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    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    『ミルク』(Milk) サンフランシスコにゲイタウンを作った、ハーヴェイ・ミルクという人【2008年11月24日ストリーム】

  1. スタジオ 小西克哉(国際ジャーナリスト) 松本ともこ(フリーアナウンサー)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    世界最大のゲイ・タウン、カストロストリート

    小西 TBSラジオストリームお送りしております。今日は火曜日でございますね、火曜日の2時、サイゾーやテレビブロスのなどの連載でお馴染み、アメリカカリフォルニア、バークレー在住の映画評論家、「映画とエロスの渡り鳥」町山智浩さん、よろしく~!
    町山 渡り鳥ですか(笑)・・・映画とエロスの間をいろいろ、行ったり来たりしてる人なんですか。
    小西 (笑)そうみたいですね
    町山 (笑)・・・わかんないですけど・・・
    小西 埼玉県川口市、ラジオネーム「町山さんの弟子1号さん」
    町山 弟子1号!やっと1号ができたばっかりなのか、オレは!
    小西 町山さん、弟子とってるんですね?
    町山 いや、とってないですけどね(笑)・・・弟子1号を宣言されてしまいましたね、ハイ。
    松本 渡り鳥、いいじゃないですか。今回のこれもいいですよ~。
    町山 渡り鳥ねえ・・・ま、僕、渡り鳥で、帰るんですよ、日本に。
    小西 あ、そうなんですか?
    町山 まさに渡り鳥でねえ。明日飛行機に乗りますんで、それで今日やらせてもらってるんですけど、豪ちゃんに変わってもらって・・・
    小西 あ、なるほどなるほど、じゃあ来週はスタジオでよろしくお願いします。
    町山 はい、月曜日なんですけど、またあの・・おじゃましますんでよろしくお願いします。
    小西 はいはい、よろしくお願いしますねえ。
    松本 はい、お待ちしてます。
    町山 はいはい。
    小西 さあ、それでは。
    町山 それで今日ですねえ、ま、今日ってことはないんですけど今、サンフランシスコはですねえ、ある有名な人物が亡くなって30周忌ということでですね、
    小西 はい。
    町山 その人に関する映画が公開されたんで、その人についてお話し、今日はしたいんですけども、
    小西 はい。

    町山 ハーヴェイ・ミルクって人なんですね。
    小西 ハーヴェイミルク。
    町山 あの・・ミルクって、本名なんですけど、
    小西 はい。
    町山 で、その人の伝記映画『ミルク』(Milk)って映画が、その人がですね、11月27日、今週の木曜日なんですがそれにちなんで公開されるんですね。
    小西 うん。
    町山 この人は、あの・・・世界で初めてなのかな?ゲイであること・・ゲイなんですけども、それをちゃんと宣言して、それで選挙によって市のですね、これちょっと、日本だと難しいんですけど、市政委員ていうか、市政執行委員ていうですね、
    小西 あ~・・・
    町山 日本だと市会議員てありますけど、市会議員よりもっと権限が強いんですよ。
    小西 うんうん。
    町山 で、具体的に、官僚みたいにして実際に市政を動かすんですけれども、選挙によって選ばれるという、
    小西 あ~、はいはい、はい。
    町山 あの、官僚と労務委員会の間みたいな・・人なんですけど、こいうのってなんで日本は無いんですかね?こういう制度って。
    小西 あの・・これはアメリカの、地方自治の、独自の制度ですね。
    町山 ねえ。
    小西 だからある意味で、昔は長老がやってたようなところを、これ、選挙にしたということですよね。
    町山 はい。
    小西 例えばどうなんですかねえ、これ、だいぶ話が違うけど・・・日本て、サカイがね、
    町山 はい?
