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    町山智浩 映画 FC2 Blog Ranking

    『リンカーン』(Lincoln)1番大事なことは未来を見ることである(町山智浩)【2012年11月20日たまむすび】

  1. スタジオ 赤江珠緒(フリーアナウンサー) 山里亮太(お笑い芸人、南海キャンディーズ)
  2. 電話出演 町山智浩(映画評論家、コラムニスト)
  3. ~Setup~
    2013年1月公開、町山智浩日本語字幕監修『テッド』(Ted)について

    赤江 もしもし、町山さ~ん。
    山里 もしも~し。
    町山 はい、町山です。よろしくお願いします。
    赤江 よろしくお願いします。
    山里 お願いしま~す。
    赤江 町山さん、以前ご紹介いただきました『テッド』(Ted)、拝見いたしました。
    町山 あ、もう試写やってんですか?
    赤江 はい。・・・あのね、子供の時に貰ったクマのぬいぐるみが喋り出したというファンタジーかと思いきや、そのまま時間が経って、中年のクマになってしまうという・・・
    町山 ただのオヤジになっちゃうという。
    赤江 ねえ。
    山里 (笑)
    町山 ただのエロオヤジになっちゃうって話ですね。
    赤江 そう、エロオヤジになっちゃう。
    町山 はい、みんななりますから。
    赤江 あの、町山さん、良く出来てますねえ。あの、クマのぬいぐるみが世の中いろいろありますけども、あの顔のぬいぐるみをテッドとして使うところが絶妙ですね。
    町山 あれね、監督が声を出してるんですけど、自分でね。
    赤江 あ、そうなんですか。
    町山 演技も彼がやってて、その身体の動きをモーションキャプチャーしてクマを動かしてるんですよ。
    赤江 は~、ちょっとね、ややね、ぶちゃカワイイと言うんですか、不細工可愛いみたいなクマちゃんなんでね、すっごいいいですよ、
    町山 やたらと腰を動かしてましたけどね。
    赤江 そうそうそう。
    山里 下ネタ大好きな。
    赤江 もう、エロエロでした。

    町山 下ネタ大好きなエロぐまですから、ハイ。
    赤江 あの、町山さんがね、この間いらっしゃった時に、日本語字幕が・・大変なんだってお話しでしたけどもね・・・・
    町山 あれね、まだ試写の段階では僕の字幕じゃないと思いますよ。
    赤江 あ、そうなんですか。
    町山 まだね、ちょっと揉めてるとこがあってですね・・(笑)
    山里 言ってましたもんね、この名前を出したほうが面白いけど、それは向こう側がいいって言ってくれるかどうかわかんないって、交渉があるって言ってましたもんね。
    町山 そうそう、あの、アメリカ人の有名人でスポーツ選手の名前とか、芸能人とかいろんなのが出てくるんですよ、元のセリフにはね。
    赤江 うんうん。
    町山 で、日本では全く知られてないものとか、あと、商品名が出てくるんですよ、いっぱいアメリカの。
    赤江 そうですねえ。
    町山 で、日本では売ってないから・・・これをどうするかってことで・・・
    赤江 今、町山さん、日本でね、クマといえばくまモンですよ。
    町山 くまモンしか使えないですよねえ(笑)
    赤江 ねえ。・・・くまモン、使えないかなあ・・・
    町山 アメリカでしか売ってないクマのおもちゃの名前とか出てくるからねえ、すごい苦労してるんですよ。
    山里 なるほど。
    町山 公開までには、いろいろ妥協点が見つかると思います、はい。
    赤江 あ~、わかりました。
    山里 1月ですよね?来年の1月の真ん中ぐらいですよね?日本公開はたしか・・・
    町山 はい、そうです。
    山里 はい、楽しみにしています。

    ~Conflict~
    スピルバーグの最新作『リンカーン』は、こんな映画

    赤江 はい。さあ、それでは、今日の映画はどんな映画なんでしょうか?
