスしたりするわけですよ。そうするとトニー・レオンは「お前なんかの優しさにオレは負けん!」て感じで、彼女の顔をグーっとベッドに押し付けたりするんですけど、
    小西 (笑)
    町山 スゴイ、シーンですよ!もう。
    松本 町山さん、オカシイ・・・(笑)
    小西 あの・・・ラジオをお聴きの皆さん、これあの、映画では一切セリフ無いですからね。
    町山 無いですけど(笑)、オレの心に聞こえるわけですよ、彼らの心の叫びがね。
    小西 町山さん、ト書きが入ってますから
    松本 だって、観た時に、それが聞こえてきたらヤダ・・(笑)
    町山 これがねえ、まるごと切られたわけでねえ、中国では
    小西 じゃ、意味無い・・・
    町山 これが必要無いと思う人もいるかもしれないんですよ。これだけ長いセックスシーンはいらないんじゃないかと。
    小西 ああ・・・

    ~Resolution~
    町山の心に届いた『ラスト、コーション』の真のメッセージ

    町山 でもこれはねえ、このシーンが非常に重要なのは、これ、パワーゲームなんですね。
    小西 ほう・・・と、言いますと?
    町山 男と女のパワーゲームですよ。
    小西 うん。
    町山 これはまず、スパイ物としての腹の探り合いってのは表面的にありますけども、
    小西 うんうん、うん。
    町山 それ以外にはもう一つ政治的な側面があって、
    小西 ほう。
    町山 トニー・レオンは要するに、パワーとテクニックを駆使するわけですけども、これは要するに、権力者の行動ですよね?
    小西 そうですねえ。
    町山 政治的なテクニックと、パワー、つまり権力で人民を屈服させる・・・と。いうことですけども。
    小西 うん。
    町山 それがまあ、政治的な側面なんですけども
    小西 まあ、いわゆる男根主義みたいなものですねえ。
    町山 そうです!あの・・まあ、アジアとかの独裁者によくあるですねえ、男根主義ですね。
    小西 ファリックな・・・うん、うん。
    町山 で、それに対して優しさで戦おうとする女性ですよね。ゲリラ、レジスタンスとしての女性って。
    小西 うんうん。
    町山 これ非常に象徴的ですよね。いろんな政治を象徴してますよね、現在の。
    小西 うん。
    町山 それで、もう一つはですね、この、心理戦としての恋愛とセックスっていうのは、これはスパイだからやってるっていうふうに思うんですけど、実際はみんなやってることでしょう?
    小西 うん・・・ん?
    町山 みんなやってることでしょう?日常生活の中で、恋愛とかの場において。
    松本 心理戦をね。
    小西 つまり・・・そういう・・
    町山 駆け引きを。
    小西 駆け引きですね。うん。
    町山 してるでしょ。で、男と女の腹の探り合いじゃないですか。
    小西 はあ、はあはあ。
    町山 だって、いきなり、セックスしよう、とか言うわけじゃないわけじゃないですか。
    小西 うん。
    町山 で、いきなり「好きだ」って言わないじゃないですか。
    小西 うん。
    町山 これ、言わないで駆け引きするわけでしょ、こう、恋愛って。
    小西 あ~、はあはあ。
    町山 ねえ。その辺も、やっぱりスパイとか言ってるけども、実は我々は同じ事をやってるんじゃないの?ってことをちょっと思わせるんですね。
    小西 なるほど。
    町山 で、この2人の戦いっていうのは、相手を自分のものにしようとすることでしょ?つまり、自分にメロメロにさせようと、自分に恋させようと、することじゃないですか。
    小西 ええ。
    町山 でも、恋愛ってみんな、そういうことをするじゃないですか。
    小西 ああ・・なるほど。
    町山 自分が彼を愛するよりも、彼に私の方をより多く愛してもらいたいと思うじゃないですか。
    小西 うんうん。
    町山 それって実は、政治的なことでね、僕が思う・・っていうか、この映画で言いたいことはですね、
    小西 うん。
    町山 人の心を操ろうとすることでしょ?恋愛って。・・・それって政治と同じように、ちょっと怖ろしいことじゃないの?っていうようなことをですね、
    小西 うん。
    町山 やっぱり、パワーゲームの一種なんじゃないの?みたいなことをですね、言ってるんだと思うんですけども、
    小西 ま、つまり金をねえ、媒介としたらこれは当然、売春行為だけど、そうじゃない限りはこういったパワーゲームがつきまとう、と。・・・いうことになるわけですよね?
    町山 そうですよね。だからね、恋愛って結構なんていうか、綺麗な面ばっかり描かれるんですけども、実際はそういう・・・ちょっと怖い心理ゲーム的なところがあるじゃないですか。
    小西 なるほど。
    町山 そういうとこもちゃんと描いてて、ていうか、それ自体をテーマとしてるんですけども、
    小西 う~ん。
    町山 ま、この映画ですね、実は今言った部分てのは、ま、ホントに真ん中辺ですから、映画の。
    小西 うん、うん。
    町山 こっからどんどん怖いことに、どんどん入って行くわけですけども、
    小西 あ~、そうですか。
    町山 『ラスト、コーション』ていうのは。
    小西 で、非常に、やっぱりこれ、あの、映像的にも綺麗な映画らしいですねえ?
    町山 非常に綺麗ですね。むか~しの中国映画の名画みたいな感じで、しっとりとした映像になってるんですけどもね、はい。
    小西 ええ。わかりました。これはもう、町山さんが今年1の映画として推挙されるだけの、インパクトを持ってる映画、みたいですね。
    町山 そうですね。最近の日本映画って恋愛映画がすごく多いですけども、ほとんどがラブロマンスなんですよ。
    小西 はい。
    町山 ラブロマンスってのはロマンスって言葉が意味するように、ファンタジーであって現実ではないんですね。
    小西 なるほど。
    町山 恋愛の良い面だけ、描いているんですけども、
    小西 ええ。
    町山 この映画は、本当に、恋愛というものはいったい何なんだろうか?ってことを突き詰めるですね、恋愛に「ついての」映画なんですよ。だからその辺でですね、日本映画が忘れてしまったですね、昔、日本映画はそういう映画をいっぱい作ってたんですけども、
    小西 うん。
    町山 えーと・・・、もう作らなくなってしまって、・・え~、現実逃避のですねえ、ラブロマンスばっかりになったんですけども、
    小西 なるほど。
    町山 こういう映画がホントは日本で作られるべきだなあ、と思いましたねえ。
    小西 はい。ありがとうございました!
    町山 はい。
    小西 え~、今日のコラムの花道、カリフォルニア州バークレーから映画評論家、町山智浩さんでした。
    松本 はい、ちなみに『ラスト、コーション』、日本では来年2月の2日から、結構、すぐですよね。
    小西 そういうことですね。
    松本 全国で、公開が決まっています。
    スポンサーサイト
    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    コメント

    コメントの投稿

    非公開コメント



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。