    小西 あの、いわゆるその・・・織田信長の時代に、
    町山 あ、はい、いきなりですね(笑)・・・
    小西 あの・・・ベネチアと交流があったあの、「堺」が
    町山 はいはい、はい。
    小西 長老でやってたじゃないですか。
    町山 はいはい、はい。
    小西 つまり、政治家じゃないんだけど、町のお偉方の元老院みたいなのが何人かで合議的にやる、みたいな・・・
    町山 はいはい。
    小西 そういうタイプのものだというふうに、連想するとわかりやすいとおもうんですよ。その人なんか、選挙で選ばれてるんですよね?
    町山 そうですね、そういう制度なんですけど。日本だと、市会議員と、市役所の実際に市政を動かす人は別になっちゃうんですよね。
    小西 うん。
    町山 で、こっちは一緒なんですけども
    小西 これ、結構多いですよね?シカゴもそうだし・・
    町山 そうなんですよ。でまあ、直接の地方自治みたいなのがあって、それに初めて、ゲイで選ばれた人なんですね、このミルクさんて人は。
    小西 これ、だいぶ前の人ですよね、これ。
    町山 この人はねえ、1977年に選ばれてますね。
    小西 70年代だ・・はいはい。
    町山 結構世界的なニュースになったんですね。
    小西 ニュースになりましたね、うんうん。
    町山 でねえ、サンフランシスコにはねえ、カストロストリートっていう道がありまして、その地域は、いわゆる世界最大のゲイタウンなんですけど、
    小西 ほう・・なるほど。
    町山 実はそれ、このミルクさんて人が出てくるまでは別にそうじゃなかったんです。
    小西 ふんふん。
    町山 この人が出てきて、ゲイタウンになったんですね、サンフランシスコって。
    小西 うん。
    町山 今はすごいですけど。
    小西 うん。
    町山 もう世界中からゲイの人が集まって、それこそ日本の人も移り住んで来てますけども。
    小西 あっ、日本の、ホモセクシャルの方も移住してるんですか。
    町山 移住してますよね。
    小西 へ~。
    町山 やっぱり、店をやってる人とかですね、お店屋さん、金物屋まで含めてですね、全員ゲイの人ですから。
    小西 は~・・・凄いですねえ、さすがに・・
    町山 全てがゲイの人がやってるんで、ホントに解放区になってるんで、ま、日本からも結構皆さん来ました。芸能人の人とかもお忍びでみんな来てるようなとこですから。
    小西 え、芸能人の方もですか?
    町山 まあ、いろんな噂がありますけどね(笑)
    小西 あ~、そうなんだ・・
    町山 はい。こっちに来ると、自由に自分自身でいられるから、って来る人もいますけども。
    小西 え、例えばイニシャルでだれですか?
    町山 え?しらないですけどね、ボクはね、ハイ。
    小西 (笑)
    町山 それがカストロ地区なんですけど、
    小西 カストロ地区ね、はい。
    町山 そこに、あの・・・、ま、70年代までただのカソリックの人達が住んでた、ブルーカラーの人達の、まあなんていうか、敬虔な真面目な人達ばっかり住んでたとこなんですけど、宗教的にね。
    小西 はあ、はあ。
    町山 ゲイと全く対立するような人達が住んでた地域なんですけども。
    小西 なるほど。
    町山 そこにハーヴェイ・ミルクさんて人がですね、カメラ屋を開いたんですよ。
    小西 カメラ屋。
    町山 まず「カストロカメラ」っていうカメラ屋さんを開いてですね、普通に住み始めたんですけども、
    小西 うん。
    町山 そのころその、ま、ゲイバーってのは日本なんか、普通にあっても別になんでもないわけですけど、普通の人も行きますけど、アメリカってのはちょっと変なところがあって、ゲイバーの人達っていうのは、いつも何をされるかわからない、って思いながらやってたんですね、当時は。
    小西 うんうん・・・70年代ですもんねえ。
    町山 そうなんですよ。酔っ払った、ゲイが嫌いな人達がいきなり店に行って店をメチャクチャにしたりとか、
    小西 あ~・・