    町山 今日はもう・・・全然違う映画ですけど(笑)エロぐまとは関係無い感じなんですけど(笑)
    赤江 はい、ガラっと変わりまして・・・
    町山 今回はですね、スティーブン・スピルバーグ、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の新作でですね、『リンカーン』(Lincoln)という映画です。
    山里 はい。
    町山 これはあの・・「エイブラハム・リンカーン」ですね。
    赤江 はい。
    町山 アメリカにずっとあった奴隷制度を撤廃してですね、南北戦争で、奴隷制度を続けようとする南部が独立したので、それと戦争をしてですね、勝って、アメリカから奴隷制度を無くした大統領、リンカーンの話で、
    赤江 奴隷解放の父。
    町山 はい、タイトルはそのものずばり『リンカーン』なんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 そうすると、リンカーンの伝記映画かなと思うんですけど、観てみたら全然違ってですね、
    山里 ほう。
    町山 リンカーンというと1番有名なのは、演説ですよね?
    赤江 うんうん。
    町山 ゲティスバーグでの、南北戦争での大戦闘の後にですね、そこでゲティスバーグ演説っていうのを行なってですね、1863年に、「人民の人民による人民のための政治」って言葉を言いまして、
    赤江 はい。
    町山 それはもう、全世界で、みんな知ってる言葉なんですけども、
    山里 はい。
    町山 その演説シーンも無い・・って言うか、その演説が終わったあとから話が始まるんですよ。
    赤江 あ、そうなんですか。
    町山 なんと。
    赤江 そこが見せ場じゃないんだ。
    町山 見せ場じゃない(笑)・・・終わってるんですよ、映画が始まる段階でもうすでに、その演説が。
    赤江 へ~・・・
    町山 で、もう1つ有名なのは「奴隷解放宣言」というやつですね。
    山里 はい。
    町山 それもねえ・・・終わってるんですよ、この映画の中だと。<
    赤江 あら?
    山里 え?じゃあ、見せ場が・・・ねえ?
    町山 そう、1番の見せ場の2つが無いんですよ。しかも、リンカーンというと、また有名なのは、暗殺されたことですよね?
    山里 はい。
    町山 それも無いんです、この映画の中には。暗殺シーンが。
    赤江 え?
    町山 1番有名な3つの事件が無いんですよ。
    山里 はい。
    町山 だからちょっと、ビックリしたんですけど、
    赤江 うん。
    町山 この映画はねえ、アメリカの「合衆国憲法修正第13条」っていうものを、下院議会で・・ま、日本で言うと衆議院ですね、
    山里 はい。
    町山 ・・で、議決する、っていう話だけ、なんですよ。ナント!
    山里 ほう。
    町山 これ、「修正第13条」っていうのは、奴隷制度を禁止するっていうことですね、憲法で。
    赤江 うんうん。
    町山 一切の奴隷制度を禁止するっていうのを、議会で、3分の2の票があれば、議員が賛成すれば憲法になるんですけれども、それを議決するまでの話、というか、その議決のドラマだけなんですよ、この話。『リンカーン』という映画は。
    山里 へ~・・・
    町山 で、「これで大丈夫なのかな?」と思うじゃないですか。
    山里 そうですよねえ。
    町山 映画として成立するのかな?と思うんですけども、ちゃんと成立してるんですねえ、それが面白いなあと思ったですねえ。
    山里 へ~・・・
    町山 で、これねえ、リンカーンを演じる人はダニエル・デイ・ルイスって人ですね。
    赤江 はい。
    町山 この人は何度もアカデミー賞を取ってますけれども、・・『マイ・レフトフット』(My Left Foot)とかですね、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(There Will Be Blood)とかですね、『ギャング・オブ・ニューヨーク』(Gangs of New York)とかですね、そういう映画に出てますが、どの映画も大抵ですね、ギャーギャー叫びながら物を振り回して、人を殴ったり物を壊してる役ばっかりなんですよ、この人は!
    山里 (笑)・・雑な・・・
    赤江 そうなんですか・・
    町山 非常にアブナイ、人なんですけども、この映画ではねえ、リンカーンを演じててね、もうホントに静かで、甲高い声なんですけれども、ボソボソとしか喋らない役、っていう、今までのダニエル・デイ・ルイスとは違うバージョン、入ってましたね。
    赤江 なんかあの、お顔も口ひげのね、いわゆるリンカーンの髭をちゃんとつけて・・・
    町山 もう、超ソックリなんですよ。
    山里 ソックリですよねえ。
    赤江 思慮深いお顔になってますもんねえ。
    町山 なってますねえ。今までの映画では、人をぶん殴って「ガー!」とか言ってたのと全然違うんでね(笑)、アレ?と思ったですけど。
    山里 (笑)
    町山 でね、まずその、3分の2の票を取らなければならないってのは、ものすごく大変なことなんですね。
    山里 はい。
    町山 て言うのは、3分の1よりちょっと多めにですね、その当時のアメリカの下院議員には民主党員がいるんですよ。
    山里 はい。
    町山 で、これね、凄く面白いことなんですけども、今、民主党っていうと、アメリカでは、オバマさんだったりヒラリーさんだったり、いわゆるマイノリティー、有色人種の人であるとか、アジア人であるとかメキシコ系の人とか女性が、支持している党。リベラルな党、が民主党ですよね?現在は。
    赤江 はい。
    町山 で、共和党ってのはこの間ロムニーさんが出ましたけど、ロムニーさんに投票した人達の88%が白人だったんですよ。
    赤江 あ~、そうですね。
    山里 うんうん、うんうん。
    町山 それぐら白人党なんですね、共和党ってのは現在ね。
    赤江 ええ。
    町山 ところが、この当時、南北戦争の時は、リンカーンが共和党にいて、北軍てのは共和党政府なんですよ。
    赤江 は~・・
    町山 それで、奴隷制度を続けようとしてたのは、民主党なんですね、南軍は。
    赤江 へ~。
    山里 あ、逆なんだ。
    町山 逆だったんですよ、本来は。
    赤江 保守的だったのが民主党だったんですね。
    町山 そうなんです。民主党ってのは、いわゆる田舎の労働者とかの政党で、共和党ってのは、結構金持ちとかインテリの党だったんですよ、当時は。
    赤江 は~・・
    町山 今、現在、民主党ってのは都会のインテリが多くてひっくり返っちゃってんですよね。
    赤江 へ~。
    町山 現在、共和党はアメリカでは田舎のキリスト教原理主義の人とかが多いんで、ま、支持政党がひっくり返ったんですけども、これは、ひっくり返る前の話なんですけどもね。
    山里 はい。
    町山 で、民主党の政権をとった南部が独立して、アメリカと戦争をしてるわけですね、アメリカ連邦と。
    山里 ふんふんふん。
    町山 その中で、ところが、北の北部の方にもまだ民主党員が残ってるんですよ。
    赤江 はい。
    町山 彼らは奴隷制度にも賛成だし、南軍との戦争には反対なんですね。
    山里 はい。
    町山 で、これが議会に、アメリカの連邦議会に3分の1以上いるんですよ。3分の1ちょっと、いるんですね、まだね。
    赤江 うんうん。
    町山 「マムシちゃん」て言われてるんですけど、当時は。頑迷だから、その人達は。
    山里 マムシちゃん・・・
    町山 この民主党員が賛成しなければ、憲法っていうのは3分の2以上の賛成が無ければ修正出来ないんですよ。
    山里 はい。
    町山 だから、この奴隷制度の撤廃は出来ないかもしれない、っていう事態になって、いかにその民主党員を党議拘束から放ってですね、奴隷制度撤廃に投票させるかっていう、戦いの物語なんですよ。
    山里 へ~、知能戦とういか・・・
    町山 そう!そう、その通りなんですよ。
    山里 ねえ。駆け引きとか・・・
    町山 南北戦争映画なんだけどアクションシーンとか無くて、徹底的な、その政治戦略の話なんですね。
    赤江 ふ~ん・・・・
    町山 でね、これが凄く意外だったのは、リンカーンて人は、あだ名が「正直エイブ」っていうあだ名だったんですね。
    赤江 ええ。
    町山 リンカーンて人は、「エイブラハム」リンカーンなんで。とにかく正直者で、貧乏で丸太小屋で育って、もう一生懸命に勉強して弁護士になって、っていう人だっていうふうに言われてて、とにかく正直で真面目な人っていうふうに思われてたんですけども、
    赤江 はい。
    町山 この、奴隷制度を撤廃するために、ありとあらゆる、策を尽くすんですよ。
    山里 はあ。
    町山 どういう風にやるかっていうと、いわゆるロビイストみたいな人がいて民衆党側で口が聞ける3人組を選んでですね、
    赤江 ええ。
    町山 その3人組を使って、議員1人ひとりの懐柔を、「かいじゅう」ってのは「ガー!」って怪獣じゃなくてですね、(笑)
    赤江 (笑)
    町山 抱き込みですね(笑)・・・を、企むんですよ、裏で。
    赤江 抱き込んでいく・・・巧妙に。
    町山 そうなんです、巧妙に。
    山里 は~・・
    町山 まずですね、もし投票してくれたら、奴隷制度撤廃に投票してくれたら、「君を新しい内閣に登用しよう!」とかですね、
    山里 へ~。
    町山 「いい役職につけてあげよう!」とかですね、
    赤江 ふ~ん。
    町山 「あ、なんかここにお金があるなあ。コレちょっと持ってく??」みたいな。
    山里 え~!そういうのとは無縁な人と思ってた!