    町山 それだけだったらいいんですけど、警察が襲ってたんですね。
    小西 ほう・・・
    町山 これは、アメリカ全土で警察官が、ゲイバーがあるとそこに行って嫌がらせをしたり、店を破壊したりしていたんですね。
    小西 あ~・・なるほどね。
    町山 全員を無意味に逮捕したりですね、そういうことをやってて・・・、それだけじゃなくて、その・・・ゲイの人がデートしてたりすると、その場で逮捕したりとか、
    小西 うん
    町山 もっと酷い例になると、ゲイだってことがわかっただけで仕事を辞めさせる、
    小西 うん。
    町山 特に公務員とかは自動的にクビにされる、と。
    小西 あ~、なるほど。
    町山 そういうことがずっとあったんですね。
    小西 うんうん。
    町山 それをずっとミルクさんが見ててですね、「これはちょっと酷すぎる」と。
    小西 うん。
    町山 全然法律に反してる、要するに、憲法違反である、と。
    小西 うん、うん。
    町山 これは何とかしなきゃ、と思って、「オレが政治家になるしかないんだ。」と思って、我慢出来ない、ということで、まずその、市政執行委員に立候補したんですけども、
    小西 なるほど。
    町山 ただ、そのころまだ、ゲイの人は少ないわけですよ。ゲイタウンじゃないんでね、全然。
    小西 ふんふん。
    町山 選挙は落ちちゃうんですよ。2回も3回も立候補して。
    小西 はい。
    町山 やっぱりマイノリティなんで、人口的に少ないんで勝てるわけないんですよね。
    小西 あ~、そうですねえ。
    町山 そうしたらですね、市長が代わってモスコーニさんていう人が市長になったんですけど、
    小西 モスコーニさん・・
    町山 はい。その人は、これだとマイノリティの立場が全然無い、と。つまり、その頃、マイノリティである中国系の人、アジア系の人、黒人の人とかが全然市政執行委員に入れなかったんですよ。
    小西 ふんふん。
    町山 これだと全然おかしいから、地区ごとに代表を出すことにして、地区ごとに選挙をすればいいんじゃないか、と。
    小西 ほう・・
    町山 そうしたら、全体でやると黒人の人は10%ぐらいしかいなくても、黒人の人がいっぱい住む地区だったらそこからの代表が出るでしょ?黒人の人で。
    小西 あ~、そうですね。
    町山 チャイナタウンだったら中国系の人が出るじゃないですか。
    小西 うん。
    町山 で、地区ごとに分けよう、ってことでもって選挙をやったら、見事にですね、初めて、黒人の人と、中国系の人と、このハーヴェイ・ミルクさんが市政委員になったんですよ。
    小西 ほう。

    ~Conflict~
    ハーヴェイ・ミルクの大改革とその主張

    町山 それでまあ、すごく大改革をこのミルクさんはやり始めるんですけども、
    小西 へえ、へえ。
    町山 この人がねえ、面白かったのはね、「ゲイの立場を守るためにやろう」っていうようなことを言わなかったんですね。
    小西 ほう。
    町山 この人の理論・・ていうか、この人の思想はですね、「ゲイであるからゲイのために戦うってことをやってたら、じゃあ、黒人の人が酷い目にあっててもそれを見てるのかよ?」と、いうことになっちゃうわけですよ。
    小西 うん。
    町山 「中国人の人が酷い目にあっても、オレはゲイだってことだけだから、黒人の人とか中国人の人とかを助けないのか?」と。
    小西 うん。
    町山 「それじゃ同じ事だよ」と。「そうじゃないんだよ」、「全部、戦わなきゃいけないんだ」と。
    小西 うん。
    町山 そういうことで、どんどん手を結んでいくんですね。差別されてる人達と。
    小西 あ~。
    町山 例えばその、中国人の雇用平等促進委員会とかと手を結んだりですね、この人が1番すごかったのは、その当時スゴイって言われたのはですね、トラック運転手の組合ってあるんですよ、アメリカには。
    小西 あ、チームスターズユニオンみたいなやつですか。
    町山 そうなんです。まあ、スゴイ・・・なんていうか、力を持っているところですよね?アメリカではね?
    小西 はいはい。そうですねえ。うん。
    町山 アメリカっていうのは全て、トラックで何もかも流通させますから・・・(笑)
    小西 (笑)
    町山 この人達が非常に重要なんですけども、
    小西 うん。
    町山 ただ、この人達はすごく、力を持ちすぎちゃってるんで、トラック組合は。
    小西 うん。
    町山 みんな、企業の人が大ッキライなんですよ。
    小西 うんうん、うん。
    町山 で、クアーズって会社がですね、あの、ビールの会社が、
    小西 ええ。
    町山 クアーズのビール・・・要するにまあ、ビールを運ぶわけですよ、トレーラーでね。
    小西 はい。
    町山 ・・は、組合で入ってる奴は雇わない、ってやったんですよ。
    小西 ほう・・
    町山 そのかわり、給料をやる、と。
    小西 ほうほう、ほう。
    町山 要するに、組合排除を始めたんですね、クアーズが。
    小西 あ~、組合潰しですねえ。
    町山 組合潰しを始めて、そうしたら、そのトラック組合がですね、全国のお酒屋さんとかですね、バーに、「トラック運転手を守るために、クアーズのビールをボイコットしてくれ」と言ったんですけれども、
    小西 なるほど。
    町山 でも、そんなことしないわけですよ。
    小西 ええ。
    町山 「トラック運転手に客はいるけど、別にオレ自身関係無いし、利害関係無いから・・・そんなのやらないよ!」と。
    小西 ええ。
    町山 で、誰も同調しなかったんですね、そのクアーズボイコットに。
    小西 はあ。
    町山 そうしたら、そのミルクさんがですね、「別にトラック運転手と私は何の関係もないけれども、同じように弾圧されたりしている者達なんだ」と。
    小西 うん。
    町山 「だから共闘する」って言ってですね、サンフランシスコ中のゲイバーのクアーズビールを全部排除したんですよ。
    小西 ほう・・・、これはやっぱり、執行委員になったから、そういうことができるっていうことですか?
    町山 いや、これはねえ、この人が呼びかけたからゲイの人達がみんな立ち上がったんですね。
    小西 あ~、呼びかけて、立ち上がったんだ。
    町山 はい。で、その時にね、面白かったのは、このトラック組合の人っていうのは出てくるんですけども、まあ、この『ミルク』って映画にも出てくるし、その前にドキュメンタリーでですね、『ハーヴェイ・ミルクの時代』(The Times of Harvey Milk)っていうドキュメンタリーもあるんですね。
    小西 へ~。
    町山 その中で、そのトラック組合のオヤジさんてのが出てくるんですよ。
    小西 ほう。
    町山 トラック組合のオヤジだから、「オウ、なんだよ~オメー!」とか言って、「オカマ野郎なんかオレは大ッキライなんだよ~!」とか言って差別してる奴なんですよ、元々は。
    小西 (笑)はいはい、はい。
    町山 黒人の人達とかに対しても差別的だったわけですね。
    小西 うんうん、うん。
    町山 ところがこの時に、ミルクさんが「共闘しよう」と言ったから、はっ、と思い直すんですね、この人は。
    小西 うん。
    町山 で、それ以来、ずっとミルクさんをですね、援助していくようになるんですよ。「オレは間違ってた」と。
    小西 な~るほど・・・。
    町山 このへんがスゴイとこでね・・
    小西 つまり、いろんなマイノリティがあるんだけども、
    町山 はいはい、
    小西 僕らは僕ら、だけでやってたら、同じようにねえ、差別の記憶は変わらないけど横で連帯をすれば、という発想になったら・・・
    町山 そうなんですよ。おんなじじゃないか、という事なんですね、結局。
    小西 うん。
    町山 それで、どんどん、ゲイを超えてですね、彼はもう、アメリカのヒーローみたいになっていくんですよね。