    町山 ありとあらゆる、手を使うんですよ!
    赤江 え~!
    町山 これ、凄く意外ですよ。
    赤江 やっぱり政治家なんですねえ、その辺はねえ。
    町山 そう、リンカーンて人がこうであったのか、ってところを、知られざる歴史の一面を見せるんですね。
    山里 へ~!
    町山 で、それをやりながら一方でですね、共和党の内部には、物凄いリベラルな人達がいるんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 これ、共和党はその当時リベラルですから。
    赤江 うん。
    町山 この奴隷制度撤廃っていうのは、最終的な目標っていうのは完全な、全ての人種の平等なんだ、って言ってる人がいるんですね。
    山里 はいはいはい。
    町山 で、その人はサディアス・スティーブンスっていう議員なんですけど共和党の。これ、トミー・リー・ジョーンズが演じています。
    赤江 あ!あの~・・
    町山 ボスですね。
    赤江 日本でも、コーヒーのね。
    町山 コーヒー飲んでる人です。
    山里 いやいや(笑)、CMですね、宇宙人です。コーヒー飲んでる「人」じゃ無いですからね。
    町山 あれで物凄いギャラを貰ってですねえ、こういういい映画に安いギャラで出てるんですよ!
    山里 (笑)
    赤江 え~(笑)
    町山 日本のコーヒー会社のお金は、トミー・リー・ジョーンズに入ることによって、トミー・リー・ジョーンズは安いギャラで良い映画に出るんですからイイ事をしてますね、日本はね!
    赤江 (笑)
    山里 あのコーヒーで乾杯してよう、良い映画に乾杯だ。(笑)
    町山 でね、このトミー・リー・ジョーンズがやってる役っていうのは、黒人の人達と「完全に」平等にするんだ、って言ってる人なんですよ。
    山里 ふん。
    町山 ところがその当時はですねえ、ホントにそこまで思ってる人達は、奴隷制度を止めよう、って言ってる人にもいなかったんですね、あんまり。
    山里 え?
    町山 つまりね、「奴隷制度って酷いから辞めよう」とは思ってるけれども、「黒人と白人が平等」だとまで思ってる人はそんなにいなかったんですよ、当時は。
    赤江 へ~・・南北戦争にまでなったけれども・・・
    町山 なったけれども。ていうのはね、民主党側が言うんですね。「もしこれで奴隷制度を撤廃したら、その後はどうするんだ」と。
    山里 うん。
    町山 「黒人に投票権をあげるのか?」と。
    赤江 うん。
    町山 「黒人が大臣になってもいいと思ってんのか、お前らは?!」って言うんですよ。
    赤江 は~・・・・
    町山 ね?全然、今考えると、「当たり前じゃん!」とか思うんですけど、
    赤江 ねえ、「なってますじゃん」みたいな・・・ねえ。
    町山 そう。で、このトミー・リー・ジョーンズ扮するサディアス・スティーブンスが、「だって、アメリカの独立宣言には、全ての人間は平等に神によって創られた、って書いてあるじゃないか!」って言うんですね。
    赤江 うんうん。
    町山 そうすると民主党側がですね、「神によって平等に創られたのは白人だけで、黒人は違う!」って言うんですよ。
    赤江 あら~・・
    町山 それをみんなが拍手して、「イエ~!そうだ!イエ~イ、イエ~イ!」とか言うんですよ。「さんせーい!!」とか言うんですよ。
    赤江 え?南北戦争後も、その後に及んでと言いますか、そういう状態だったんですねえ。へ~・・
    町山 そうなんですよ。南北戦争中ですけどね、この話はね。
    赤江 あ、これはね。
    町山 これね、凄く、見てて気持ち悪くなってくるんですよ。
    山里 ふん。
    町山 当時の人は、当たり前のように言うんですけども、やっぱり信じられないようなことが、昔、わずか150年前にあったんですね。