    小西 なるほど、なるほど。
    町山 で、非常に・・その後ですね、それが逆に大きくなりすぎたんで、それを潰そうって動きが出てくるわけですね。
    小西 うんうん。
    町山 この頃アメリカで、ゲイの、学校の先生がいたら、それを解雇していい、というですね、法律を実施しようとするんですよ。
    小西 あの・・問題になりましたね、70年代後半からね。
    町山 そうです。
    小西 80年代。その・・・先生がゲイであるということがわかった場合ね。
    町山 はい。
    小西 これはその場合、教育委員会が排除できるかどうか、これ、かなりいろんな、全米で裁判になりましたよねえ。
    町山 これ、全米各地で次々と、州ごとに州法でですね、立法されそうになってですね、住民投票が次々とかけられたんですけども、
    小西 うんうん。
    町山 とうとうカリフォルニアにも来ましてですね、これを住民投票にかけると、いうことになったら圧倒的にやっぱり、お父さん、お母さん達は「ゲイの先生がいると、怖い」みたいなことで、それに賛成するような感じになってたんですよ。
    小西 はあ、はあ。
    町山 それに対して、そのミルクさんがですね、徹底的に戦ってですね、
    小西 うん。
    町山 テレビとか出て討論会やってですね、ゲイパレードをやってですね、
    小西 うん。
    町山 徹底的に戦ったんですね。討論会とかでも、データをバンバン出すんですよ。
    小西 はあ。
    町山 「ゲイの人が子供にイタズラをする、って言うけれども、その率とゲイじゃない人が子供にイタズラをする率はどう違うんだ?データを出してみろ!」みたいな感じでデータを出すと、基本的にはあんまり変わんないわけですよ。
    小西 なるほどね。
    町山 そうしたら、「じゃあ、全ての教師を排除すべきだろ!」って言ったりね。
    小西 ああ、ああ。
    町山 それとか、もう1人の、その法律を実施しようとする上院議員というか州議員はですね、「ゲイの先生だと、子供がゲイになる」とか言い出したんですよ。
    小西 そうそう、そう。そういう意見もよくありましたよね~。
    町山 そうしたらね、ハーヴェイ・ミルクがテレビでですね、「オレの先生はヘテロだった。」と。要するに、異性愛者だと、同姓愛者じゃ無かったと。「母親も父親も同姓愛じゃ無かった」と。「でもオレは同姓愛だ」って言って、
    小西 なるほどね。
    町山 「影響とか関係ね~じゃねえか!」って言って、でもって、それが結構、見事な討論でですね、
    小西 なるほどね。
    町山 で、覆っちゃったんですよ。
    小西 あとあの・・・ボーイスカウトのね、リーダーがゲイだった場合、彼を解雇できるかとかね。
    町山 あれ、解雇したんですよね。
    小西 そうそう、解雇して、裁判になったんだよね。
    町山 はいはい、はいはい。あれはちょっと、その後ですけどね。
    小西 うん、そうそう。
    町山 で、結局住民投票をしたらですね、教師をゲイだって理由でクビにするっていうのは却下されたんですよね。
    小西 うん。
    町山 で、もう、ハーヴェイ・ミルクはですね、国家的なヒーローになっていったんですよ。
    小西 はあ、はあ。
    町山 彼がいるっていうんで、アメリカ中の若者たちが、・・・ゲイだっていうと田舎で生まれて差別されて、教会に行くと「お前は地獄に行く」とか言われるわけですよね。
    小西 うん。そうですよね。
    町山 で、お父さんやお母さんにも言えない、と。
    小西 うん。
    町山 みんな家出してサンフランシスコに集まって来たんですよ。
    小西 うん。
    町山 それでサンフランシスコがゲイタウンになっていったんですよね、だんだん。
    小西 ま、サンフランシスコがゲイタウンになる1つのきっかけというか、ま、非常に大きなきっかけになった人ということですよね?