    山里 ふんふん、ふん。
    町山 で、もっと驚くのはね、「もし黒人に投票権を与えて、じゃ、その次はどうするんだ?」って言うんですよ。
    赤江 うん。
    町山 「女に投票権を与えるのか?!バカバカしい!!」って言うんですよ。
    赤江 あら。
    山里 問題が、またちょっと違う問題が出てきましたよねえ。
    町山 いや、だから、黒人に投票権を与えるよりも、女性に投票権を与える方が、もっととんでもないことだと思われてるんです、当時は。
    赤江 うわ~・・それぐらい違ったんですね~・・・・
    町山 このぐらい酷かったんですよ、昔っていうのは。
    山里 へ~・・・・
    町山 で、「女性に投票権を与えるなんてとんでもない!」って言うと、みんなが、「イエ~イ!そうだー!」って言うんですよ。
    赤江 うん。
    町山 何なんだ?コレ?っていうねえ・・・やっぱり世の中良くなったなあ、と思いますよ、見ていると。
    赤江 は~、そうですか~・・・でも、そういう時代が間違いなくあったんですもんねえ。
    町山 ただね、このサディア・ススティーブンス、トミー・リー・ジョーンズが「徹底的な平等」って言うから、かえって民主党側が絶対に引かなくなっちゃうんですね。
    山里 ふ~ん、なるほど。
    町山 黒人の完全な平等ってのは許せないから、引かなくなるんで、今度はリンカーンは、その超左側の人である、共和党の左派のサディア・ススティーブンスを説得して、「もっと妥協してくれ」と。
    赤江 うん。
    町山 「完全な平等じゃなくて、政治的な平等ってことだけでいいから」と、「法的な平等だけでいいから」と、いうふうに撤退してくれないか、って言うんですよ。説得工作をするんですね、今度は。
    山里 はあ、はあはあ。
    町山 「そんなに過激に言わないでよ」と。「いつか、あななたの求めている完全な平等も達成されるだろうけども、今は、言わないで」と。「今は妥協して」って言うんですよ。
    山里 なるほど。
    町山 これはね、右も左も両方見て、ものすごく妥協点を狙って行くっていうリンカーンのね、これ、原作はね、「リンカーンの政治的天才」ってタイトルの本なんですね。
    赤江 う~ん、なんかちょっと、今の政治、日本にもそんなことがるような気がしてきましたけどもねえ。
    町山 そうそう、だから、党議で完全に決まっちゃって、与党がこうだって言うと野党はもう、「全員」が反対するってなるじゃないですか。
    赤江 はい。
    町山 で、全然進まないじゃないですか、決議が。
    山里 はい。
    町山 国が前に進まないじゃないですか。
    赤江 うん。
    町山 これじゃダメなんだよ、ってことなんですね。
    赤江 は~・・
    町山 リーダーっていうのは、そういう、党を超えたもので、本当に大事なことを決定するんだ、と。
    山里 う~ん。
    町山 実現するためには、本当に大事なことを実現するためには、「どこまで交渉するか、妥協させるかってことなんだよ」ってことを言いたくてこの映画を作ってるんですけど、
    赤江 へ~。
    町山 何故これをスピルバーグが今作ってるかって言うとですねえ、これはやっぱり観てて思うのは、オバマ大統領がやった、2009年、2010年にやった、医療改革法なんですね。「医療保険改革法」なんですよ。
    赤江 はい。「みんなに保険を」っていうね。
    町山 医療保険改革ってのは、それまでアメリカっていうのは、今までずっと、日本で言う「国民健康保険」が無かったんで、
    山里 うん。
    町山 一回重い病気に罹った人は、2度と保険会社が入れてくれなかったんですよ。
    赤江 なんか、歯医者さんに行っても、100万円ぐらいかかるケースもあったとか、ねえ。