    町山 そうですよね。それまでは全然、そうでも無かったんですって。
    小西 うん、うん。
    町山 この人は、ミルクさんて人は・・・・今、もう、サンフランシスコはすごいですけど。あの・・レインボータウンて言って、虹の旗がね、その町だけバ~っと掲げられてるんですけども、それを作った人なんですけども、
    小西 やっぱり、レインボーってのはいろんな色があるように、マイノリティは横になって、一緒になって戦うということですよね?
    町山 そうなんですよ。ま、レインボーコアリションて、前も話しましたですけども、
    小西 はい。
    町山 要するにまあ、黒人であるとか、身体障害者であるとか、もう全部手を組もう、ってことなんですけども、
    小西 ええ、それをあの、ジェシー・ジャクソンがそれをとって、使ってましたよね。
    町山 使ってました、ま、同じ時期ですけどね。
    小西 ああ。
    町山 ただ、これをやってるうちにですね、まあ、あまりにも元気にやりすぎたんで、それに対して物凄いプレッシャーを逆に感じていたのは、いわゆる、宗教を真面目に信じて、ゲイは絶体に許せないと思ってる白人の、まあ、マジョリティの人達の方が逆に、影がどんどん薄くなってるっていうか、圧迫されていったんですね。
    小西 道徳的にこれはまあ、退廃だと、いうことでしょうね。
    町山 そうなんですよ。でも彼らは負けていったわけですよ。ミルクさんの、派手な戦いの中で。
    小西 はあはあ。
    町山 それで、彼らは居場所がどんどん逆に無くなっていくって形になってですね、
    小西 うん。
    町山 で・・ハーヴェイ・ミルクさんは、暗殺されたんですよね。
    小西 あ~・・・
    町山 これはねえ、暗殺したのは、同じ市政執行委員だったんですよ。
    小西 へ~。何人ぐらいいるんですか?サンフランシスコは?
    町山 えー・・・サンフランシスコは何人かな?ディストリクトが10個かそこらあるから・・・12、3人だと思いますけど・・
    小西 そうですよね、そんなもんですよね。10人そこそこですよね。
    町山 そのぐらいです。で、その内の1人がですね、ダン・ホワイトってのがいましてですね、
    小西 はい。
    町山 この人はカソリックで、ゲイは許せないっていう人で、白人でですね、
    小西 うん。
    町山 この人が・・・もう、市政執行委員の中で負けていったわけですよ。
    小西 うん。
    町山 全然もうミルクさんに押されていって勝てないわけですよね。
    小西 はあ、はあ。
    町山 ずっと意見とか対立するんだけども、どんどん負けて、負けて負けて負けて、
    小西 うん。
    町山 もう、居場所が無くなっちゃったんで辞職するんですよ。
    小西 はい。
    町山 「もう、居られない」と。・・でも、ところが自分の選挙区からはですね、「そんなことで辞職すんのか?フザケンじゃねえ!」と言われて・・・
    小西 (笑)
    町山 で、「スイマセンけど、やっぱり戻りたいんで職を戻してください。」って言いにいったんですね、市長のところに。
    小西 うん。
    町山 そうしたら市長が「馬鹿げたことを言ってんじゃねーよ!」ということで、それを退けたんですけど、
    小西 うん。
    町山 そうしたら拳銃をいきなり抜いてですね、
    小西 ええ。
    町山 市長を撃ち殺しちゃったんですよ。
    小西 え~!
    町山 それも、市長室で。・・・サンフランシスコ市庁舎の市長室で市長を撃ち殺したんですよ。
    小西 その場で殺しちゃうわけだ。
    町山 で、そのまますぐに、ハーヴェイ・ミルクの部屋に行ってですね、ハーヴェイ・ミルクを撃ち殺してるんですけども、
    小西 ええ。
    町山 5発も撃ちこんで、しかもその、倒れたところを頭を撃ち抜いてるんで、
    小西 うわ・・・
    町山 逮捕された時に、これはもう、どう考えても恨み以外に無い、と。
    小西 はい。
    町山 要するにまあ、論争とかしても勝てなかったんですね、ハーヴェイ・ミルクに。
    小西 なるほど。
    町山 この人すごく、ハーヴェイ・ミルクって人は弁が立つんですよね。
    小西 うんうん。
    町山 でもう、圧倒的にコンプレックスを感じて、尚且つゲイが許せないっていうんで、殺しちゃったんじゃないかっていうことに、裁判でなっていったんですけども、
    小西 はい。
    町山 ただ、この後また問題が起こってですね、陪審員制度なんですよ、アメリカは。
    小西 はいはい。
    町山 陪審員を選ぶってのは、どういうふうに選ばれるかっていうとランダムだって言われてるんですけれども、ランダムじゃないんですよね。
    小西 そうですね、うん。
    町山 しょっちゅう問題が起こるんですよ、陪審員の選択に関しては。
    小西 うん。
    町山 で、これ、全員白人のストレート、ゲイじゃない人達だったんですね。
    小西 あ~・・そうなんだ。
    松本 全員?・・・
    町山 ダン・ホワイトってのは、どう考えても、拳銃を事前に用意してしかも5発ずつ撃ちこんでるんで、どう考えても死刑になるという第一級殺人なんですけども、なんかその、犯人にみんな同情してですねえ、
    小西 はい。
    町山 たった7年の刑になっちゃったんですよ。
    小西 ひえ~・・・・
    町山 これは・・とんでもない、ということで・・・、ま、陪審員の人達も、ゲイの人とかマイノリティの人達がどんどん、どんどん権利を主張していくのが耐えられない人達だったんですね。
    小西 あ~・・なるほどね。
    町山 で、危機感を感じたらしくて、ダン・ホワイトに同情して、犯人がたった7年になっちゃったんで、
    小西 はい。
    町山 で・・・サンフランシスコは大暴動になったんですよね。
    小西 ほう・・。
    町山 これは、ホワイトナイト暴動、って言って、街中火の海になったんですけど、
    松本 はいはい、はい。
    小西 それじゃあ、78年ぐらいですか?それ。
    町山 そうです。あ、暴動があったのはその後ですけど、裁判の時なんで、
    小西 うん。
    町山 ただその時はもう、ゲイの人達だけじゃなくて、マイノリティの人達がみんな参加してですね、
    小西 うん。
    町山 これは酷い、ということで、・・まあ、そういうのが今回、・・ショーン・ペンがですね、ミルクさんを演じてるんですけど、
    小西 これ、顔・・・結構似てますねえ。
    松本 うん、写真を見てて・・・
    町山 あんまり似てないですけど、すごく笑顔で似せてるんですよ
    小西 うん。
    町山 ミルクさんはいつもね、笑顔だったんで、ショーン・ペンていつも「ブス~」っとした顔してるんですけど、
    松本 (笑)
    町山 今回は笑顔・・・もう、満面の笑顔でやってますけど、
    小西 はい。
    町山 ダン・ホワイトっていう、殺した方の人は、ブッシュを演じた、『W』って映画でブッシュを演じたジョシュ・ブローリンがやってて、メチャクチャ似てて、
    小西 へ~。
    町山 この人は名演ですけどね、
    小西 なるほど。
    町山 はい。

    ~Resolution~
    ミルクが願った、マイノリティの権利は今・・・

    小西 これ、どうなんですか?映画としては、町山さん、これ、良く出来てる、評価が高い映画なんですか?