    町山 そうなんですよ。僕なんかは喘息だったんで入れてもらえなかったんですよ、保険会社に。
    赤江 あ、そうですか・・・
    町山 はい。あと、貧しい人とか失業した人とかも入れなかったんですよね。高くて。
    山里 ふんふん。
    町山 で、これを何とかしなきゃってことでもって、日本みたいな国民健康法、ま、ヨーロッパもそうですけど、国民健康保険を作ろうとしたんですけど、オバマさんは。
    赤江 はい。
    町山 ただ、これはものスゴイ反対を食らったんですよ。どうしてかって言うと、それが作られたら医療保険会社が潰れちゃうから。
    山里 ふん、ふんふん。
    町山 医療保険会社が共和党のバックについてるんで、共和党は絶対的に反対してたんですね。
    山里 なるほど。
    町山 で、これに対してオバマは「妥協」していったわけですよ、結局。
    赤江 ふんふん。
    町山 最終的には、保険にどうしても入れない人の分だけ、国が負担する、と。
    山里 うん。
    町山 で、国民健康保険は作らない、と。
    山里 ふんふん。
    町山 貧しい人達とか、病気になった人達の保険料を国が負担して、普通の医療保険会社の保険に入る、っていう法律に妥協したんですよね。
    赤江 うん。
    町山 で、それでなんとか通そうとしたんですね。結局、通りましたけど。
    山里 はい。
    町山 あれをねえ、すごく、この『リンカーン』を観てると、連想させるんですよ。
    赤江 は~・・・・
    山里 だって、オバマさんはねえ、リンカーンに憧れてるというか・・・
    町山 そうそう、そう。オバマさんは元々イリノイ州のスプリングフィールドから大統領選に出馬したんですけど、それはリンカーンが出てきたとこと同じ町なんですよ。
    赤江 なるほど・・
    町山 で、この映画の中で、「黒人が選挙に参加するなんて、とんでもない!」とか言ってるんですけど、今は黒人の大統領の時代ですよねえ。
    赤江 いや、ホントですねえ。
    町山 だから、すごくね、今、観るのってねえ、凄く意味がある感じがするんですね。
    赤江 へ~・・・・
    町山 で、スピルバーグってのは、非常に政治的な映画を、政治的だって言わないでコッソリ作るタイプの人で、
    赤江 ええ。
    町山 今回も、『リンカーン』を作ったのは偶然で、「別に今、言いたいことがあってやってるわけじゃないよ」とか言ってるんですけど、
    山里 うん。
    町山 実際はオバマさんに、もの凄く選挙資金とかをですね、寄付したりしてるんですけど、スピルバーグはね。
    山里 へ~!
    町山 この人は前に『ミュンヘン』(Munich)て映画を作ってるんですね。
    赤江 はい。
    町山 それは、ミュンヘンオリンピックの時に、パレスチナゲリラがイスラエルの選手団11人を襲撃して皆殺しにしてですね、
    赤江 はい。
    町山 それに対してイスラエルのモサドっていう諜報機関が11人のパレスチナのリーダー達を暗殺するっていう形で報復した、っていう事件を描いた映画だったんですけども、
    山里 はい。
    町山 なんでそれを今作ったか?っていうことで、スピルバーグってのは、ただ黙ってその映画の最後で、ニューヨークの世界貿易センタービルを見せるんですよ。
    赤江 ええ。
    町山 あれは911テロで破壊されたんですけども。
    赤江 は~・・・
    町山 それを見せることによって、「殺されたからって、殺し返すってことをやったら、永遠に戦争は終わらないぞ!」ってことを、言いたかったんですね、スピルバーグは『ミュンヘン』て映画で。
    山里 はは~・・・
    町山 ただ、「そうだよ!」っていうふうに大きな声でみんなに対して言うんじゃなくて、「黙って」そのツインタワーを見せるんですよ。
    赤江 ふ~ん!