    町山 これねえ、監督がねえ、ガス・ヴァン・サントって人なんですけど、この人もゲイなんでね。
    小西 あ~、そうか・・・ふ~ん・・
    町山 はい。で、すごく・・・なんていうか、70年代のその当時の雰囲気をもの凄くリアルに再現して、服からですね、画面の質からですね・・・
    小西 うんうん。
    松本 あ、すごい・・
    町山 もう、スゴイ、懐かしい感じですけど(笑)
    小西 (笑)・・うん。
    町山 音楽とか・・・で、・・まああの、非常に感動的な映画でしたよ。
    小西 ほう・・。
    町山 ゲイがどうこうってことを超えてですね、
    小西 うん。
    町山 例えばハーヴェイ・ミルクはゲイの恋人とかいっぱいいるんですけど、
    小西 うん。
    町山 政治に参加してくうちに、どんどん恋人が離れていっちゃったりねえ、するあたりもねえ(笑)、「やっぱりそういうものだなあ・・」とかねえ、結構リアルでねえ、
    小西 やっぱり、「人間」ハーヴェイ・ミルクをちゃんと描ききってるという感じですね?
    町山 そうですね。あの、犯人の方もですね、逆に、白人で自分は宗教を信じてて、自分は絶体に正しいと思ってた人がどんどん、どんどん逆に正しくないってことを気付かされていって、追い詰められていく感じが良く出てますけど。
    小西 あ~、面白いですねえ、じゃあ、なかなか・・
    町山 はい。だから、「この人は悪人で差別的だ」っていうふうにはなってないんですけど、
    小西 ふんふん。
    町山 やっぱり感動的なのは、ミルクが演説するとこなんですけど、
    小西 うん。
    町山 ま、この人は具体的に言うと、黒人にとってのキング牧師の役割をした人ですね、ゲイ革命において。
    小西 あ~、そうなんだ・・。
    町山 で、この人が演説をするとこで、ま、ショーン・ペンがやるんですけど、
    小西 うん。
    町山 「みんな、カムアウトしろ」と。ゲイであることを隠している人達はみんな、自分はゲイであることを言え、と。
    小西 ああ。
    町山 なんで言うかっていうと、「君のために言うんじゃないんだよ」と。
    小西 うん。
    町山 「子供たちのために言うんだ」って言うんですよ。
    町山 で、どうしてかっていうと、「1人の子供がいる。自分がゲイだって気づくと、でも、誰にも言えない。」と。
    小西 うん。
    町山 「親にも言えない、友達にも言えない」と。
    小西 うん。
    町山 「でも、ある日、新聞とかテレビを見て有名な人がゲイだったと知るだろう。」と。
    小西 うん。
    町山 「そうしたらその子には、希望が生まれるじゃないか。」と。
    小西 なるほどね。
    町山 で、その後、「もう、ゲイのことを言ってるだけじゃないんだよ、僕は。」と。
    小西 あ~。
    町山 「黒人だってアジア人だって身体障害者だって老人だってみんな同じで、希望が将来に無ければ、人間は生きられないんだよ。」というふうなことを言ってて、
    小西 なるほどね。
    町山 これはまあ、アメリカの問題じゃなくて日本も同じですよね、やっぱり。
    小西 そうですね。
    町山 その演説は非常に感動的なんですけども、
    小西 うん。
    町山 ただこの間、カリフォルニアで、ゲイの人の結婚を禁止する法律がですね、住民投票で通っちゃったんですよねえ・・。
    小西 あ~、通っちゃったんですねえ。
    町山 う~ん・・・
    小西 ま、これ、だから、その辺のところがどういうふうにサンフランシスコが変化していくか、また、じゃあリポートをお願いします。
    町山 そうですね。だから今、非常にこれは、問題になってる映画ですね、そういう意味で。
    小西 はい。・・・どうもありがとうございました!
    町山 はい。
    小西 じゃあ来週は、スタジオでよろしくお願いします。
    町山 はい、よろしくお願いします。
    小西 はい。カリフォルニア州バークレーから映画評論家、町山智浩さんのコラムでした。

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