    町山 「やられたらやり返す、じゃ戦争が続くだけだ」と。
    赤江 うん。
    町山 スピルバーグ自身はユダヤ系の人なんですけども、この映画でイスラエルの報復に対して批判したんで、イスラエルから徹底的に叩かれたりしてるんですよね。
    山里 へ~・・・
    町山 だから、そういうことじゃ無いんだよ、と。ユダヤ人だからどうこうとか、そういうことじゃないんだよ、って人がスピルバーグなんで、
    赤江 うん。
    町山 でね、この『リンカーン』て映画もね、リンカーンが本当の、本音を出すシーンてのがあるんですけども、
    赤江 はい。
    町山 それは、「今ここで奴隷を開放するってことが大事だっていうことじゃないんだ!」と。
    赤江 うん。
    町山 「今ここで開放すれば、その黒人の子孫の、それこそ何千何万という子孫が、永遠に続く何百年と続く子孫達も開放されるんだ!」と。
    山里 うん。
    町山 「だから、絶体に、これをやんきゃいけないんだ!」って言って、「そのためだったらどんなことでもする!」ってやるんですよ。
    赤江 は~・・・
    町山 そこでまあ、非常に感動しましたね。
    赤江 へ~・・・そっかあ・・・
    町山 今、日本で、政治とかで、なかなか何やっても決まらないじゃないですか、一方が全部反対しちゃうから。
    赤江 はい。
    山里 うん。
    町山 だれも逆らわないし、党の中で。
    赤江 うん。
    町山 でもそれじゃ、何も!進まないんですよね。
    赤江 やっぱり、駆け引きしながらも、折り合いとか着地点とか、どっかに見出していかなきゃいけないっていうのが、政治家の仕事なんですねえ。
    町山 1番大事なのは未来を見ることだと思うんですよね。
    赤江 うん。
    山里 そうですよねえ。
    町山 ここで、奴隷制度撤廃で反対した議員達の名前ってのは、みんな残ってるわけですけど、コレ、永遠に、1000年も2000年も笑いものですよ!
    赤江 そういうことですねえ!
    町山 奴隷と、黒人は人間じゃ無いとか言ってた人達ってのは、もう、1000年も2000年も、10000年も笑いものですよ、永遠にこの人達は。
    赤江 うんうん。
    町山 だから、歴史を見て、判断することですね。その場その場の政治的駆け引きじゃなくて。
    赤江 確かに!
    町山 自分が歴史の中でどう記憶されるかを判断して、決めなければいけないと思いますよ、全ての人は。
    赤江 そうですねえ
    山里 う~ん。
    町山 ・・と、思いました。という映画がスティーブン・スピルバーグの新作『リンカーン』でした。はい。

    ~Resolution~
    世界の中心(ゴールデン街)で愛を叫んだエロぐまさん

    赤江 は~・・・
    山里 今まさに日本の政治にも通じる感じですよねえ。
    赤江 そうでしょう、もう、投票が・・選挙が近づいてますのでねえ、これはグッと来るかもしれませんねえ。
    山里 どの党にいたら有利かとか、どの党の誰と組んでたら選挙で勝てる、とかばっかりの話になってて・・・
    町山 全ての議員の言葉ってのは、全て記録されて永遠に記録されますから、もう、100年、200年後に恥ずかしくないようにするべきですね。1人ひとりが。はい。
    赤江 ホントですね!自分の言葉と行動に責任がありますね。
    山里 これ、映画、これは日本では観れるんですか?町山さん?
    町山 これは・・来年4月に日本でも公開されます!
    赤江 いやあ・・町山さん、今日、なんかカッコイイですよ!
    町山 いえいえ(笑)
    赤江 あの・・先週、「今からゴールデン街にイキマ~ス」って言いながら帰っていった町山さんとは、なんか、別人のように、キリッとされてます。
    町山 いえ、そういう人です、ハイ。(笑)
    赤江 (笑)
    山里 町山さん、そういう人だったんだあ。
    町山 いや、エロぐまみたいな人です、ハイ。
    赤江 (笑)
    山里 そうそう(笑)そっちがホントの・・テッドだから、テッド
    町山 ただ酔っぱらいのエロオヤジです、ハイ。
    赤江 たまむすびテッドと・・(笑)
    町山 はい。(笑)・・
    赤江 ありがとうございます。
    町山 はい、どうもでした。
    赤江 今日ご紹介頂きました『リンカーン』は日本でも、来年4月に全国ロードショーということでございます。ということで、今日のたいしたたまは、アメリカ在住の映画評論家、町山智浩さんに、スピルバーグ監督の新作『リンカーン』、ご紹介頂きました。町山さん、ありがとうございました!
    山里 ありがとうございました!
    町山 どうもでした!

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